DDD（１）
| DDD 1 (講談社BOX) | |
 | こやまひろかず 講談社 2007-01-10 売り上げランキング : 10010 おすすめ平均   ”空の境界の奈須キノコ”による”空の境界”からの脱出劇 精神の破綻から異形が生まれるという、発想がすごい。 苛々Amazonで詳しく見る by G-Tools |
出版して大丈夫か？
なんと言うか、よくもまあこんな際どい所を内容に盛り込んだなあというのが最初の方の感想。いや、実際に存在する特定の病名を結構連発するからなんですけど、罹患している人間が読んだら腹を立てそうな描写です。まあ、それは置いておくとして。
そもそも、主人公の片腕が無い、という段階で結構ヒヤヒヤじゃないですかね。さらに一番の知恵者が両手足が無いときてる。これはある意味もの凄いチャレンジの様な気がする。人気が出たら出たで、話題になればなるほど読者は不安な気持ちになりはしないだろうか？ 大人の事情で続きが出なくなるとか、つまりそう言った心配。まあそれも本筋と離れるので良いとして。
ストーリー
話そのものはどこをどう触れてもネタバレになりそうなのでちょっと困ってしまうが、とにかく主人公は片腕の男、石杖所在（アリカ）。彼は迦遼カイエというまさに悪魔のような知恵者だが四肢のない人の世話をする事で生計を立てている、まあ社会的弱者と言っていいだろう。しかも、社会的弱者になってしまったその理由によって、刑事かつ医者のようなとっても傲慢で人非人の公安の人間、戸馬的（とうままと：一応女）に顎で使われてしまう事に。
彼らが（アリカは半ば強制的に）追う事になるのは「悪魔憑き（A異常症患者と呼ばれる）」と呼ばれる人達。これは一種の病気で・・・。と、この位にしておいた方が良さそう。特殊性のある設定もこの話の大きな売りだろうから。
この本の売り？
実際の所、外見やら内面（特に外見）を含めて特殊と言えるキャラクターを生み出したやり口や、一つ一つをバラして見ると「ありがち」と言われがちな設定を上手く料理しているという感じはする。上手く纏めあげたなあという感じ。ちなみに本編は幾つかの短編で構成されているのだけど、どの短編も特殊な設定を上手く利用して読者を楽しませてくれる。これも上手い事やったなーという感じ。
感想
個人的に星５つ。
うん、敢えて捻くれさせた構成と、作者の仕掛けたミスリードやら、背景やら真実をぼかしながら進める語り口に不快感を感じなければ普通に楽しめそう。奈須きのこの作品はまあゲームは体験した事があるけど、小説は実は始めてなので、正直どんなもんだっしゃろか？ 位の気持ちで読んでいたのだけど、普通に楽しい。結構夢中で読んでしまいましたね。読まされている感じが殆どしなかった。
正直この１巻は読み終わってみるとまだまだ種まきという感じがあちこちでするのだけど、あまりそれを感じさせずに読ませてしまうのが上手いと思った。・・・元のゲームに狂信的なファンがいたりするので敬遠していたのだけど、小説読んだら楽しかった。
ただ、タイトルに（１）とあるようにはっきりと続き物なので、今から続きが待ち遠しいのです。はよ２巻を出して欲しいというのが正直な感想。
