パラケルススの娘(4) 緋袴の巫女

パラケルススの娘〈4〉緋袴の巫女 (MF文庫J)
パラケルススの娘〈4〉緋袴の巫女 (MF文庫J)五代 ゆう

メディアファクトリー 2006-06
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おすすめ平均 star
star超然としすぎて魅力の無い主役

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3巻までが結構よくある感じのキャラ小説な感じなんで、意外とこの4巻で脱落する人が多いって話を聞いた事がありますね。でもまあ良い話じゃないかって思っています。
跡部遼太郎たちは最初と最後の数ページに登場するのみで、その他に登場する事がありませんので、キャラ小説としての楽しみ(美弥子や和音の恋の鞘当てなどなど)を期待していた人にとっては結構辛い展開でしょうね。殆どが初登場のキャラクターばかりですし(クリスティーナとレギーネは出ますけど)。その分敷居が高くなっているのは分かります。
しかし、話自体はけっこう読み応えがあります。4巻は古い家と自分に与えられた運命に翻弄される若き跡部家の跡継ぎ・跡部多華女(現:跡部遼太郎のおばあさん)の少女時代を描いた作品です。彼女には家のしがらみやら、権力争いやら、陰謀やら、色々な重圧がかかっているのですが、その中をたった一人の信頼する従者と一緒に駆け抜けて行きます。激しい炎の中を。

3巻でも出てきた吸血鬼・マダム・ニュイと跡部多華女&クリスティーナの戦いが描かれるのですが、それと同時にもう一人3巻にも出た因縁のあるキャラクターが登場します。
結構よかったので、あまり細かい事は書きたく無い様な・・・。特にヒロインとしての跡部多華女がとても良かったです。彼女の願い、彼女の怒り、彼女の悲しみ、未来への微かな希望。そして彼女の選択。一見の価値ありです。クリスティーナと跡部家の繋がりも描かれる事になりますしね。ちょっと弱いですけど。
ただ、わざわざ櫻井忍という狂言回しを新しく用意する必要はあったのかな?という疑問は残りますが・・・。

ただ、ちょっと哀しかったのが、表紙の口絵イラストの跡部多華女さんがあまりにも可愛らしいので、この姿で本編に登場して欲しいのに、でももう本編の正しい時間軸では「おばあちゃん」なのね、という事実。哀しい・・・ちょっと涙。年月って残酷だよね!というか。

ラストの展開が良かった事もあって正直初めて星4つにしたい所なんですが、やっぱり話の寄り道が気になってしまいますね。それで減点です。上記のように、メインキャラ達の登場は5巻まで待たねばなりませんので、そちらが気になる人は5巻も一緒に購入した方が良いかも知れませんね。というかそうしないと結構寂しいかも。一発ものとしてはまあ良く出来た作品だと思うのだけど、4巻だからねえ・・・。
イラストは上記のように口絵のカラーの多華女嬢が最高に可愛らしいです。でかいポスターで欲しいくらい凛々しく可愛いですよ。・・・でももう今はおばあ(以下略)

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