僕たちのパラドクス―Acacia2279

富士見ヤングミステリー大賞受賞作だそうです。

ストーリー

時間警察(でまあおおむね間違いないよね?)に所属する未来の少女・ハルナ・キリシマと現代の高校生・高崎青葉が偶然出くわす辺りから進行します。ハルナは青葉と全く関係のない仕事で「5分」という条件付きで過去である「青葉のいる時代」に来たのですが、指示された時間犯罪を解決しても、一向に迎えが未来から来ない事になってしまい・・・おそらく何かのタイムパラドクスが起きたのだろうと推測したハルナは青葉の力を借りて未来に帰れなくなってしまった原因を作った「何か」を探す事になるのですが・・・というお話。

どんな話?

えー、つまんね。
すいません、のっけからすいませんが。
文章全体を見た時に、テンポとか、構成とかは良いと思うんですが、なにぶんキャラクターに魅力がないのが痛い。ヒロイン・ハルナ人間性の描写という方面で全く足りないと思う・・・いえ、作者は書く努力というか、書いてはいるんですよ? でもエピソードの作り方があまりにもステレオタイプでどうかなあ。もっと些細な事でもいいから、生々しさを感じるエピソードが欲しかったのです。
キャラの「隠された背景」があるのは分かるけど、それにしても行動の一つ一つが時々やたら唐突に感じるし、主人公青葉の心の動きの描写も弱い。生々しさが足りないので、いつの間にそんな事になったん? という気分になってしまった。彼に関しては最後までその印象が拭えなかった。
ストーリーで言えば、最後の方にドンデン返しがあったりするんですが、十分予測範囲内なので、半分過ぎた辺りで「あんな感じかな?」と思ったらほぼその通りだったのでもう失望しました。ミステリーが本質的に苦手な私に見切られるオチなんでミステリーではないです。

結論

星2つ。
ミステリーとしてなら1つになりますが、アクションものとしてはまあまあ楽しいので星2つ。構成はバランス感覚が結構ある作家のようなので、次の作品はもう少しキャラの肉付けを上手くやって欲しいですね。あるいはドライな描写で大人向けのドライな物語を作るか。
とにかくラノベ的にキャラが愛せません。ストーリーも見え見えで愛せません。この本が大賞取れるのならば、富士見ヤングミステリーは作家デビューしたい人には狙い目かも知れませんよ?位思ってしまいました。
かなり厳しい書き方になってしまいましたが、デビュー作なので許します。まあ、機会があれば次の本も手に取ってみるかな・・・。
イラストはまあまあいいんではないでしょうか。十分及第点。ですね。

感想リンク

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おお、ものごっつい感想の方向性が真逆だ! これだから楽しいよね。
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