我が家のお稲荷さま

我が家のお稲荷さま。 (電撃文庫)
我が家のお稲荷さま。 (電撃文庫)放電映像

メディアワークス 2004-02
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star何事も食わず嫌いはいかんですな・・・
star個人的にはもう少し。

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E.a.G.が結構気に入ったので購入して読んでみた。うーん、全然作風が違うのな〜。正直この本も銀月のソルトレージュと同じ様に表紙イラストと口絵カラーの印象が良くなくて買わなかった本だったりして・・・。

ストーリー

高上昇(たかがみのぼる)と(とおる)の兄弟は、ある日ばあちゃんが危篤状態だと言う事で田舎に呼び出されたのだが、行ってみたらばあちゃんはピンピンしており、実際に呼び出された理由は全く別の所にあった。実は弟の透が「変な夢を見た」ためにはるばる田舎まで呼び出されたらしい。それは透を「妖怪」が狙っているという理由だった。
そんなバカなと思いつつも、透を守るために動き出す高上の実家・三槌(ミヅチ)家の人たち。しかし守ろうにも世代を経て力の弱まった三槌家にはその化け物から透を守る力が無かった。そのために数百年も前に封印された「妖狐」である空幻の封印が解かれるのだが・・・というお話。

E.a.G.と全然ちゃうねー。

全くと言っていい程シリアスな感じがない。どちらかというとハートフル妖怪ものといった方がしっくり来るね。E.a.G.の読者であれば、あの作品の主人公のゴドーとD、あるいは刑事デュパルーの妙に間の抜けた会話を思い出してもらえると良いかもしれない。真面目なのか不真面目なのか分からない三槌家の人間もそうなら、高上透(12)の天然指数もかなり高く、いい加減な事この上ないので、シリアスからは遠い地点にあると思って間違いない。大抵の場合・・・ですけど。

特に・・・

「護り女」として高上兄弟に付いて回る事になる「コウ」の存在がそのコメディ指数をもの凄い勢いで高めています。ある意味、とっても美味しいキャラクターです。なにしろ・・・。

  • 電車に乗った事がないので屋根に乗ると言い出す。
  • お金を使った事がないので区別か付かない。
  • どこに行くにも巫女装束
  • ストーカーの様に隠れて兄弟を守るため、木に登る、床下に隠れる。

——つまり全く常識がない。
嫌いな食べ物はあるかと問われた際のその解答で、彼女の間違いニンジャっぷりが分かって頂けると思う。

「ムカデは好みません」

食うなよ。

で、肝心のお稲荷さまですが

えー、真面目なのか不真面目なのか、さっぱり分からない所がありますが、正直結構アバウトかつ一人で物事を解決しようとする所がある、どっちかと言えば素直じゃないタイプでしょうか。しかし仁義に厚い所があるようですね。しかし実のところ、キャラクターのインパクトという意味においては上記のコウに食われてしまっている感じがありますね。残念ながら・・・。

しかしですね

ストーリーのまとめ方はなかなか良い。最後のオチなんて読み始めの時から考えると完全に予想外の所に着陸した感じがあります。そこに話を持って行くための語りも悪くなく、程よくそれぞれのキャラクターを書いている感じがありますね。ただ、ちょっと高上昇(つまり兄)のキャラがちょっと弱いかな〜。ある意味昇の父よりも弱いかなー、なんて思ったりもしました。

全体として

星3つですかね。この作者、E.a.G.の時にもそんな風に思ったんですけど、何となく「雰囲気」を書くのが結構うまい感じがしますね。どこかではっきりと描写して事実を読者に伝えるというよりは、何となくなイメージを言葉の中に混ぜて、気がついたら「そういうもの」として読者に読ませている・・・とでも言えば良いでしょうか・・・ね。
イラストは・・・上手なんですけど時々好きじゃないですね。口絵カラーの兄弟二人が女の子みたいだし、父ちゃんのイラスト(白黒)もなんだか「こんな爽やかな父ちゃんいねーよ」って感じがしました。女の子は実に可愛いんですけど。

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