涼宮ハルヒの分裂

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)

へへえ、こう来たか〜

といった感じの最新刊ですね。そろそろやるだろうとは思っていたけど、初めて「以下続刊を待て!」というオチの付き方ですね。でも多分上下巻くらいの構成じゃないかと思うので、続きが出てから読むというのも一つの手かもね。
流石に今の段階で色々書くのも何だとは思うので、珍しく続きを読むにしてみようかな・・・? しかし相変わらずキョンの独り語りは無意味にニヒリスティックだなあ・・・これが中二病という奴なのか?

正直なところ

実は今回読んでいて「やられた!」と思ったのは佐々木さんの話し方から何となく男だと思って読んでいて、
「なんか変でキモイやつだな〜」
と思っていたら実は可愛い女の子だったので、キモイと思っていたところがいきなり反転して、
「なんかけっこう萌えるかも・・・」
になってしまったところかな?これは上手いと思った。つーか俺が単純なのかな? あんまりこういった感じのミスリードを誘う書き手じゃなかったと思っていたから完全に油断していたという感じ。
それから、今までの伏線で出ていた人物がおおよそ出そろうとは思いませんでしたね。

で、後半ですが

ストーリーが完全に2本に分岐して語られます。「αルート」と「βルート」ですね。
ここでも備忘録的にまとめとこう。

日時 αルート βルート
土曜日夜 「あたし」と名乗る謎の人物(キョンの後輩と名乗る女性(?):向こうはキョンを知っているらしい)から電話がある。 「佐々木さん」から日曜日に会えないかと連絡がある。大まかなお互いの状況と意思確認をする。
土曜日夜 キョン、古泉に電話する。結論「涼宮さんがいるんですから」。 キョン、古泉に電話する。結論「くれぐれもご自重ください」。
土曜日夜 キョン長門には電話をしない。 キョン長門に電話する。「九曜については調査中。しかし危険は低く『天蓋領域』と名が付いた」
日曜日 とくに何事も無く過ごす。 佐々木さん含める上記の第二SOS団の面々と会ってお互いの立場の確認をする。その他には「九曜」と「喜緑さん」との遭遇がある。
月曜日:朝 土曜日の事が気になって色々考え込む。ハルヒが1年生勧誘を諦めていない事を確認する。ハルヒにもっと頑張れとつつかれる。 ハルヒは寝ている。キョンも居眠りをして昔の佐々木さんとの奇妙なやり取りを思い出す。
月曜日:昼 長門と一緒にランチミーティング。「天蓋領域」の名前を知る。長門から周囲を含めて「天蓋領域」からの攻撃を防御する意思を確認する。 教室で谷口、国木田の二人と昼飯。佐々木さんについての話をする。
月曜日:放課後 明日の小テストについてハルヒからの協力がある。妙な違和感。 ハルヒキョン、ともにさっさと教室を出る。
月曜日:放課後 SOS団におよそ10人の入団希望者が現れる。 キョンが部室に真っ先に到着。長門の姿がない。
月曜日:放課後 入団希望者は11人いた。古泉によると不審な存在は混じっていないとの事。 みくるがキョンに次いで現れる。未来についての話をする上で、幾つかみくるの「禁則事項」が消えている事に気がつく。
月曜日:放課後 長門は相変わらず部室にいる。 ハルヒと古泉が同時に現れる。
月曜日:放課後 ハルヒによる入団テストを兼ねた説明会。キョン、入団希望者が一人増えている事に気がつく。女性が一人増えたような違和感。 ハルヒキョンが会話。ハルヒが1年生勧誘を諦めていない事を確認する。入団テストは適宜やるとの事。
月曜日:放課後 一人の少女に会った事のあるような、見た事があるような気がする。しかし思い出せない。 長門が最後まで姿を現していない事に気がつき、ハルヒ長門に電話。風邪を引いて休んでいると聞き、キョンと古泉、危機感を覚える。

取りあえず新キャラの大まかなまとめ

今回のメインの話は「現存するSOS団とその頂点に君臨する『涼宮ハルヒ』のコピー集団が現れる」という事でいいと思います。厳密な意味でコピー集団ではないのだけど。

名前 対存在(推定) 過去の伏線 以前の登場の仕方 キョンから見た特徴
佐々木さん(女) 涼宮ハルヒ キョンの昔に関わる。 なんとなくキョンやらキョンの中学時代を知る人間によって言及済み。 中学時代にそこそこ親しかったのはキョンが認める事実。しかし特に男女のお付き合いをしていた訳ではない。非常に理性的で男性のような話し方をする変人ではあるけど、その内面の良識に対してのキョンの信頼はそこそこあるようだ。
周防九曜(女) 長門有希 謎の雪山遭難事件の首謀者の端末。 雪山遭難事件という得体の知れない事件に巻き込まれることで言及済み。 奇怪な人物。長門よりも非人間的な存在として有るようで、長門からは「天蓋領域」と呼ばれる長門にもコンタクト不可能な存在。正体不明でキョンは彼女の存在自体を非常に不気味だと感じているようである。
藤原(仮) 朝比奈みくる 謎の未来人(男) みくるの仕事だったメモリーカードネタで接触済み。 以前の接触からキョンにとっての心証は非常によろしくないが、SOS団にとっての古泉と異なり、他の第二SOS団メンバーに対して協調しようという姿勢があまりないように見える。
橘京子 古泉一樹 古泉と異なる機関の存在(女) 朝比奈さん誘拐未遂事件で接触済み。 以前の接触からキョンにとっての心証は非常によろしくないが、比較的話が通じる存在ではある。古泉と同じように「佐々木さんの作り出す」閉鎖空間内に侵入する能力をもっており、現在「涼宮ハルヒ」の持つ力は、本来は「佐々木さん」が持つべきものだったと考えていて、同時にそうすべきだとも思っている。

とはいえほとんど新キャラ登場と言って良い展開でしょうかね。

で、ここで問題

  1. この一連のトラブルがハルヒによって起こされたという事が既にキョンによって言及されている事。
  2. 第二SOS団には「キョン」に対応する人物がとりあえず明確には出現していない
  3. 「わたし」を名乗る謎の存在からの電話によって、αルートとβルートが分岐している事。
  4. 長門情報統合思念体>に対する攻撃のαルート(無)βルート(有)の違い。
  5. キョンが「見た事があるような気がする」新入生が一体何者なのか。

いやあ

とにかく謎解きは別にして、非常に楽しめたのが事実ですね。星4、もう少しで5つつあげちゃうかな。
やっぱりというかなんというか、キョンの語り口に「なんか変な感じ!」という印象をおぢさんは持ってしまうのだけど、それを含めても十分面白かったかな。構成が今のところ見事です。十分に続きに期待出来る感じ。
・・・しかし、谷川流は悲惨だなあ。人気が出たばっかりに私のブログですらここまでまとめたりしてしまうのだから、もっとファンになっている他ではもっとスゴい事になりそうですね。いや、作家冥利に尽きるのかな?
いずれにしても次が早く読みたいものです。

感想リンク

Alles ist im Wandel  booklines.net  今日もだらだら、読書日記。  ライトノベル名言図書館  ラノベ365日
古泉のアレっぽいところに「今日もだらだら、読書日記。」のうららさんの心のアンテナがきっちりと反応している模様。流石だ・・・。