鳥籠荘の今日も眠たい住人たち(2)

鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 2 (2) (電撃文庫 か 10-12)
鳥籠荘の今日も眠たい住人たち 2 (2) (電撃文庫 か 10-12)壁井 ユカコ

メディアワークス 2007-04
売り上げランキング : 165880

おすすめ平均 star
starやっぱりずれてる住人達
star解らない事だらけ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

じつは女性に是非読んで欲しいとか思うシリーズだったりして。特にこの2巻はおそらくコバルト文庫あたりで出版したとしても十分通じる内容だと思います。じゃあ男はダメなのか?というとそんな事なないですね〜。作者の落ち着いた文体と描写の妙もあって、ちゃんと読ませてくれます。
うららさ〜ん(もう読んでいるかな?)、id:soundseaさ〜ん(おすすめした通りです!)、良書ですよ〜。とりあえず今ならまだ平済みになっているであろう本屋で2巻の口絵カラーイラストだけでも見てやってください。これはきっとキますよ。
そういえば以前正造さんにすすめてもらった「カスタムチャイルド」がまだ積まれてたり・・・読まねば。

ストーリー

鳥籠荘」と呼ばれる建築物がある。実は元・ウィリアムチャールズバードという名前のホテルだったのだが、老朽化も進み、ホテルとして機能しなくなった後は、なぜか一般社会から逸脱してしまった人たちが暮らす「変人どもの巣窟」と成り果てていた。この話は「鳥籠荘」に住む「変人達」の、少し可笑しくて、少し物悲しい物語。

実は

今回のプロローグ(?)は何で来るのかな〜とか思って一番期待していたのがそこだったりしました。今回は「そーきたか!」とか思いましたね。もちろん本編中にもちゃ〜んと顔を出している所がまた楽しかったりして。ムードがあって大好きですねこの出だし。今から3巻のプロローグが楽しみです。
では、各話の紹介など。

人魚姫になるための間違った方法

本編のヒロイン(?)だと思う衛藤キズナに片恋をしてしまった少女のお話。
女の子同士なのに後輩が先輩の女の子にラブレターとか、バレンタインチョコとか、話には聞きますねえ・・・。しかし、まごうことなき男である私にはある意味一番縁遠い世界の話と行っても良かったですが、描写が素敵というか、優しいというか、丁寧というか、そんな感じがしたのでするすると読めてしまいましたね。思春期のアンバランスな少女の危うい心というか、憧れというか・・・。そんなんでしょうか?
・・・というか良い感じできっついスパイスが利いていたためですかね。

「このガラスの靴がぴったりとあう女性を捜しています」

この人は即座に鉄格子付きの病院に入れた方が良いと思うがいかがなものか。しかしそれやったら鳥籠荘じゃないもんなあ・・・。

ザリガニ/万引き/スケッチブック

とても可愛らしくて、必死で、そして実はかなりサイコホラーな感じのお話でしたね。
鳥籠荘のメインキャラといっていいでしょう、浅井有生(あさいゆう)と井上由起(いのうえゆき)の幼い頃の出会いと冒険を描いた作品。表紙になっているのはこの時の姿ですかね。

「うん。ユキ、ユウちゃんのこと好き。ユキ、ユウちゃんとケッコンするの」

いやあ、可愛いねえ。イラストの良さとも相まってこの辺り実にいいですな〜。
ま、実は裏の方で見事にサイコホラーな話でもあるんですけどね。どの辺がサイコホラーかは本編でどうぞって感じでしょうか。なんというか後の二人があんなになっちゃても全く不思議ではないというのが分かるというかなんというか・・・色々とご愁傷様でした・・・。一言でいえば「静かなる狂気」でしょうか。女性作家特有の描写ですかね。
あと敢えて触れませんが「子供特有の視点のイメージの散らばらせ方」が上手いというか、そんな感じがしましたね。こういうのも女性作家特有の上手さかなあ?

彼女と彼の気まずい日曜、彼女と彼女のハプニングな土曜

この展開はもう完全に女性向けレーベルって感じですよ!? 「浅井有生:衛藤キズナ:井上由起」とかって感じの微妙な三角関係がいかにもって感じだ! 特にドライブ後のごたごたなアレとか「どう考えても少女漫画だろコレは!」って感じですが、しかしそれでも面白いんだなあ。

「い、いっかいだけ、だから。今日はトクベツ、大サービスだから。わたしも今日、けっこう楽しかったから、それだけだから」

可愛いなあ・・・。
微妙な距離感、近いような遠いような、フラフラする振り込みたいになっているキズナが特に可愛いですね。是非女性に読んで頂きたい! 通り過ぎちゃったかもしれない青春が帰ってきますよ〜。
ちなみに1巻に出てきた猫パパもゲスト出演してます。

総合で

星4つですね〜。
やっぱり女性が好む展開だと思うです。ですので男性向けレーベルから出ちゃってますけど女性に手に取ってもらって版数を伸ばしてもらうのが一番正しいと思うですよ。はい。

感想リンク