鋼鉄の白兎騎士団(4)

鋼鉄の白兎騎士団 4 (4) (ファミ通文庫 ま 1-1-4)
鋼鉄の白兎騎士団 4 (4) (ファミ通文庫 ま 1-1-4)舞阪 洸

エンターブレイン 2007-03
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おすすめ平均 star
star個人的には今回もいい感じ
starむ・・・・む・・・・

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ストーリー

1巻の時点から背後で動いていた陰謀にも取りあえず決着が付き、ガブリエラ含む10名の乙女達はその戦後処理(?)に負われていた。しかしガブリエラの放った奇策によって騎士団の財政状況は最悪な事に。そこで騎士団上層部はめでたく騎士として昇格した元雛達にある重大かつめんどくさい仕事をやらせる事にしたのでしたという4巻。
まあ単純にそのまま終わる話でもなくて、やっぱりいらんトラブルに巻き込まれたりするんですが、という感じですかね〜。

3巻で

がっつりと話が動いたので、今回は今後の話の展開を考えた種まきの話ですかね。
陰謀劇や知略の競い合いという感じや、騎士同士の切り合いなんかのきな臭い匂いが消えた替わりに、正統海外ファンタジー作品っぽい展開をします。・・・まあつまり騎士達が市井の民にその身をやつしてお忍びの旅にでるという展開ですね。いやあ、いいなあこういう微妙に地味な展開も。
日本産のファンタジー系の作品(ソード・ワールドとかね)に多いですが、冒険といえば血だるま必至、常に「剣と魔法」になってしまって「いつだって力ずく」という感じがする事があったりしますが(まあ元がゲームだから仕方がないけど)、実際のファンタジー作品世界でも普通の暮らしをしている人が沢山いるはずで(つーか職業戦士/職業盗賊/職業魔法使いなんぞより遥かに多いはずだ!)、そのへんの暮らしぶりはどうなっとんのかな〜とか思うわけですよ。
・・・そうですね「狼と香辛料」にある普段の描写の妙なリアリティが好きな人は(4巻の小麦ひいている話とか)、この話も好きになれるんではないですかね。その・・・なんというか地味さが。

この時代のこの世界では、商隊が野盗に襲われて積み荷を奪われたりすれば、事件のあった土地を支配する王侯貴族に損害賠償が請求されるのはよくあることだった。それに対して、王侯貴族側は、なかなか賠償を拒否できない。拒否すれば、以降、各地の商隊が寄りつかなくなるからだ。そんな事態になれば、自国都市や支配地域が衰退してしまう。

な〜んて感じですな。こんな描写があるファンタジー作品は珍しいんじゃないかな? 商業がそこそこ発達した世界であれば普通の感覚ですよね。「道路が整っていないので土地が発展しない」とか。

それから

繰り返し言っていますが、やっぱり物語描写の視点が特徴的ですね。
日本産のファンタジー作品は

に偏っていて、その中間がないものが多いですよね。そこでこのシリーズな訳ですよ。この本はその中間視点での描写(10人、100人、千人)に力を入れてくれるんですね。そこが魅力の一つです。
1〜3巻が「騎士団の組織構成や人員説明」や「騎士団内部での内紛」といったファンタジー作品では珍しい視点で進むのも良いですし、この4巻もちょっと広い世界に足を踏み出すもののあくまでガブリエラ達は「騎士団の一員」という立場をなくしている訳ではないので、騎士団全体の事を考えながら行動する事になるんで、やっぱり微妙に中間視点です。
そもそも「白兎騎士団」が「どこぞの王家」とかの組織した騎士団ではないという設定も面白いですよね。後ろ盾となる国こそあれど、「白兎騎士団」は独立国家のように振る舞う事ができる組織な訳です。

本格とかなんとか言いつつも

相変わらずのサービスカットなんかもありまして、いやあまた風呂ですよ。そして今回は必殺のマッサージですよ。

「いや〜〜、ゆるゆる許してぇぇ、もう駄目駄目駄目〜〜。それ以上はぁぁ、駄目になっちゃう……っあぁっぁぁぁ、おね……お願……いっっぁあぁっっ」
「んまあ、ジアンったら、あんな色っぽい声を出せるなんて意外とやるではないの。能ある鷹は爪を隠すというのは、ほんとうでしたのね。わたくし、間違っていましたわ。あなたのことを男の子だとか少年だなどと言ったことは、潔く撤回いたしますわ」

で、まあ昇天しちゃう訳ですね。このあとガブリエラもなんか昇天したりして……。死なないけど昇天です。

総合で

今回は種まきという事も合って地味だけど星4つかな。ただ地味な展開はあまり・・・という人は星が下がる可能性大ですけど。
イラストには不満は・・・だからなんだよその邪魔なフキダシはっ!? その大事な所を隠す台詞はなんなんだっ!? 守護天アルアラネさまが怒髪天を衝いておりますよ!?という事以外は特にないです・・・。