BLACK BLOOD BROTHERS (S)(2)
BLACK BLOOD BROTHERS S〈2〉ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (富士見ファンタジア文庫) | |
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ストーリー
BLACK BLOOD BROTHERSの本編3〜5巻の間の空白の1年間を埋める短編集です。
この第二巻はシリアス半分、コメディ半分、味付けにちょい吸血鬼的エロという感じの味わい深い作品群となっています。短編集一貫での1〜3話みたいな同じネタを引っ張った展開がなりを潜めて、色々な手法で読み手を楽しませてくれます。特に本編ではシリアスな登場の仕方しかしない大物吸血鬼・龍王セイのエピソードは必見。オマケの書き下ろし「古城の一夜」の出来も良く、お買い得感のある作品に仕上がっています。
各話の紹介
ランナウェイ
逃げるジローとコタロウ、鎮圧チームまで繰り出して容赦なく彼らを責め立て、追いかけるカンパニーの面々。彼らの間に一体何が!? 夜の闇にジローとコタロウの悲痛な叫びが木霊する・・・!
聖夜と金貨とミミコのワイン
ああ、日本という国、宗教色の激しく薄まったクリスマス・イブだからってそんな破廉恥なお誘いをしていいのだろうか葛城ミミコくん! 今夜だけちょっとダ・イ・タ・ンな17歳。
ネズミたちの夜
本編の雰囲気を引きずってきたかのような、グッと大人っぽく、渋い味わいのある一作。ハードボイルド。
外よりきたる牙
本編にも間接的に少し関わりがあるアクション色が強くなった作品。BBB世界を理解する上でそれなりに意味のある短編。やっぱりちょっと悲しいような。
特区の少年王
龍王・セイの知られざる一面を赤裸々に暴き立てる問題作。コタロウが、ジローが、そしてミミコまでもがセイを激しく責め立てる・・・! ああ、セイが、セイの恥ずかしくも弱いトコロが赤裸々にも暴かれていく・・・! それ以上したらダメになっちゃう!(特区が)
TONIGHT SALARY
若い体を持て余す少女に夢のお告げが降りてくる。ああ、一糸まとわぬ姿であの人に支配されたい・・・! そんな願望を胸に秘めながらやってくるその日の夜・・・。めくるめく快感はさて、誰にとってのご褒美?
古城の一夜
時代を100年近く遡った話。ジローとアリス、そしてケインとカーサ。彼らがまだ一緒に過ごしていた頃のお話。吸血鬼たちの宿命と、賢者イヴの血統の力を知らされ、そして時代とともに変わっていく吸血鬼たちの生き様(死に様?)を綴った一作。そして最も重要なのが、ジローがカーサに「ある種の方向転換」を起こさせたエピソードであるという事でしょうか。必見。
総合
星4つ。
調子にのって書いたらなんかエロ短編集の紹介みたいになってしまいましたが、その辺りは愛するが故という事でお許し下さい。
パターンに落ち込む事無く、コメディに傾く事も無く(短編集とかでありがちですよね?)、あの手この手で読者を楽しませようと言う作者のサービス精神があちらこちらに見え隠れします。加えて書き下ろしの「古城の一夜」は特に手札の見せ方という意味で考えたらとても上手い一作では無いでしょうか。
所で口絵カラーの一枚目の意味が分からなかったんですが、短編集2巻と3巻は表紙と繋がってるんですね・・・。