煉獄のエスクードARCHIVES だけど奇麗なものは天国には行けない
煉獄のエスクードARCHIVES―だけど綺麗なものは天国には行けない (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 貴子潤一郎,ともぞ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/10
- メディア: 文庫
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タイトルからして真っ黒な感じのする短編集ですかね。
ストーリー
1巻の事件後の約8ヶ月の間の深津薫(ふかつかおる)の活躍から始まって、時間を遡るように関係者の活躍を描いた作品。本編に出てきたクラウディア、ルーシア、ギーエン、真澄の昔の姿、そしてさらに遡った時代のレイニーの姿を描いています。
どの短編もシリアス風味(一部コメディ)でまとまっていて、結構な完成度ではないでしょうか。短編一作で一事件みたいな構成ですね。
各話の紹介
まあちょっと舐める程度で。
スケアリー・モンスターズ
本編と交えて読むと微妙なお笑い感がある作品ですね。薫のエスクードとしての活躍を描いた話。レイニーの出番もあります。時間軸的には2巻に一番近い話ですね。
だけど奇麗なものは天国には行けない
表題作ですね。まとまりとしては一番良いのではないでしょうか。魔族と戦う者達の苦しみと悲しみが詰まっているような話です。いかにも吸血鬼的な悲哀に満ちているといいましょうか。
鏡の国のクラウディア一門
ルーシアと真澄、そしてクラウディアを交えたお笑い魔法学校の暮らしといえば良いかな? この短編集では表題作とこの話が特に好きかもしれない。ベースはシリアスなんだけど、ルーシアとクラウディアという基本天然系のキャラクターがいるおかげで、本編とはまた違った楽しみがありますね。
本日快晴
数十年以上も前のレイニーの活躍を描いた話。ハードボイルド。物悲しくも美しい話。実に渋い。レイニーの魅力がたっぷり詰まった作品ですね。映画の「エンゼル・ハート」をなんとなく思い出しました。話は全然違いますけど、何となく風景とか。
総評
出来は良いけどキャラの味付けが弱いかな。星3つ。
決してつまらなくはないです。「魔族≒吸血鬼」という呪いの牙を真面目に取り上げている作品という意味では実に良いかもしれないですね。でもやっぱり深津薫くんの魅力が今イチ足りないんで、彼が出てくる作品は表題作を除いてちょっと。まあそういう性格だってことならしょうがないんだけど。しかしいくらなんでも「エスクード」というかなり異常な状況をあっさりと受け入れ過ぎ、というか。これは一巻のときも感じた事だけどね。もっと頑張れ主人公。