黄昏色の詠使い(2)奏でる少女の道行きは

奏でる少女の道行きは (富士見ファンタジア文庫 174-2 黄昏色の詠使い 2)
奏でる少女の道行きは (富士見ファンタジア文庫 174-2 黄昏色の詠使い 2)細音 啓

富士見書房 2007-05
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おすすめ平均 star
starさらに次のステージへスケールアップ
star蒸気機関車まで登場してきましたよ
star素直に良いと思える続編です。

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ストーリー

召喚術・名詠式を学ぶ学園、トレミア・アカデミーでの兢演会でヒドラが暴れたあの事件から二週間が過ぎた。その事件で所々補修の入っている校舎を夏期休暇中に補講で使用する訳にも行かず、アカデミーの生徒たちは海が近くにいる分校で行う事になったのだった。
生徒たちにとってはそれはちょっとした臨海学校のようなものだったのだが、教師たちにとってはそれでは済まなかった。ヒドラの暴れた事件に関わっていた名詠式の触媒——<孵石(エッグ)>の精製施設が分校の近くにあるという。教師らはその施設の調査も請け負う事となっていたからだ。
しかし生徒たちはそんな事も知らず、緊張感の無いままに移動教室へと突入する。そして生徒の一人、エイダは大きな悩みを抱えたまま、事件に巻き込まれていく事になる。
一巻の「イブは夜明けに微笑んで」の続編となる第2巻です。

むう

変な生き物ファンとして前巻に出ていたアーマ(夜色飛びトカゲ)が出てこないのがちょっと寂しい私ですが、まあ他のキャラクターの魅力が増しているので相殺って感じでしょうか。
前作は、《目指せ夜色名詠士》のイヴマリーと、《やったぜ虹色名詠士》のカインツの二人の時を越えた約束の話だったのでカインツが出突っ張りでしたが、今回はカインツの出番がほとんど無いのでカインツファンの人はちょっと残念な事になっているかも。

しかしですね

今回の主役とも言えるエイダが実にいい味を出しています。
1巻でもちょこちょこ顔を出していましたが、こんな裏があったとは! ってところです。1巻でよくエイダと一緒に登場していたサージェスもちゃんと顔を出しているので、忘れちゃった人はこれを機会に1巻を読みなおしてみよう! なんて言って見たりして。
エイダは槍術が得意で、実は《祓名民(ジルジエ)》と呼ばれる一族の出なのですが、これがまた良いんですね。当然のように初めて出てくる言葉ですので、

  • 《祓名民》というものが何か?
  • それはどういった役割を持っているのか?
  • 名前の由来は?

といった所が順序立てて明かされていくのですが、いやあ、ファンタジー世界の男に生まれついたら一度はこう呼ばれてみたい素晴らしい由来ですな。エイダは女の子ですけど。
いずれにしても今回の主役は彼女ですね。

ネイトがヤバい

前巻で主人公だった(?)夜色名詠式を身につけようとしているネイトが実にヤバい方向に進化していまして、女性読者が喜びそうです。外見の可愛らしさから女の子達に可愛がられつつ、その上からかわれていて、ちゃっかりと色々な愛称をつけられたりしています。

「お、ネイティじゃん。どしたのさ」

これはサージェス。

「あれれ、ちび君じゃん。おはよー朝早いね」

これはエイダ。
まあ彼女らだけでなく、満遍なく女生徒に可愛がられているようです・・・羨ましい。
しかしですね、真に恐るべきはそんな所ではありませんでして・・・ちょっとネイト(主人公?)とクルーエル(正ヒロイン?)の会話の一部を抜き出しますが・・・

唐突に、前触れなく——
「……な、なに?」
彼は、両手でわたしの手をそっと握ってきた。
「あ、あのさ、ネイト?」
「だから、きっと平気です。僕、クルーエルさんの名詠なら、どんなものだって怖くないです。名詠が怖いのなら、僕も一緒にいますから」
ち、違うの。手……いきなり何を——
「おまじないです」

自信がちょっと無い時にこんな事を美少年にやられたら少女の心はいったいどうなる事でしょうか!? 意識せずにいられるもんでしょうか!? 先生! こいつ将来順調に行けばタラシになります! 要警戒! 要警戒! 要警戒!
・・・実は読んでいる最中に純真だった頃の某キリランシェロを思い出したのは秘密。彼の未来に赤貧やヤクザな地人などが絡んできて、性格が悪くなりませんように。

総合

星4つ。ちょいギリギリだけどまあ良いでしょう。
とにかく1巻でもあったあの優しい雰囲気は相変わらず健在で、今回も程よく優しい話を作ってくれていますよ。今回は伏線なども張られましたので、続きの話は気になりますが、それなりにまとまりも悪くありませんので、続きも楽しみです。
イラストの竹岡美穂氏の絵柄も本作に良く合っていますね。良い感じです。

感想リンク

booklines.net  まいじゃー推進委員会!  Alles ist im Wandel  ライトノベル名言図書館  MOMENTS  ウパ日記  ラノベ365日  ただ、それじゃ終われないでしょ!  積読を重ねる日々
まいじゃーさんと引用した所がほぼ同じ!うふ、こちらも引用のスキルが上がったという事かなっ♪(数撃ちゃあたる方式とも言う)