えむえむっ!(2)
えむえむっ! 2 (2) (MF文庫 J ま 1-5) | |
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ストーリー
重度のマゾの主人公(父親ゆずり)の砂戸太郎(さどたろう)は、何の因果か神のイタズラか、第二ボランティア部なるうさん臭い部に所属している。まあ理由は簡単で、そこの部長である所の自覚の無い真性サドの石動美緒(いするぎみお)に脅されて(?)の事だったが・・・。
とにかくその部には彼ら二人の変態ツートップと、重度の男性恐怖症である結野荒子が所属しているのだが、今日も今日とて太郎のマゾは悪化の一途を辿り、変態指数がうなぎ上り。異常な性癖を持った人間しか出てこない、「そっちに進んでいいのか!?」的ラブコメの第2弾。
とにかく変態です。
今回はね
短編3作という感じで構成されていますね。
1、2が中編、3は明らかに短編とと言う感じではあるけど、どれもこれも珠玉の変態作品です。
なんとなく1巻を読んでもらった人には改めて説明する気が無い程キャラが立ちまくっている本作ですが、一応キャラ紹介などをしてみたいと思います。
砂戸太郎(さどたろう)
名字こそサドなのに真性にして究極のマゾ。
あらゆる苦痛、侮辱、罵倒などを全て快感に変換できるコンバーター。ルックスや男としての正義感や行動力、まともな思考回路(マゾ除く)は一通りそろってはいるものの、マゾ体質の輝きがあまりに激しいため、それらの特徴が目立たないという悲しい宿命の元に生まれついた主人公。
「ハ、ハハハハリセンで殴られるなんて、そんなの生まれてはじめてだよおぉ! はあ、はあ、はあ、す、すっごい珍味っ! そんな珍味的な気持ち良さに拙者はもう限界を突破でござるるるるるるっ! だ、だだだから、はあはあはあははあ、も、もっと小生にその快楽を与えてくださ——」
・・・このドMさえなければ、イイ奴なのに・・・(涙)。
石動美緒(いするぎみお)
最高レベルの美少女かつ自覚のない真性のサドかつヒロインの一人。
砂戸太郎のマゾを治してやろうと日々ろくでもない治療法を編み出すが、半ば無意識に太郎を虐めて喜んでいるフシがある。無自覚な女王様完全体であり、いつでもSMクラブで女王様として仕事が出来そうである。自称”神”の困ったさん。一応悪気はない・・・というか、サドの自覚すらない。変態性癖レベルでの太郎との相性はある意味最高だと考えられるが、それはそれでどうなのか。
「あら、ブタロウ。今日もしょっぱい顔をしてるわね。とゆーか基本的にしょっぱい顔してるわね。内面のキモさが外見に反映されてるからかしら?」
太郎と話している時は「命令」しているか「罵倒」しているか「侮辱」しているかのほぼ三択。まあ可愛い所もあったりします。
結野荒子(ゆうのあらしこ)
名前とは裏腹に、過去のトラウマから重度の男性恐怖症を煩っている少女。
恐怖症は1巻における太郎の活躍もあって多少の改善を見せているが、ちょっと触っただけで反撃のK.O.パンチが飛んでくるという「もうちょっと何とかしないとお嫁に行けない」不幸少女でもある。M体質覚醒時以外の太郎との精神的相性は最高だと考えられるし、お互いそれなりに意識しあっているようでもあるが・・・。健気に色々頑張ってはいる。
「大人になったら……大好きな人と結婚して、あったかい家庭を作りたい」
ある意味一番の常識人ではあるが、太郎との関係はとなると・・・うーん・・・前途多難か?
砂戸智子(すなどともこ:太郎母)&砂戸静香(すなどしずか:太郎姉)
太郎こそが世界の中心であり、日々虎視眈々と太郎と一線を越えるべく暗躍し、そして牽制し、時には戦いあってしまう恐るべき母と姉。
恐らく治癒不可能と思われるどうにもならない程の近親相姦的変態であり「太郎の寝込みを襲う」「太郎の入ってる風呂に全裸で突撃する」などなどの変態的行為を毎日繰り広げる。本編で描かれたりしている訳ではないが、太郎が食事を残したらそれを食べるために母と姉で「奪い合い」が発生しているであろうと容易に想像できる程の痛い愛を発散している。
「言っときますけど、太郎さんが生まれてきて最初に触れた女の人は私なんですよ。つまり、私と太郎さんは結ばれる運命にあるということです」
「メチャクチャな論理の飛躍だよ。むしろ頭がおかしいよ。というか、お母さんはどうして気がつかないの? 太郎ちゃんがわたしに向ける恋のまなざしに」
・・・いつ禁断の関係に陥ってもいい準備ができている二人。これは怖い。
他にも登場人物いますけど
取りあえず今回大活躍してるのはこの辺かな。
まあ変態のオンパレードなんだけど、それでも話作りが意外に良くて、ただの変態オンパレードコメディというだけではなく、ちゃんと青春物語(変態だけど)している所がなかなか良し。各話のまとまりもなかなか良く、どうなっていくのか単純に興味津々。
とにかく、
などなどの見所が一杯です。
総合
星4つ。実に変態チックだけど面白い。
変態部分をコメディ的な味付けにして、その実真面目な少年少女の悩みらしき物をちゃんと書いていたりしてなかなか読ませてくれますね。普通に次の話が楽しみですけど、今後は太郎を挟んだ美緒と荒子の恋(!?)の行方も気になります。母と姉は・・・まあ、エロゲなら絶対にそっちの攻略ルートがありそうだけどね・・・。楽しいからいいか。
イラストはQP:flapper氏ですね。口絵カラーから始まって、デフォルメされたキャラクターイラストに、ちょっと漫画的なイラストなど、全体的にバランスが取れていてよろしいのではないでしょうか。うんうん、悪くないですよ〜。