アキカン!
アキカン! (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-2) | |
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うーん、一体どこに行こうとしているんだスーパーダッシュ文庫。
ストーリー
「ファック!! この淫売が! お前、金さえもらえれば誰にでも取り出し口をおっぴろげるような女なんだろ!? 童貞だからって馬鹿にしやがって!」
と自動販売機とコミュニケーションを取る変人主人公・大地カケル(どう考えても名前負け)は、自販機でメロンソーダの缶ジュースを買ったのだったが、何故か口を付けた瞬間に缶ジュースは一人の美少女に変身した。どうも彼女はスチール缶の精霊のような物らしい。
結果として主人公であるカケルはスチール缶 vs アルミ缶の「アキカン・エレクト」と呼ばれる戦いに巻き込まれていくんですが・・・。
良いのかこんな下ねた全開で? PTAは大丈夫か? と思われるシリーズ開幕の1巻。
ちょっと引用したり
設定を書いただけで下ねた全開な感じですが、主人公は少女の前でも全裸で某エクソシストの伝説のシーン「スパイダーウォーク」体勢を取る事で自らを「益荒男」認定するキワモノです。そもそものっけからかなりの飛ばしようでして、
全裸になってハイテンションで「なんてったってアイドル! ヒョー! なんてったってアイドル!」と意味不明に絶叫しながら風呂に飛び込んで——
おまえは「びっくりするほどユートピア!」か。
まあこんな塩梅です。作者が編集に何を言われたか分かりませんが、とにかく前半の変態下ねた的飛ばしっぷりはかつて読んだ事の無い程の勢いでして、ある意味作家生命を捨ててかかっているとも思えます。
ちなみにスチール缶の精霊(?)に取りあえずメロンと名付けたりするんですが、その姿は少女の精霊との会話がもう知らないのを良い事にギリギリです。
「ねえカケル、セリーグとパリーグってなに?」
「センズリ・リーグとパイパン・リーグの略だ」
「ふーん、センズリとパイパンってどういう意味?」
「……やってみるか?」
「え、ここでもできるの? すぐに?」
「ああ、センズリのほうは慣れてるからな。パイパンのほうは、まあ、お前次第ってトコだな」
純粋にセクハラです。
多分ヒロインのメロンは
スチール缶の精霊という時点でいろんな読者を置き去りにする感じがありますが、とにかく、
- 中身のメロンソーダが無くなると意識も無くなるが、補充すれば復活する
- あくまでソーダなので、炭酸が抜けてもヤバい
- 冷やして飲むものなので、あっためてもマズい
- しかし清涼飲料魔法(炭酸噴出したり、メロンを投げつけたり)
などなどの面倒くさいキャラクターとして成り立っています。一応純情な少女なんですが。
アキカン・エレクト
「エレクト」という段階で「ソレどう考えても頭文字の《S》が抜けてるだろ」という疑惑がありますが(本文内でも言及されてたり)、もう色々な意味で頭が痛いです。
それなりに漫画を読んで来ている人ならこの単語を聞くと真っ先にこの人の漫画を思い出すと思われますが、知らない人は各自ググれ。間違っても母ちゃんとかには聞くな。
とにかく「アキカン・エレクト」は登場人物の一人・男屋秀彦の所属する経済産業省の主導で行われる「清涼飲料水の缶をスチールかアルミかのいずれかに規格を統一する」というプロジェクトらしく、それはアキカンの精霊同士の戦いの結果によって規格を決定するというシロモノらしい。
・・・実のところ男屋秀彦にはこのさらに背後に「インポ計画」という陰謀を抱え持っているらしいですが、それすらセクハラっぽい。いや、本当にそう書いてあるんだって!
物語は
同級生で大金持ちかつケチでもあり、さらにカケルの幼なじみのもう一人のヒロイン・天空寺なじみや、アルミ缶の精霊・エールなどを交えて展開しますが、いやはや・・・後半にかけてシリアス指数は上がっていくのですが、同時に馬鹿指数もうなぎ上りなので、まあどこまで真面目に考えたら良い物やら・・・という本です。
特に天空寺なじみはなかなか良いキャラクターですよ、素直に可愛いし。
総合
なんといっていいやら・・・星4つ?
まあ無茶苦茶なんですけど、荒削りなんですけど、まあそれでも変態が変態なりに真っすぐと頑張ったという感じ?
もう真面目な作品を書くにはペンネーム変えるしかないんじゃねーかと思える程のチンコむき出しな展開なので、その辺はもう評価するしか無いなあ。本一冊丸ごとセクハラみたいなもんだけどな!
イラストは鈴木ひろ氏ですが、なかなかです。
感想リンク
Alles ist im Wandel まいじゃー推進委員会! 灰色未成年
しかしいっつも思うんですが、Alles ist im Wandelのコウさんは、コンパクトながらも作品のイメージを上手く伝える良い文章を書ける人ですね・・・真似したくても、出来ないなあ・・・こういうの。正直羨ましい・・・。