学園カゲキ!

学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)
学園カゲキ! (ガガガ文庫 や 1-1)山川 進

小学館 2007-05-24
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おやおやおや? 全く期待していなかったのに想像以上の面白さだったよ? これは良いラブコメですね。

ストーリー

学校の存在そのものがタレント育成の為にあり、学校そのものが歌劇団のような学校・歌劇学園
そんな学校に一人の少年がこの春、見事に入学した。その名も相澤拓海(あいざわたくみ)。彼自身は「なんとなく受けたらなんとなく受かった」という理由で歌劇学園に入学するのだったが、通い始めて驚き。本当に歌劇学園は「目立ったもん勝ち」とも言える様なとんでもない学校だった。
そうは言っても彼はいわゆるタレントして上り詰めたいとか思っている訳ではないので、普通の学生として歌劇学園に通うのだが、周囲の状況がそれを許す訳も無く・・・という、学園青春ストーリーです。

うんうん

主人公の拓海くんはラノベでありがちな設定の、いわゆる「特徴のない普通の少年」という事なんですが、普通というわりにはちょいとした台詞やら行動やらで「普通だけど普通ではない、周囲に埋没しきらない個性」というのを巧く表現していますね。それでも普通は普通なんですけど、そうはいない普通な人ですかね。実に良い。本当に悪くない。
なんと言いますか・・・「良いヤツ」なんですね。裏表の無い、ほっといても人に愛されるタイプとでも言いましょうか。
これもまた変な感じではありますが、彼の「親友」で超二枚目の加賀雅弥(かがまさや)とのコンビでの描写も結構良いです。

それに

物語を華やかに彩るヒロインたちもそれぞれ個性があって良いです。特にメインヒロインの橘九月(たちばなくがつ)のキャラクターはいかにも元気な高校生ですし、影のヒロインとも言える姫儀千里(ひめぎちさと)も、裏もあるけど表もある、そして意外に誠実だったりするところもあったりと、人間らしい感じが魅力的です。
物語上ではさらに味付けをしてくれる少女やら女性やらが出てきていますが、そのそれぞれが短い描写でそれなりの個性を与えられていて、キャラクター小説としてもちゃんと読ませてくれます。

まあ

話の方は色々な裏を含みつつ展開して行きますが、実はラストまでの展開はほとんど序盤で予想がついてしまいました。しかしそれでも楽しめる出来でした。そうですね・・・ある映画のタイトルを思い出しましたが、それをここで言う事がそのままネタバレになりますので、止めましょう。
しかしそれがあったとしても学園青春ライトノベルとしてのマイナス材料になるかといえば・・・そうは思いませんでした。ネタはともかく、それを巧く料理していると思います。
また、別の意味で楽しめたのが、この話は設定によって「登場人物をそのまま使ったドラマが学園内で撮られていたりする」状況を許しているって所ですね。
例えば、脇役の唐木という少年がいますが、彼が主演のドラマが撮影されていてそのストーリーが適当な感じで挿入されたりとか。またそのドラマの脚本を生徒が書いたりとか。学園内で撮影されているドラマの人気がなくて打ち切りになったりとか。
ノンフィクションとフィクションが入り交じった感じが程よい味付けとして楽しめたりします。

総合

星4つ。
完成度という意味ではいくらか無駄も見当たりましたが、それでも十分に楽しいです。ラストシーンもなかなか秀逸。
何人か活躍の場が足りないと感じたキャラクターがいるなあと感じたのは事実ですが、まあマイナス材料としてはそう大きくありません。この展開から続編を作るのは結構厳しいとは思いますが、同じシリーズではなかったとしても次の作品が期待できる人ですね。
よし☆ヲ氏のイラストも変な勢いとか動きがあっていいですね。しかし飛びヒザ蹴りの一撃は確実に首の骨が折れていると思えるのだが、どうか。

感想リンク

まいじゃー推進委員会!  booklines.net  Alles ist im Wandel  ライトノベル名言図書館  ウパ日記  積読を重ねる日々  灰色未成年
他の感想ブログさんとか見渡しても、全般的に高評価の様子ですね。そうはいいつつもウパ日記さんの結構厳しい内容にも頷けたり・・・この手の話は「どうやって物語に入り込むか」で全然読み方が変わってしまいますね。夢から覚めてはいけない物語とでも言いましょうか。