いぬかみっ!(5)

いぬかみっ!〈5〉 (電撃文庫)
いぬかみっ!〈5〉 (電撃文庫)有沢 まみず

メディアワークス 2005-01
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おすすめ平均 star
starこの巻の表紙はいぐさです
star今までとは少し違う感じ
starどの犬を飼う?

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表紙は「いぬかみっ!」唯一の眼鏡娘・いぐさですね。4巻と真逆な路線である意味ちょっと、ドキドキ・・・? イラストレーターの若月神無氏によると「背景の花にはそれぞれ意味がある」との事でしたけど、百合の花言葉は「純潔」「無垢」らしいですが。

ストーリー

犬神使いの川平啓太は犬神使いとしての力を徐々に見せ始めたりしていて、徐々にようことの関係も深まっている様な深まっていない様な・・・まあ分かりませんが、ようこは成長しましたねえ・・・(しみじみ)。
といいつつも安心していられないこの5巻、この5巻では初めてと言っていい様なシリアス長編が待っています。啓太の真骨頂が試される話ですね。熱く燃える決死の戦い! 変態要素少なめでお送りです・・・かね?

夏の夜の怪談! in 薫の家

登場済みの薫の犬神たちが大集合して、そのうえ怪談で盛り上がるというお話ですな〜。
やっぱり突撃犬神だけどヘタレのたゆねが可愛らしかったりするんですが、啓太も悪気以上に制裁を喰らい過ぎですね。完全に例の一件がトラウマになっているのが笑えます。
しかし薫もなにやってんだか・・・。

お疲れ啓太と極楽マッサージ

無駄に元気だけはある啓太が「ヒダル神」とやらに取り憑かれてしまい、ふにゃふにゃになってしまうお話ですな〜。しかし千客万来な人ですな。人望がそのまま出てますねえ、啓太の。
ああ、なでしこ、俺にもその、マ、マッサージとやらをやってくれんかね? で、ついでに元気になり過ぎた所の生気を吸い取ってくれないか!? つーか微妙に日記とか勝手に持ち出されているけど(多分犯人は・・・ようこ?)、いいんか?

だけど俺にはお前の歌

これが今回の一番でっかくて、一番見所となる話ですね。
何者かに取り憑かれた少女を助ける依頼をうけた啓太とようこを待っていたのは、信じられない程強大な力を持った「死神」でした。依頼人である新堂ケイの命を狙って必ずやってくる死神と啓太は戦う事になります。死神の力は強大過ぎて、依頼人すら諦めきっているんですが・・・。
この話で啓太たちは精神攻撃を喰らうんですがそこで「啓太には怖いものが(基本的に)存在しない」という事が明らかになります。しかしそれが傑作ですなんですね。啓太の一番怖いもの・・・それは・・・

『あ〜らケイタさん? こんな夜遅くどちらへおでかけかしら?』
と、仁王立ちになって玄関でくすくす笑っているようこであり、
『……ねえ、種族を超えた恋って存在すると思う?』
という妙に恥ずかしそうなようこであり、
『ケイタ。我慢しなくていいよ』
という艶かしくも色っぽい吐息だったりした。

全部ようこかよ!?
とにかく遊びたい年頃なんですな〜!
この辺りの展開はいつも通りという感じですが、実は本編で初めてと言っていい啓太のカッコいい所がでてきます。

「はけ。おれ今ね、怒ってるんだよ。すごく」

はけとの何気ない様な会話の中で出てきた啓太の激しい怒りの言葉。まさに啓太の魅力がぎっしりと詰まっていると言えるのではないでしょうか。
ちなみにもの凄く不利な戦いなのですが、彼は自分が死んでしまう事や、明日を迎えられないなどとは考えていないんですが、まあじっくり読んでみてほしいですね。この話は最高です。

河童橋にて
  • 啓太、アパート崩壊で家無し子になり、橋の下に生息することに。
  • 段ボールハウスで進む生活。完全にそれはレゲエのおっさんでは?
  • でもなんかようこは幸せそう。
  • なぜか河童あらわる。もちろん役にたったりはしない。

ちなみに今回のようこの必殺ワードは、

「……その時は二人で繁殖でもする?」

でした。

総合

星4つ。実質4.5位かな?
1〜4巻までのお気楽イメージを振り払うかの様な5巻の中盤のシリアス展開は実に良かったですね。啓太がカッコいいなあと思ったのは初めてですねえ・・・。ようこも段々女っぽくなってきていていよいよ悩ましいですし、今後の展開が見逃せません。
イラストは巻頭カラーのマンガが実におかしくてよかったですね。巻末には犬神データファイルがついてお買い得な一冊となっています。