世界平和は一家団欒のあとに(2)

世界平和は一家団欒のあとに 2 (2) (電撃文庫 は 9-2)
世界平和は一家団欒のあとに 2 (2) (電撃文庫 は 9-2)橋本 和也

メディアワークス 2007-06
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電撃小説大賞<金賞>受賞作の続編ですね。

ストーリー

主人公の星弓一家はそろいもそろって超常的な能力を持った一家で、父ちゃん勇者、母ちゃん魔法使い、姉は地球外まで悪の宇宙人とやらと戦いに出かけたりしているし、弟は一人で何十人もぶっ倒せるような力を持っているし、妹は素晴らしい回復魔法との使い手だし・・・。
なんだか良くは分からないけど、とにかく世界からは「正義の一家」という役割を与えられているらしい。
主人公の星弓軋人(ほしゆみきしと)は、斬りつけた相手の生命力を奪うという特殊能力を持っていて、悪の秘密結社と戦ったりしているのだけど、今回のお仕事は「もう潰してしまった悪の秘密結社一家」のアフターケアという訳ありの内容だった。

無難な出来かな

何故かライトノベルでは希薄に描かれる事が多い「家族」というものをある程度物語の中核に据えているのは良いですね。

  • 主人公が一人暮らし
  • 主人公が天涯孤独
  • 家族は出てきても弟/妹止まり

という話があっちこっちにある(ような気がする)ので、家族が出てくる(今回は敵役とは言え、父ちゃんも出てくる)というのははっきり言って良かったです。
ただ、この話でも主人公の一家はまだ父ちゃんがまだちゃんと出てきていないのはちょい不満ですが。

敵役たちも

ご近所秘密結社って感じで、いきなり世界征服とか企んだりしていますが、まあそういう世界だという事でそれはもうOKです。
その家族の間の繋がりが結構ページを割かれて書かれる話は他にあまりないので新鮮です。というか悪の秘密結社家族の父ちゃんと母ちゃんスゴ過ぎ。キワモノ中のキワモノだわな。そこがまた面白いけど。

ただ・・・

話全体で見るとちょっと・・・刺激が足りなかったかな?
うーん、ストーリーの作り方とかはそれなりのレベルで安定していると思ったし、変な理不尽さとかを飲めば何も気にせず読んでいられますけどね。つーか、タイトル通り「一家団欒」が先に来ている話なのでそんな刺激に満ち満ちていては困るという事もありますけど。
うーん、なんか変なジレンマだなあ・・・。

総合

前作と変わらず星3つかな。
家族愛はいいんだけど、ちょっと姉ちゃんズ(特に次女)がムチャクチャ過ぎかなあ。まあ話作りに欠かせないようなぶっ飛びキャラですけど、もうちょっと性格を普通にしてほしいとか思ったり(今更言っても遅いけど)。あんまり登場機会が前巻でなかった長女くらいは普通にしてほしかったけど、長女もかなりキちゃってるし・・・。
前作でも評価した「読みやすさ」は相変わらず健在。難しい所は全くありませんし、理屈っぽくもないのでするすると読めるのではないでしょうか。一冊目のラノベとしても悪くないような安心の作りかも知れませんね。
さめだ小判氏イラストは悪くないんですけど、カラーイラストの部分は名前とキャラを一致させるような登場人物紹介的な作りにしてほしかったかな。特に前巻での柚島さんの印象が薄かったので、どれが彼女なのか最初分かんなかったなあ。

追記

そうそう、今回登場する悪の組織の皆様にこの本をお薦めする。

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書)

本の中程にあるヨミさんの人生ゲームが実にイカす本です。