いぬかみっ!(8)川平家の一番長い日
いぬかみっ!〈8〉川平家のいちばん長い一日 (電撃文庫) | |
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表紙は「いぬかみっ!」の2トップ、ようこ&なでしこで構成されています。
最近実に女っぽくなって油断の出来ない美女になりつつあるようこに、最近だんだんと黒い黒い黒い・・・なでしこ。でも仲良しっぽいのがいいですな。
ストーリー
副題が初めてついてしまうだけあって、結構ドカンとくる一言で始まるような話。それは最長老のこんな言葉。
「あのな、わし、もう死ぬかもしれない」
最長老の一言は、そのまま「大妖狐が復活する可能性」を示唆していた。
そしてそれと平行して語られる川平薫の過去と現在。彼がいかにして今の彼になったのか? 彼は何を求めているのか? 真実の姿が徐々に語られて行きます。
さらにタイミングを合わせるようにして遂によみがえってしまう大妖狐。しかし事態はそれだけに収まらず、関係者全員の思惑を超えて凄まじい展開へと発展し——。とにかく「いぬかみっ!」シリーズで初とも言えるような大激動の1冊。
始まりは穏やか
薫に仕える犬神たちに対して、ようこの啓太自慢(惚気ともいう)から始まります。まあ最初は全く聞く耳をもっていない(少数を除いて)薫の犬神たちですが、そこへ投げつけられるようこの一言がいいですね。
「あんたたちはケイタの醍醐味がまるで分かってないわねー。いい? ケイタはね、とーっても手がかかるのよ? わたしがちゃんと世話を焼いてあげないとダメなの! カオルにそんな隙がある? お世話させてくれる?」
「あのね、ケイタはね、朝、起こしてあげないとダメなの。ご飯もあ〜んしてあげるとちゃんと食べるの。時々、お散歩もつれていくの! 少し目を離しただけで猫耳や変な服着ちゃうし、も〜、毎日が心配で大変♪」
基本的に犬神という人妖は世話好きなのである。
どっちが主か分からないような展開ではありますが・・・。
ああ、ようこ、今すぐ我が家に嫁に来てくれ。この瞬間、心底啓太が羨ましい!
まあそのかわり、
「もう他のオンナを見ないって誓うか? 誓うか?」
「誓いません! 誓いません!」
なんてやり取りもあったりして、ケイタは焼けこげになったりしている訳ですが、それでも羨ましいなあ・・・。
暗躍するなでしこ、そして赤道斎
さらには薫本人もその中に含まれますかね。「絶望の子」と呼ばれる薫に隠された秘密。その恐ろしい過去。
この辺りは今までの伏線が結構な勢いで回収されて行きますね。はっきり言って伏線についてはほとんど今回で回収されてしまうと言う事でいいんではないでしょうか。そういう意味では「いぬかみっ!」はこの8巻で完全に折り返し地点に入ります。
復活の大妖狐
ようこの父親なんですが・・・天然台風とも言える存在で、基本的に馬鹿、考え無し、子供が三拍子でそろっている超強力な妖怪ですね。
精神年齢ではすでにようこに抜かれてしまっている感じすらあるのがアレですが、その力は恐ろしいシロモノです。そして以前の戦いを繰り返すかのように対決する赤道斎と大妖狐・・・戦いの趨勢は、意外な結果を生み出して行きます。
おまけ
そういえば啓太ですが、以前フラノに予言された「おむつ」「下水を流れる」がこの巻で実現します。しかし何なんだかなあ・・・。
総合
星5つ。
伏線が一つに収束して行く過程は読んでいて実に楽しかったですね。
それに加えていままでユルい印象で進んでいた話が、後半で一気にシリアスが加速して行く様は実にドキドキとさせられました。ついに暴かれる薫の秘密もそうですが、それ以上に物語の行方と、この話での決着の付け方と、次への繋ぎは実に良かったですね。
あああ、完結してから読み始めて良かった。だって待たないで次に行けるんだもん!
イラストのクオリティは相変わらずですが・・・今回は巻頭カラー以外の四コママンガ不足でちょっと不満でした・・・。まあシリアス展開だったから仕方がないけど・・・。