刀語 第七話 悪刀・鐚

刀語 第七話 悪刀・鐚 (アクトウ・ビタ) (講談社BOX)

刀語 第七話 悪刀・鐚 (アクトウ・ビタ) (講談社BOX)

ストーリー

雪山に登って、四季崎記紀の刀を収拾し始めてから初めての怪我などをしつつも、なんとか6本目の刀の入手に成功した奇策師・とがめと、鑢七花(やすりしちか)の二人は、新たに聞き捨てならない情報を入手した事によって、四国へと訪れる事となった。死霊山にあったはずの刀がある人物に奪われてしまい、その人物が土佐にいるという事が分かったからだ。
そして訪れた四国の清涼院護剣寺に居座っていたのは、かつて七花の暮らしていた無人島で離ればなれになったはずの、姉・七実の姿があった。それもあり得ないような形で四季崎記紀の刀を使った状態で。
・・・いきなりトップスピードに乗ったような展開が待っていた第七巻です。

姉ちゃん怖い

とにかく問答無用です。姉ちゃん恐るべしと言うか、虚刀流恐るべしというべきでしょうか。

「やっぱり――ぬるくなったのね」

「雑草をいくらか引き抜いたところで、やいのやいの言われる覚えはないわ。草むしりは私の趣味なのよ。それとも七花、あなた、刀が――斬る相手を選ぼうというの?

もう発言の右から左まで非人間的で怖いですね。七花は無人島を出てから数多の経験を積んできましたが、七実はそれを容易く凌駕する天才性を持って七花の前に現れます。そしてその天才に加えて新たな力として悪刀・鐚をもって登場します。
ここにきてある意味初めて、七花は今まで決して超える事が出来なかった壁が登場した事を知ります。

否定姫と左右田右衛門左衛門

尾張に構えているとがめの敵――否定姫ですが、新たに出て来たキャラクターの左右田右衛門左衛門の会話が描かれますが、ここで幾つか重要な情報が出てきます。

「ああ……真庭忍軍ね。でも十ニ頭領のうち、既に半分以上がいなくなっちゃってるんでしょう? えっと、鑢七実が虫組の三人を全滅させて――しかしとにかく全滅させたり壊滅させたりするのが好きな女ね――先月。蝦夷踊山さらにふたり、亡き者にされているから……残りは四人? だっけ? ……もう彼らについてはほっといてもいいんじゃないの?」
「そうはいきません。まだ――真庭鳳凰が残っています」

ちょっとだけ登場している真庭鳳凰ですが、彼がかなり危険な存在である事、そして彼がある重要な転機を迎えたという事が描かれて行きます。

ダメ奇策士とがめが頑張る

どうも良い所が全くなかったようなとがめですが、今回はかなり頑張って活躍してくれます。
七実との事でへこみまくっている七花にとがめは声をかけます。

「わたしがこれまで、いったいどれだけ負けつづけてきたと思っておる――自慢ではないが一回や二回程度ではない。数百回、数千回と負けておるわ! それでも今のそなたのように、何もせずにただ落ち込んでおったことなどないぞ! そして最後には必ず勝ってきた!」

流石ある意味ダメ人間。気合いが違うとでもいいましょうか。・・・まあ今回は結構カッコいい所がありますが、やっぱりとがめはとがめ、変な人である事は変わりませんね。

「……ぶ、不気味ににやけるな……どうして嫌みを言われて喜んでいるのだ。どんな特殊な性癖だ……」

いや、変なのはとがめの妄想力だと思う。
いずれにしてもとがめの後押しを受けて七花は立ち上がるのですが・・・。さてさて、敵はかつて無い程強力です。以前七実に七花は必殺技である七花八裂の弱点すら発見されてしまっているのですが、これに対して七花は挑んで行く事になります。

総合

星4つ。
お姉さんが相手という事もあって、緊張感はうなぎ上りな感じですね。全体的にシリアスです。
戦いの緊張感もさることながら、姉の七実によって明かされる虚刀流の暗部についても必見という感じですね。実は話の展開はそれほどビックリするものではないのですが、姉と弟の戦いは見逃す事が出来ないものですね。
ところで全然関係ないですが、今回ちょっと出てきた真庭人鳥(ぺんぎん)が猛烈に可愛いです。今後的として出てきたらどっちを応援すればいいんだ・・・どうしましょう?

感想リンク

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