姫宮さんの中の人

姫宮さんの中の人 (MF文庫 J つ 1-8)
姫宮さんの中の人 (MF文庫 J つ 1-8)月見 草平

メディアファクトリー 2007-06
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おすすめ平均 star
star一直線ですが面白い
star証拠隠滅を謀る生徒会長・・・それもまたよし。

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ストーリー

ぱっとしない高校一年生の星野純人はひょんな事から(便利な言葉だなあ)学校内でのみんなの憧れである(もちろん純人も憧れている)、快活でスポーツ万能、成績優秀の生徒会長・姫宮ちとせの秘密を知ってしまう。
その秘密とは・・・実は自分含め生徒みんなが「姫宮ちとせ」だと思っていた姿は「外の人スーツ」というボティスーツによる姿だったのだ! スーツの中から出てきた真・姫宮ちとせは強烈な対人恐怖症であり、気弱な小さな女の子だった!
純人は「姫宮ちとせの中の人」の対人恐怖症を直すための訓練に付き合う事になってしまうのだが、それも一筋縄でいくはずも無く・・・というお話。

外の人スーツは

ずばり「トータルリコール」のアレです。
カパーッと中から人が出てくる感じはまさしくそのままですね。単純に気分によるものなのか分かりませんが、姫宮ちとせはスーツ着ているときと脱いでいる時では外見だけではなく、性格まで豹変してしまいます。

  • 外の人スーツ着用時

「『中の人』など、いないっ!」

決まり文句ですな。

「ちとせと呼びなさい。私は星野くんのことを純人と呼ぶから」

うんうん、良くできた生徒会長という感じです。

  • 中の人が出てきた時

「……見ないで下さい……ですう」
「そんな汚らしい目でちとせを見るなと言っているんですぅ!」

フォントサイズまで小さくなってしまって、もうほとんど別の人ですね。外見も、

  • 中の人 幼児体型で小さい。とにかく小さくて可愛い
  • 外の人 ナイスバディでボン・キュッ・ボン。

という具合に違います。

キャラクターは・・・うーん

主人公はぱっとしないですねえ・・・姫宮ちとせの対人恐怖症を治すために協力するのはいいんですが、どーも流され過ぎな感じで好きになれきれませんな。優柔不断とまでは言いませんが、パッとしないです。はい。
ただしその反面、姫宮ちとせ(スーツ着用時)や、主人公の幼なじみ・神楽結衣は結構過激派で、特にちとせは強引なタイプですね。ちとせと結衣の会話を抜粋するとその辺りが分かると思います。

「第一どいして神楽さんがそういうことを気にするのかしら? あなたは純人のなに? 恋人? それとも保護者?」
「星野くんの幼馴染みです!」
「あっそ、つまりあかの他人ということね」
結衣の返事は不適切だったが、ちとせ先輩もそれはちょっと違うだろう。
「だったら私が私の純人と何をしようが、あなたには関係ないはずだわ」

女同士の戦いはいつ見ても怖いですな〜。

物語は

姫宮ちとせの「外の人スーツ」卒業訓練を中心に、何故か暗躍する彼女の姉・姫宮ちなつ(マッドサイエンティスト)を配置して展開しますが・・・まあラブコメディと言っていいので特に緊張しながら読む必要は全くないですね。
姫宮姉妹の「外の人スーツ」絡みの動機は今イチ分からないことが多いんですが、それでも姫宮ちとせが「スーツから出て学校生活を送りたい」という希望を叶えるべく、主人公は悪戦苦闘することになります。

総合

うーん、星3つかな。
「中の人などいない!」っていうのはネタとして面白かったのだけど、それ以外の所の完成度が微妙で、ちょっと強引な感じが強かったかな。今後続きが出るとしたら、姫宮ちとせと神楽結衣の繰り広げる星野純人を巡った恋の戦いと、中の人の対人恐怖症の克服辺りが興味ありますね。