うたた寝しながら聞いた話

先週末の事です

実家に行って何やら頼まれ事を幾つかクリアした私は、不意の眠気に襲われてソファーでウトウトしていました。午後六時半を回った辺りでしょうか。そろそろ食事時、母は夕食の支度を始め、親父は既に一杯やっているようです。
実家の良い所は寝ていてもご飯がちゃんと出てくる事だなあ・・・などと思いつつ、うたた寝しながら考えていました。と、そこへ両親の気になる会話が意識に残りました。

会話の内容

「意外と大変なのよ・・・もともとは伯母さんと暮らしていたみたいね」
「伯母さん?・・・知らないな」
「知らない? ま、ともかくよ・・・それで伯母さんの所から離れて、おじいさんの所で預かられる訳よ。まだ小さいのに親の都合で行ったり来たりってあんまりよね。可哀想っていうか・・・。そう言う話良く聞くからじゃないから気になるのよ。まあ見た感じ元気みたいだけど」

今の世の中も世知辛いよな・・・とか思いつつ何となく聞いている私。
知り合いの子か、近所の家の子でしょうか。児童虐待とかでは無いにせよ、理想的な家庭環境とは思えない話のようです。

「それは子育てって意味では良くないんだろ?」
「まあ・・・でも預けられた先のおじいさんが悪人じゃなかったんで良かったみたい」
「・・・一応うまくやれてんのか」
「うーん、でも、おじいさんも捻くれちゃってて結構大変な人なのね。まあ段々、だ〜んだん仲良くなれたみたいだからいいけどねえ」
「まあ老人ってどこでもそんなもんだからな」
「おじいさんも結構可哀想な人で・・・息子夫婦が先に死んじゃってるわけ。おじいさんが落ち込んだりする気持ちも分かるわよね。でも結局良い人みたいよ? 結構可愛がったりするみたいね。・・・まあ孫は可愛いから当然と言っちゃあ当然かもね」

自分も既に孫(例の姪)からすればジイさん、バアさんの立場ですから、両親にしてみたら他の家の事でも他人事じゃないんでしょうね。しかし話は良くない方に・・・。

「でもね! それで澄めばまだ良かったのよ!!
さらに酷い事にさあ〜、せっかく上手く行ってたのに、おじいさんの所を離れてまた別の人の所に預けられる事になっちゃって・・・しかも本人はそんなこと全然したくないのにまたしても勝手に伯母さんの都合で引っ越しさせられちゃったみたいで・・・。
伯母さんも酷いわよねえ、小さな子の事を全然考えてないわよね。結局なんだか病気になっちゃって大変なのよ。精神病?」
「なに? ・・・どうなった?」
「一応治ったみたいだけど・・・」
「ふーむ・・・大変だな・・・」

人の家庭の事にあまり口を出せる立場でもないですが・・・私とかは幸運な事にそのような事に会っていませんから、その辺りは素直に両親に感謝すべきなんでしょう・・・なんて思いながら聞いていると、父が意外な一言を口にしたことで事態は急変。


「・・・ハイジって男だよな?」
「違うわよ女の子でしょ! 男の子はペーター!」


・・・・・


・・・今までの話は全部「アルプスの少女ハイジ」の話かよ!?
深刻そうな声音でいいトシこいた大人二人が何を話してんだ!?
つーかハイジが男っていう誤解は酷すぎるぞ親父! 歯を食いしばって前へ出ろ!

・・・

ウチの実家は大抵こんな感じです。この親にしてこの子ありというか、血統というか・・・なんなんだ!
ついでに言えばこの親父、つい最近、

河童っていつ絶滅したんだ?

というかなりの問題発言をぶちかましています。
この情報化社会に汚されていない恐るべき大人がここに一人。進化論以前の問題です。・・・父ちゃん、あなたの息子はあなたのように汚れなく生きたかったです。