桜ishー推定魔法少女(1)桜舞い降りた

桜ish(チェリッシュ)―推定魔法少女〈1〉桜舞い降りた (角川スニーカー文庫)
- 作者: 一肇,三杜シノヴ,デジターボ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
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いやー、またアレですな。と思いつつ読んだ訳ですが!
最初に一言。明らかに読めないからペンネームを即座に変えろ。一肇(にのまえはじめ)って・・・ネットで二次小説公開してんのとちゃうねんで。
ストーリー
佐倉恭一(さくらきょういち)は何ともネクラでパッとしない性格の中学生。自分が周囲から浮いていると自覚しつつも特に何も出来ないという引っ込み思案で口べたな少年だ。
そんな彼が幼なじみの水野ひなたに誘われて、校内で噂になっている七不思議の一つ「理科棟の魔女」の秘密を探るべく、深夜の学校に潜入するのだが、そこで待っていたのは日常から逸脱した「何か」だった。
なし崩し的に怪異に巻き込まれる・・・しかし彼を待ち受けていたのは校内七不思議だけではなかった。現れる正義の魔法少女・チェリー! その正体とは。
キャラクター:ネクラとはっちゃけで良い
佐倉少年は見事なまでに地味ですね。というかイラストでおもいっきりアホ毛が出まくってますか、誰も突っ込まないのが不思議です。
本人は「世界から外れてる」という思春期にありがちな感じを常に持っている訳ですが・・・しかしその辺りも不器用でして、自分がどんな風に感じているのかを上手く言葉にできないという、ある意味主人公として致命的なんではないかという資質の持ち主ですね。
「ぼくは――」
「あの……」
こんな感じです。うわー煮え切らないね〜! でも悪いヤツではないですし、動くまでに時間こそかかりますが、動く時はちゃんと動けます。その辺りは結構大事な辺りなので本編で確認してもらうとして。
いずれにしても口べたな主人公というのもチョイ珍しいですが、裏を張っている魔法少女・チェリーが饒舌ですんでプラスマイナスゼロって感じですか。
「こーゆー状況下ではポジティブさこそ我らを救う! そう、あたしたちは魔法少女なのだ! 魔法少女といえば、ふりふりで、くるくるで、美少女で、派手なのだ! 誰をも魅了し、とろとろにして、パンチラなのだ! しかも、最後は勝つし、必殺技だってたんまりある!」
この違いって何なのよ? というような感じです。
その他のクール美男子&格闘少女にツンツン引きこもり&金髪お嬢様ハンマーも対比が効いていていいですね。
世界観:結構独特
最初は萌え萌え魔法少女モノかと思ったら、意外や意外、ホラー&体育会系のノリでした。作中ではこんな風に作品世界を語ってくれる人がいます。
「圧殿素子の結晶体”蟲(レウ)”というのはね。人の恋に目がないんだ。人は恋すると恋粉(スヴニール)という物質を発する。それをエナジーに蟲は熾界(ヴィジョン)を構成するる。そしてその蟲を退治するのが、キミら恋天使、というわけさ」
人は恋すると恋粉を出す・・・ってなにその素敵物質!? しかもなにその恋天使って凄いネーミング!? 素直にしてやられたって感じですよ!?
「それが、数式。正式名称、魔道数式。はるか初源界層、刻時機構データベースからあなたたちの首もとのチョーカー”オペラ”を通じて貸与される、恋天使の力の源」
総合
あー、星4つ。応援しちゃうかな?
とにかく微妙に冴えないアホ毛少年の恋物語と、ラブリーな恋天使の恋を守るための戦いとがアツい話です。
ストレートに少年の成長物語が描かれ、ついでにストレートに恋天使・チェリーの活躍が書かれます。ある意味変化球っぽい所は一切ない作風ですが、十分に楽しめる作りではないでしょうか。そしてプラスちょいおどろおどろしい雰囲気――悪くないね。
所で主人公の恋ですが・・・どうも失恋に終わりそうではありますが、今後彼がどんな男に育って行くのか興味がありますね。失恋さえ最後に無くしてくれたら俺的には好みだけど、ままならんのも恋だしな〜?
三杜シノヴ氏のイラストも全体的に良いですね。特にぱんだのぱんつ・・・ではなくてカラーページの魔法少女三人そろい踏みのポーズとかは実によかった。華やかで。