銀月のソルトレージュ(3)

銀月のソルトレージュ 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 147-4)
銀月のソルトレージュ 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 147-4)枯野 瑛

富士見書房 2007-08
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おすすめ平均 star
starむ・・・むずかしい・・・

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う、ううう? なんだか良く分からなくなってきちゃった・・・。

ストーリー

かつて一人の魔女がいた。
その魔女は自らの力を大量の「本」の形にして封じたが、封じた力は少なくない数の人間を蝕んだ。そして蝕まれた人間はそのまま不死者(レヴナント)となり、現代を未だにさまようという。
ジネットという女性がいる。彼女は「琥珀の画廊」という魔道書の力を身体に宿した不死者であり、ある目的を持って200年以上を生き続けてきた。しかし目標の一つを達したジネットはちょっとした放心状態に陥っていた。
そこには最近知り合ったばかりのリュカという少年の不在も理由としてあった。リュカこそが「ひとつめの嘘(ソルトレージュ)」という魔女の持つ最大の力を宿していたからだったが、リュカは姿を消してしまっていた。
そしてまた、世界に裏側から影響を与えていた一人の不死者が退場した事でバランスを失い、急速にきな臭くなるフェルツヴェンの周辺諸国・・・物語の幕間とも言えるストーリーが展開される第3巻です。

相変わらずというか

キャラクターはとっても魅力的です。
が・・・今回は主人公であるリュカがほとんど登場しないため、リュカとの絡みで生まれる女性の可愛らしいところがちょい見られないのが寂しいですね。それでも可愛いです。

まずはジネット

自分は、彼の中に、居場所を見出してしまったのだ。
長い孤独と放浪で疲れ果てた心を休める場所を見つけてしまったのだ。
だから、惹かれてしまう。
だから、甘えたくなってしまう。

これに続けて・・・。

どうにも、これは、重症だ。
彼に会いたくて、仕方がない。

・・・どう考えてもこれは愛しちゃってますねえ

つづけてアリス

「例えばあれですよ、ほら、『いつか帰ってきたその時には、君に伝えたい言葉があるんだ……』とか、そんな感じの言葉が欲しかったわけですよ。そんなこと言われたらもう、全身全霊の力を惜しみなく注ぎ込んで待っちゃいますよ。国の歴史に残っちゃうくらいに最高の待ちっぷりを披露しちゃうところですよ。うん」

こんな事をいってますが、アリスはアリスでそれなりに自分に自信がないらしくて、

「どうすればよかったの……かなあ……」

「リュカさんにとって一番大切な人の席には、もう五年も前に先客が座ってた。
私がやってたことは、その席の近くをうろうろしながら、その人をうらやましがることだけ。その人を押しのけようとはしなかったし、できなかった」

リュカの巻き込まれているであろうトラブルの存在に気がつきながら、リュカを良く知るために手を出しあぐねていた彼女は、「リュカの不在」という結果の前に後悔と不安を持っていたりします。まああれですね、アリスがリュカに向けていた思慕は今更語るようなものでもないですが・・・あああああいいなああああこんな娘

で、

ジネットとアリス、この二人が遂に語り合う機会を持つのですが、その中で彼女達は自分自身を見直し、自分の今後を決める決断をして行く事になります。正面衝突とか険悪な関係という訳ではないですが、共通の少年に思いを寄せる美少女二人の対峙は必見ですね
恋の話以外に面白かったのは、アリスがジネットを「伝説の姫その当人」と知らないまま、「国中に愛された伝説のお姫さまですよ?」なんて話を本人にふってしまう辺りですね。むず痒さにひきつるジネットがいいですね。

それとは別に

幾つかの別れや出会いがあらたにジネットには訪れますし、今後の行動に大きく影響してきそうな不死者の集団——「古木の庭」と呼ばれる一団との関わりについても模索する事になります。そして章と章の間では、200年前に起こった出来事が少しだけ語られる事になります。

ただ・・・

物語の設定が段々分かり難くなってきて、ちょい混乱しました。

「本」から生まれた魔術を使うものを「魔書使いグリモア・ハンドラ)」という訳ですが、彼らはどうやら「魔法書の代役(バーント・グリモア)」=「不死者(レヴナント)」という訳ではない?*1 ちょい良くわからないです。

  • 現在の疑問2(刻印ってなんだ)

魔術に影響を及ぼす「刻印」とかいうもの。

魔法書の代役(バーント・グリモア)、あるいは不死者(レヴナント)と呼ばれる者たちは、書物として長い時間をあり続けることを強制された存在だ。並の外傷であれば体内に溜まった夜の軟泥によって復元され、ほんの数時間で跡形もなくなってしまう。
もちろん例外はある。例えば、魔法や刻印(ブランディング)を施された武器によってつけられた傷は、夜の軟泥の動きが阻害されるため、比較的治り遅くなる。が、それでも、よほどの傷でなければ一週間もあれば完治するだろう。

刻印のある武器によって傷つけられると不死者であっても回復が遅くなったりしたり、魔術の影響を抑えたり効果のある刻印もあるらしいけどその原理がよく分からないです。

  • 現在の疑問3(夜の軟泥の意味と価値)

彼らが魔術を使うために用いる「夜の軟泥(ワルプルギス)」というものもある訳ですが、それぞれ所有できる量が違うみたいですし、なぜそんな違いが生まれているのかも分からないです。つまりジネットの強さの源泉が分かりません・・・。

  • 現在の疑問4(フィオル/リュカの存在と「ひとつめの嘘」)

なんだかさっぱり分かりません。理解が追いついてね〜。

総合

なんだかんだ言って好きなシリーズなので星4つ。
しかし、なんだか設定とかの面で段々と分かり難くなってきたのでその辺りを一度整理して欲しいような気がします。用語集とか付けたりして・・・。そういうサービスしてくれないかなあ・・・。いや、俺がバカなのか?
物語の方は国同士(ドーズ、ミルガ、ペルセリオ&フェルツヴェン)の抗争/戦争に発展して行きそうですし、「古木の庭」という新たな勢力も出てきましたので、今後は1、2巻とは全く違った展開になって行きそうな気もします。国家単位の戦争ものとか陰謀劇がそれほど個人的には好きではないので、もしかしたら好みの問題で4巻は星が減るかもしれないですね。
ついでに言えばラストを見るとどうもアリスの登場機会はかなり減りそうな予感がするのでそういう理由でも星が減るかも知れません。

追記

そういえば購入時のオビについてた「とらのあなライトノベル番長」ってなんだよ。仙台店店長ってなんだよ。「慟哭!」ってさらになんだよ。こんな内容のオビを付ける理由がさっぱり分からん。悪いけど富士見ファンタジア、馬鹿と違うか

感想リンク

Shamrock’s Cafe  booklines.net

*1:「ライア・パージュリー(クローディア)」=不死者?