疾走する思春期のパラベラム(3)デイドリーム

疾走する思春期のパラベラム デイドリーム (ファミ通文庫)

疾走する思春期のパラベラム デイドリーム (ファミ通文庫)

ストーリー

佐々木一兎(ささきいっと)は城戸高校の映画部に所属する高校生ですが、映画部とはあくまで表の姿で、実は映画部は<パラベラム>と呼ばれる特殊能力者の集まり。
パラベラムとは「精神力を銃器の形に物質化し、実際に破壊能力を持つ弾丸を使用出来る特殊能力」であり、また同時に「能力の使用による爆発的な身体能力の向上」を持つ者達の事です。
城戸高校の映画部はあくまでパラベラムの集まりなのですが、映画を愛している人間達が集まっているのも事実であって、一兎達は映画の撮影を始めたのですが、その時数年の沈黙を破って「クロスドレッサー」と呼ばれる連続殺人犯が街に現れる。
クロスドレッサーは一兎と親しい映画部の少女・長谷川志甫の兄を殺した相手だった・・・。

うーん

エロい
流石は「武林クロスロード」を書いた作者だというだけの事はありますね。
まああちらより遥かに直接的な描写は抑えていますが、この3巻では都合3回(かな?)の「セックス」シーンが出てきます。まあそのうち一回は事後の匂いだけに留まりますが・・・。
それとついでに百合が好きなんですねこの作者の人。なんというかその・・・女の子同士のヌメヌメというかヌルヌルという感じの*1、男女でのセックスシーンではあり得ないとてつもなく淫靡な空気を醸し出して、想像の向こう側にある様な絡みを書いてくれます。
・・・武林の時はアレを生やしちゃったりしてましたけどね。この話ではそれは無理でしょうから普通に女の子同士で致しております。
えーっと、イイね
私はそういう属性は全然と言っていい程無いんですけど、それでも艶かしさが実に良いです。女性が読んだらどう思うか分かりませんけど。

お話の方は

エロネタを先にやっつけんとメインストーリーに入れないんかい! って突っ込みが来そうですが、徐々に作品内に散りばめられた謎が明らかになって行きます。

  • 「パラベラム」とは何か。
  • 「灰色領域(グレイゾーン)」は何を目的に活動しているのか。
  • 「乾燥者(デシケーター)」とは一体何者か。
  • シンクロニシティ」とは何者なのか。

こんな辺りですね。そして一兎の所属する「城戸高校映画部」の作品内での立ち位置もなんとなくはっきりしてきますね。

キャラクターですが

チョイ役のキャラはともかくとして、メインキャラは数が多い割に印象がしっかりと立っていて実に良い感じ。
主人公の佐々木一兎ですが、地味目かと思いきやラストでは実に主人公らしい活躍をしてくれますし、意外にも知性派? という感じになりつつあります。
その埋め合わせになるはずの総天然ボケキャラの長谷川志甫は今回シリアスな過去が関わっている関係でボケが足りません。志甫ファンの人は次の話まで我慢ですかね。
しかも一兎を巡る恋愛模様はライバル出現によって志甫にとってちょっと厳しくなりそうです。どうなんだかなあ・・・。

総合

うん、星4つ。この作者の人と相性が比較的いいのかもしれないなあ。
精神的に主人公を追い詰めたりするかと思えば、程よいエピソードでその逆境から抜け出るための切っ掛けを与えたり・・・そのリズムが丁度自分にあっている感じ。
キャラクターの良い所だけではなく暗部を描き出す事によって肉付きを良くしている所も個人的には好きですね。
あと、今作でもイラストのうなじ氏は実に良い仕事をしてくれています。口絵カラーイラストも実に良いですが、本編内部の白黒のイラストも良い出来ですね。女の子は実に色っぽく、可愛らしく、躍動感ある動きで書かれたかと思えば、少年達が精悍に、クールに描かれたりします。もう最高。

感想リンク

Alles ist im Wandel  灰色未成年
自分では星4つ付けながらもAlles ist im Wandelのコウさんの書いている感想に妙に納得したり。うん、確かに淡々としてる。
あと灰色未成年さんの所で引用している所はひょっとしたらBL方面的にうららさん辺りは必見かも知れません。これ完全に私信になっちゃってますけど、まあいいや!

*1:なんか表現が悪いですが、上手く言葉が思いつかない。