パラケルススの娘(7)ラーオ博士のサーカス
パラケルススの娘 7 (7) (MF文庫 J こ 2-7) | |
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ストーリー
クリスティーナがある一件を境に突然変わった。ロンドンにやって来たという「ドクトル・ラーオの珍奇と驚異の技芸団」のチラシを見た瞬間に、クリスティーナはかつて彼の前に姿を現し、謎めいた言葉を残して去って行った「魔術師シモン・マグス」が再度の侵攻を始めた事を察知する。
そしてまた、跡部遼太郎の元には一人の日本人が訪れる。その名は玄塚英滋(くろつかえいじ)といい、自分の事を「日本から美弥子や和音の様子と、さらには遼太郎の様子を見に来たスパイ」と公言してしまうといういい加減なスパイで、彼は適当にロンドンで遊びまくっているようだった。しかし、何者かが遼太郎に警告する「玄塚のものに気をつけろ」と・・・。
そしてロンドンでは同時に謎の大量失踪事件が発生し、遼太郎、美弥子、和音、ジンジャー、そしてバなんとかまでも巻き込んでの騒動と発展して行くのですが・・・。
ついに
ラストに向けて動き出したという感じでしょうか。
謎のままに放置されていた「魔術師シモン・マグス」とクリスティーナの過去の関係が一部語られる事になりますし、「聖杯」「器」そして「産霊者」というものが一体なんなのか? という事が徐々に明かされて行きます。
クリスティーナは相変わらずレギーネ以外はどうでも良いという態度を取りつづけていますが、それでも徐々に変わってきたようで、遼太郎を罵倒しつつも大事に思っているような・・・難しくも捻くれた善良な一面を見せてくれます。
また
遼太郎を巡る恋の鞘当てですが、今回は全体的にシリアスさが増してきた関係もあって、その方面での見せ場はちょっと足りませんね。
新しく少女のキャラクターが出てきますが、本編に直接大きく関わってくる事と、幾つかの謎を抱え持っているため遼太郎を狙う(?)女性陣のライバルにまではなりません。
しかしきな臭い匂いが強くなってきた事もあって、少女たちの間にも緊張感が伝播していますね。
6巻は短編集的で平和な位置づけの作品でしたが、5巻のラストの空気をそのまま持ち込んだのがこの7巻だと思ってもらえれば良いですかね。
総合
うーん、星3つかなあ・・・?
緊張感を増してきたのは良いんですが、主人公(?)の遼太郎くんの見せ場が少なかったのと、クリスティーナがちょっとまた引きこもり気味だったので今イチ楽しめなかったのが残念です。この二人、もうちょっと協力関係を築いて事に当たるという事が出来ないんでしょうか?
今回は実はとても悲しい話でもあるんですが、その辺りの印象が薄まってしまったのも星が下がってしまった理由の一つですね。そこだけに絞って話を作ったらもう少し私好みだったかなあ・・・と思わなくもないですね。まあでも、キャラクター描写は相変わらず個人的にはお気に入りなので、続きが楽しみではあります。
岸田メル氏のイラストはやっぱり好印象。女の子を可愛らしく描く事はもちろん、一人のアップだけを描いたかと思えば、複数の人物と一緒に背景や小物までも描いてみたりとか、丁寧な仕事ぶりがとても印象に残る絵師さんですね。