狼と香辛料(6)

狼と香辛料 6 (6) (電撃文庫 は 8-6)
狼と香辛料 6 (6) (電撃文庫 は 8-6)支倉 凍砂

メディアワークス 2007-12-10
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おすすめ平均 star
starコルがかわいすぎて困る新展開
star序章は作者の心情?
star仕方がないといえるかな

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ストーリー

レノスの街で起きた毛皮騒動が取りあえず収束して、それと平行するようにホロロレンスの間に起こった「旅の終り」も回避された。そこにはロレンスによるホロへの「契約書の無担保での譲渡」があった訳だが・・・。
とにかく、騒動に巻き込まれる原因になった商人のエーブに大層にご立腹召された賢狼ホロは、エーブを追いかける旅を提案する。それは彼らの最終目的地であるヨイツから距離の上で離れる事になる旅でもあったが、二人の間にはそれを確かに歓迎する空気があったのは確かだ。
そして物語は初めての船旅へ。川を下って一路ケルーベの街を目指す二人。そして新しい登場人物を迎える商業ファンタジーの6巻です。

箸休めかな〜

ある意味において、1巻からこっち緊迫感に満ち満ちた旅を続けて来た訳ですが、ここらでのんびりとしてみたという感じがしますね。
そうすると作品の魅力の一つである「取引にまつわる緊張感」というものが失われる訳ですが・・・いやいやこれが意外な所で緊張感を保ってくれましたね。
確かに金銭のやり取りは発生しないのですが・・・少しでも有利になろうとする取引に似たやり取りは続行中・・・というか激化しています。

何かって?

つまりホロとロレンスの恋愛取引の出来高が急増している訳です。
どうもニヤニヤ笑いが止まらないホロに対して、

「どうにかして主導権を取り返せないものかな」

なんて独り言を言ったりするロレンスですが・・・そら無理だって。こと恋愛に関して言えばホロとロレンスでは勝負にならなすぎるというか・・・惚れた者負けなんですがな・・・。たとえホロが、

ホロの肩に腕を回して抱き寄せると、ロレンスの腕の下でため息を小さく一つつく。
それが満足げなものに聞こえたのは、気のせいではないだろう。
「わっちゃあ今は……」
と、再びもそりと動いて上半身を回転させると、ちょうど顔が上と下で向き合う形になった。
「こうやって、下からぬしを見上げるのがな、とてもとても、楽しい」

なんて事になっていても、絶対に負けてしまうのです。負け〜。ロレンス君の負け〜。惚れたもの負け〜。

「お前、意外に子供好きなんだな」
「ぬしよ、それでわっちが、わっちゃあ子供がすきでありんす、と答えたらどうするつもりじゃ?」
「どうするって、どうするもなにも……あ……」
「わっちゃあ子供が好きでありんす。のう、ぬしよ?」
「ぐ……」

ちょっとセリフだけ抜き出してみたりしましたが・・・。はいやっぱりロレンスの負け〜。

ちなみに

船旅の最中、ホロとロレンスは喧嘩を始めたりするんですが・・・ロレンスはホロがなんで怒ったのか分かりません。
原因はロレンスが鈍いからなのですが、ホロはというと、

「わかるまで、口利いてやらぬ」

ロレンスはうなずき、ちらりとホロに視線を向けたが、ホロはもう毛布に包まって横になっていた。
その寝姿を見て、喧嘩の仕方にも色々あるんだなと、ロレンスはしみじみ思ったのだった。

・・・こうなった女性は手強いですよ。ウチの実在する奥さんも全く同じ事をやります。そうなるともう手に負えません。
こんな時は男同士で集まって「まったく女ってやつは!」と愚痴を垂れまくった挙げ句(ストレス発散)、原因を探ってその原因を取り除くか、あるいは詫び倒すか、プレゼント攻勢でもしないと厳しいです。
・・・失敗すると晩ご飯がツナ缶になります。

今回は

一人の少年がストーリーに絡んできます。
トート・コルという名前の少年なのですが・・・聡明で誠実な所のある見所がある少年でして、ロレンスとホロに助けられ、その上で船をともにすることになります。
さて、この少年が運んで来たのはこの物語において何になるのか・・・興味が俄然湧いてきますね。

総合

星4つ。
星一つ減っていますが、とても楽しませてもらったという感じです。なんですかねこの抜群の安定感。
確かに緊張感という意味では今回は少ないのですが(どうせロレンスの負けが決まっているから!)、それでもホロとロレンスのやり取りは面白いし、船の上で明らかになる謎の答えも気になります。さらには旅の行方を決めかねない情報なども幾つか入ってきますし、それに加えてコルの存在がまたちょっとした薬味になって楽しませてもらえますね。

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