ラッキーチャンス!

ラッキーチャンス! (電撃文庫)

ラッキーチャンス! (電撃文庫)

ストーリー

あるところに外神雅人(とがみまさと)という少年がいた。彼はとにかく「日本一不運な人間」らしい。
彼は”ごえん”使いという能力者だったので「能力が無い」、という訳でもないし「顔が悪い」とか「性格が悪い」という訳でもないのだが、とにかく「運」だけが無かった。ひたすら・・・ひたすら「運」だけが無かったのだった。ちなみに金も無い。
そんな彼の所に突然押し掛けてやって来たのが福の神と名乗る少女・キチ。彼女は疫病神から”転職”して福の神になったばかりのぺーぺーだったのだが、とにかく不運な雅人に幸福を授けようと必死に頑張るのだった!
しかし、福の神としての経験が浅いキチは雅人を幸福にするどころか大抵は妙な混乱状態に陥れるばかり・・・。それでもまあ雅人はキチを受け入れて、妙な共同生活が開始されたのだった。
いぬかみっ!」の作者が送る新シリーズの1巻です。

おお〜!

安心のキャラクター作りとでも言いましょうか。
読み始めこそちょっと戸惑いましたが、ラノベ的ご都合主義に振り回されているうちにすっかり主役の二人が好きになってしまいました。簡単にメインキャラを紹介してみましょう。

外神雅人
  • 校内で托鉢(お弁当を恵んでもらう)しないとお金がないのでお昼ご飯が食べられない。

「は〜、一週間ぶりのタンパク質!」

  • 校内にある最低環境のプレハブ小屋に生息
  • おっぱいは大きい方が好き。

「ぶっちゃけて言うとね、”おっきい”方がいいの!」

  • 女子からの評判はしょっぱい。

「あの子、顔だけは結構いいじゃない?」
すると一斉に笑い出す女子
「そう、顔だけはね〜」
「でも、なんか情けないオーラがいつも漂っているんだよね」
「へたれ、というか」
「貧乏臭いというか」

あと、”ごえん”使いとして優秀で、明るく優しい貧乏少年ではある。
”ごえん”使いとは、触媒に五円玉を使う法術みたいなもので、悪霊退散とかに使えたりするけど、使うたびにお金を消費するのが痛い。五円でも主人公君には痛い出費。赤貧。

キチ
  • 疫病神からの転職組

「え? 転職って……誰が?」
「わたしが」
「は? 福の神とかってそういうものなの? じゃ、じゃあ、キチってそもそも元はなんだったの?」
「貧乏神」

・・・神さまの世界にもハローワークがあるのか? 

  • 基本的に何もかも勘違いしている

「男の幸せは二つしかないと聞いた。お前が欲しいのは金か? それとも女か? どっちもわたしがあたえてやろう!」
「え? 金か女かってそんな生々しい。俺はそんな、そんな」
と、言いつつも雅人は照れくさそうに己に正直になる。指で地面に「の」の字を書き、上目遣いでそっと、
「……どっちもとかはあり?」
かなり図々しい。
「もちろんだ」
と、大いばりでキチ。

  • 上記の部分をよくよく聞いてみると、

「え〜と、キチ。あのさ、君が言うところの女、って一体どういう意味なの?」
「わたしだ!」
「は?」
「だから、さっき言っただろう? 金も女も全てわたしがあたえてやる、と。わたしだ!」

・・・ロリコンの人なら狂喜乱舞の展開ですが、雅人は変態ではなかった。

  • 一応福の神らしく”幸運招来”という技が使えるが、失敗すると運が逆に悪くなるらしい。
  • ”幸運招来”を成功させるには”福言葉”というモノを見つけないといけないらしい。

などなどです。
なにも知らない幼女福の神ですが、雅人は人がいいのでエッチな事もせず、彼女をなんといいますか・・・放っておけない存在として保護(?)することになります。
しかし・・・健気なんだなあ・・・キチは。手を尽くして雅人を必死で幸福にしようとするんですね。いや〜可愛らしい。
・・・ちなみに変な入れ知恵をされると

「”お兄ちゃん、イケナイ妹をお兄ちゃんの欲望でお仕置きしてください”」

こんな感じでキチは暴走します。ロリコンのみんなだったら耐えられるかな〜?

ま、

他にも、露骨に変態のケのある校長のサモン・時次郎とか、雅人が実は想いを寄せる心優しき巨乳美少女の二ノ宮良子とか、通称”エロ坊主”の覚者である同級生の山口亮亜とか、個性的なキャラクターが目白押しです。
とにかくなんといいますか・・・「いぬかみっ!」にも言えた事ですけど、胸くそ悪くなるような悪意が作品全体から感じられず、安心、快適、愉快に読めるのが良い所でしょうね。元気な主人公というのも個人的にポイント高いです。

総合

星4つ〜。
あんしんのライトノベルと言える出来映えではないでしょうか。キチには何やら本人も知らなそうな裏がありそうですし、雅人もまだ語られてい不幸の根っこがありそうです。作りから言っても2巻が出るのは確定的なんでしょうが、十分楽しみにして待てそうです。
いぬかみっ!」を楽しんで読んだ人は読まないと損だと思いますね。
やはりこの作者の良い所はキャラクター作りですね。「変態」×「変態」=「ライトノベル的普通人」みたいな跳躍を見せてくれるところが読んでいて面白いし、心地よいし、まあ良いのです。
イラストは「えむえむっ!」とかを描いているQP:flapper氏ですね。キチの幼女スタイル全開のシャワーシーンのイラストは、ロリ必見なので本屋にゴー。・・・あ、そうそう、この辺読んで買いたくなった人は自分にロリの烙印をちゃんと押してね?

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