たま◇なま(3)生きている、理由。

たま◇なま 生きている、理由(わけ) (HJ文庫 ふ 3-1-3) (HJ文庫 ふ 3-1-3)
たま◇なま 生きている、理由(わけ) (HJ文庫 ふ 3-1-3) (HJ文庫 ふ 3-1-3)冬樹忍  魚

ホビージャパン 2008-01-28
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ストーリー

高校生の氷見透(ひみとおる)と元・鉱物生命体の由宇との奇妙な共同生活は相変わらず続いていた。
しかし、かつては人間らしさを全くもっていなかった由宇には次第に変化が訪れていた。彼女が徐々に人間らしくなって来たのである。しかし、そうは言いつつも相変わらず普通の人間とは多少のズレを発揮している由宇だったが、「自分の人間としての魅力」にも気がつき出しているらしい。
そんななか、透と同級生達は部活動の合宿という事で船で島へ・・・つまりは夏の海へ行く事になるのだが、そこには水着の誘惑と、得体の知れない弾丸少女が透へゴリ押しで接近してくるという事態がまっていたのだった。
なんだかいきなり青春し出したシリーズ3巻です。

うーん・・・

個人的に期待はずれだったのだな・・・。
正直にいって1巻、2巻共に楽しんで読んでしまったので、この3巻も大期待で読んだのだけど、由宇の魅力がちょっと減っちゃったなあ・・・というのがホンネですね。
私が由宇というキャラクターに感じていた魅力は、

  • 無限とも言える寿命を持った生物のため、高度な知性を持ちつつも僅かな期間しか生きられない「人間」の存在理由が感覚的に理解出来ない。
  • 「死」の概念を持たない生物だったため、その生物が「死」を受け入れざるを得なくなった時に発生する不安定さ。

などの、明らかに人間と違う目線で「人間という生物」を見つめているその態度だったのですが、この3巻で由宇は非常に人間的な姿を見せてくれます。

「あ……………………そこは、いいんだ。その先は、いい。そこは、塗らなくても、陽は、当たらないからな。ほら、そこは、その、………………だから、その……おい、止めろ! そ、そこに近づくなっそこに近づけるなっ触れるな寄るなっ離れろっ手をっ離せっ!」

って感じで始まりまして。

「………………あの……………………………………なんで、そんな、突然、止め……」

という具合に花がほころび出し……。

「あ! また! ……は! また来た! ……ああ…………そこは、そこはいいって、言ったのにっ。また……やめ……いや、やめ…………違うっ、いやっ。止め、いやっ、あっ、いや、いいっ、止め、いやっ。……いやっ。止めるの、嫌……
あ……違うのっ、今のは違う私違うのっ」

・・・正直に言って、脳内で想像が凄い事になってちょっと勃起した
まあ私の下半身は知性がゼロなのでどうでも良いとしても、こういった変化を由宇が見せてくれます。つまり、私が魅力に感じていた「由宇の非人間性」とでも言う部分が失われてしまったという事でもありまして・・・。

物語も

今回は箸休めとも言えるような展開ですね。
1、2巻で見られたようなシリアスな展開は基本的になりをひそめ、コメディ色が強く出ています。主人公の透も1巻の時から考えると別人のようですね。最初の方で彼は凄いハプニングに襲われて、結果として式津愛華(しきづあいか)という少女と出会うのですが・・・。

「えらいモンを見た……」
「だから何を」
「見てしまった……」
「見たら呪う系の妖怪か?」
「世界が…………」
「えらく深遠な単語が」
「世界が始まる……」
クトゥルフ系か?」
「世界が始まる場所を、見た」
「なんか物凄い事言ってるような気がするんだが、意味はわからん」
「発禁になったら、どうしよう…………」

母なる大地の裂け目」とかですかね?
他にも、

「タイトルは大事だぞ」
「タイトル?」
「『なま◇くび』の方がいいかな」
「なんで四文字?」

作者本人も分かってなかったのではないかという疑惑がここに来て急浮上です。というかいきなり視点が変わったりしてビックリですね。

総合

うーん、今回は星3つ。
「安全な『罹患者』」≒「危険な『発症者』」という「宝石憑き」の分類と、それに対応する人間の組織の「対策室」。
そしてその「対策室」の中に存在する「欠片同盟」という「宝石憑き」の一団と、彼らの奇妙な動き。そして彼らが追っている「白い人」と、彼がばらまく「白い破片」。これらの要素と主人公達の動きが重なり合って、奇妙なうねりを作っています。
しかし、個人的にこの話に求めているのは「コメディ3割、シリアス7割」って感じなので、今回は星が減りました。うーん、次に期待です。つまらないか? って聞かれたら、つまらなくはなかったけど・・・うーん、って返答に困る感じですね。
イラストは魚氏によるものですが・・・もう勘弁して下さい。口絵カラーのイラストで、本編では黄色って書かれている水着がエンジ色(?)です。一体誰が悪いんだこれ・・・。

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