量産型はダテじゃない!(2)

量産型はダテじゃない! 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 180-2)
量産型はダテじゃない! 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 180-2)柳実 冬貴

富士見書房 2008-01-19
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おすすめ平均 star
star1巻より2巻の方が圧倒的に読みやすい
starこの巻はつなぎです

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ストーリー:1巻と基本の変更無し

——時はアルタイル星暦3421年。第一次UD戦争の最中の事。
「UD」とは戦闘用に作られたヒューマノイド「アルティメットドール」の事を指している。そしてこの世界では人と機械知性体とのいつ果てるとも知れない戦争が続いていた。
その果ての見えない戦場の中に一人の「英雄」と呼ばれるヒューマノイドがいた。名をシュナイダーという。一機で戦況をひっくり返すだけの力を持ち、戦い踊る戦闘機械。彼はその力のために白光の騎士と呼ばれた。
この物語は、最新鋭のヒューマノイド・シュナイダーの華麗な戦いを描いた作品・・・ではない。
幼女科学者・ヘキサの逆ギレによって修理され、復活を果たした時代遅れの無骨/低価格/量産ロボであるところのポンコツ戦闘ロボ・ナンブが主人公である。ナンブは結果としてヘキサの家政婦にまで身を持ち崩す(?)のだが・・・そんな境遇を意外と気に入っているナンブであった。
この物語は、そんな元量産型戦闘ロボ/現駄目家政婦ロボのナンブが固い気合いと根性でトラブルを乗り切っていく物語である。

むぅ〜

まず目に付いたのは緑色をした身体だった。角張った肩に、見るからに安っぽそうな装甲。特徴がないと前面で主張している陳腐な顔は、瞳の部分が異様につぶらで、くりくりしていた。
そして——皆の目には、その者が身に纏っている純白の割烹着が、装甲の輝きよりも増して光っていた。
たぶん……UDだ。皆そう思った。

相変わらずと言うか、さらに酷くなっているナンブのポンコツっぷりです。そして漢っぷりも相変わらずです。

「たとえ周りから笑われても、後世に偉業が伝わらなかったとしても、目的を全うして眠りにつけるのなら……そんなに嬉しいことは、他にないでござる」

「おまえはデッドゾーンでも見たのか!」

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(↑コレね。)とか突っ込みたくなりますけどね。まあ男の身勝手なロマンと言うか・・・犬死にはダンディズムというか・・・そんな感じですかね。

・・・悪くない

悪くない、いやむしろ好きなんですけど、1巻にあった熱さというのは無くなってしまっていますね。
別にナンブというキャラクターに何か大きな変化があった訳でもなければ、彼の気合いと根性が失われた訳でもないんですが・・・2度同じ方向性で話を作られてしまうと、なんというか意外性とか熱血感は失われてどうしても予定調和的になってしまうんですよね。
1巻でのナンブの活躍を知っているのでどうしても読者としてはナンブを「根性の太い凄いヤツ」として予め見てしまっているんです。ですのでどんなピンチに陥っても「ナンブなら・・・ナンブなら何とかしてくれる・・・!」って気持ちが無くなってくれないんですよ。
ですのでこの2巻ではどうしても1巻の血湧き肉踊る逆転劇の熱さを感じられませんでした。
もうちょっと上手く話を作ってくれないと、あの1巻の熱さは取り戻しにくいでしょうねえ・・・物語を楽しむのも難しいのだなあと思った2巻でした。

代わりと言っては何ですが

ヒロインの少女・ヘキサは1巻と比べていい味を出して来ていますね。
どうも科学者というよりはデスマーチに突入している最中のプロジェクトリーダーって匂いがしますが、まあなんと言うんでしょうか、1巻と変わって結構な見せ場が用意されていたように思います。
特に絶対的に不利な状況でも敵をこき下ろせるその根性には惚れますね。弱い。弱い。ヘキサは弱い少女なんですけど・・・でもちょっとだけ強い。強い瞬間が間違いなくある。う〜ん、ヘキサという少女のキャラクター造形にもナンブと同じ「気合いと根性」の匂いがするなあ・・・。

あと良かったのは

実は「某変態アンリミテッド鉱石」であり、現ウネウネのアレです。ナンブに一方的な片思いをしている彼女(?)のウネウネっぷりが素晴らしいとか思いました。うーん、ワンダフル。

”ウネウネ……ウネ”
ナンブが去ってからしばらくは寂しそうに項垂れていたのだが、今では人差し指で檻の床を叩きながら、まるで貧乏揺すりでもするように落ち着かない様子だった。

いやあ、実に良いウネウネっぷりですね。もの凄く気に入ってしまいました。
一途にナンブを思い続けるその姿はまるでちょっとストーカー気質の少女の様ではないですか! このウネウネに女性型のボディを与える事を作者の人には一度真剣に検討して頂きたいです

また新キャラに

変態科学者が出てきますね。

「さあ、それじゃあ——どこから解体(おか)して欲しい? 特別に選ばせてやろう。ジェネレーターか? ブースターか? メインメモリのなかを漁ってほしいか?」

美女ですけどメカフェチの変態です。なかなか面白いので注目してみて下さい。

総合

星4かな。
安定して面白いと言えるんですが、上記のように予定調和的な展開が想像出来てしまうのが欠点ですね。
それと高性能なのに完全に当て馬扱いになっているシュナイダーにも見せ場を用意してあげて下さい・・・なんか今回はシュナイダーのシーンを読んでいてあまりの事に悲しくなりました。
ただしまあ、1巻はナンブあっての物語と言う感じでしたが、今作はヘキサやその他のキャラクターが徐々に良くなって来た感じもしますので、まだまだ見守っていこうかと思います。でも駄目軍人二人は今回見所が無かったなあ・・・。
テーマは気合いと根性・・・確かに当たればとても良いんですが、それで続けて面白い話を作っていくのはとても難しいテーマですね。作者の人にはもう頑張ってと言うしか無さそうです。

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