くみちょ!(2)3億円をとりかえせ!
くみちょ! 2 (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 し 3-2) | |
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ストーリー
鏡圭一郎はカードゲームが得意なだけのオタク気質の高校生。
しかし親の借金のカタにヤクザにその身を買われてから人生がとんでもない方向に大回転してしまい、何故かその生まれ持ったゲーム感覚と「運」を買われて総長賭博に出場し、結果として自分を買ったヤクザの住川組(実在する組織とはなんの関係もありません)に自分の生息地を見つけ出してしまっていた。
そもそも圭一郎は鈍いというか・・・果てしなく根性が太く、つまりはポーカーフェイスなどせずとも常に自然体の少年であって、結果として運を引き寄せる少年なのだった。
そんな感じで住川組に住まう圭一郎は組の組長(兼、組のアイドル)の住川あゆみ(明らかにロリ)と、何故か住川組に入り浸る幼馴染みの笹原恵(生涯1ピンク)に囲まれて行くも指詰め、引くも指詰めという「日本で一番小指を無くす可能性が高い高校生」となっていたのだった。
そしてそんな住川組に今回もやってくるトラブル。株取引で出た3億の損と、組の威厳を取り戻すべく新たな勝負が持ちかけられるのだった・・・。
正直
ムチャクチャな展開なんですけどね・・・なんかそこそこ面白いんですよ。
組長はもちろんタイトルの通り小学4年生な訳ですが、それでもヤクザはヤクザであって妙に根性が据わってるんですよね。そういう意味では今回対抗馬として出てくる新キャラの緋色あかねや堂島菊子共に根性が実に据わっています。金と力のためなら平気で自分のカラダとかを天秤の片一方に乗せる事が出来る根性の持ち主です。
もちろん勝負は時の運ですから一歩間違えば貞操なんて吹けば飛ぶような状況にも関わらずそれを平気でやる。しかもそれを「当然の事」として平然と受け入れる・・・うーん気合いというか、住む世界が違う・・・。
「やっぱりムショの空気はいいわねー」
緋色あかねの第一声からしてこれです。普通はシャバだ。
で、彼女らをして
主人公の圭一郎はこんな風に評されます。
能力はいい。能力のある男はたくさんいる。だが、「運」のいい男はなかなかいない。しかも、自分ではなくて、「他人に運を与えられる男」は貴重といえた。
「正直だったことよ。ヤクザってのは、いくら仲が良くても、どこかで相手を値踏みしてしまうところがあるのよ。そういう習性があるの。侠気があるのとは別に、したたかに計算してしまう習性がね。でも、あなたにはそれがないでしょ? そりゃ、勝負となれば計算するのかもしれないけど、人間的な計算は感じられない。そこがいいわ」
「普通だと思うんだけど?」
「普通って難しいのよ、圭一郎君。とくにこんな世界ではね。この世界で普通を保てるっていうのはね。わたしたちには魅力的なの。そしてあゆみもそれを感じてると思うわ」
それだけの評価をされてしまう圭一郎ですから、彼を手に入れようと女性陣はマジでやっきになります。
言われるままに携帯を渡す。あかねは、ぱっとスカートをめくると、自分の下着を写真にとって、圭一郎にわたした。
「ちょっとはしたないかもしれないけど、ヒマな時に見て」
「はうううううう」
フツーは自分の下着写真を自分で撮って人に渡したりしない・・・!
「可愛い。ではないでしょ? ん?」
あゆみは圭一郎の顔に、ぐりぐりと胸を押し当てた。肉ではなく、骨が頬にあたる感触がする。まだ子供っぽい甘い香りがただよってきた。子供特有のこの匂いは、慣れないとかなり神経に危険な感情を与える。視覚よりも感触よりも体に訴えるものがある。
で、
今回の勝負は株です。いや株って・・・って感じですが、株は投資であり投機であり博打ですからね。
しかも普通はやりようもない仕手株です。仕手株っていうのは・・・まあ説明するのも面倒なんで本書で確認して欲しいですが、とにかく意図的に株の値段を操作して、そこから儲けを捻り出す方法ですね。インサイダー取引とかもその辺りで利用されます。
まあゲーム感覚と言えば言えなくもないですが、なんだか10億、20億とか言ってるので金銭感覚が麻痺しますね。まだトレニー金貨とかの方が健康に良さそうです。
という訳で
楽しんでしまったので星4・・・いや、まだ3つにしておこうかな?
ロリロリな表紙と比較するとビックリする位に根性の据わった連中(特に少女)が出てくる話ですね、しかも今回主人公の圭一郎は全員の幸せを考えた挙げ句ハーレムルート一択で話を進めちゃったりします。童貞なのに。まあその辺りがこの話の変なところなんですけどね・・・。
株取引に関する下りなんかは意外に良く調べて書いてあるなあという感じで結構読ませる割に、その傍らでアイドルやってるキャラクターがいたりとか・・・いや〜変な本ですよ。でもなかなか面白いので一度手にとられてみては?
*1:根拠は姪の存在。