BLACK BLOOD BROTHERS (S)(5)

BLACK BLOOD BROTHERS S 5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5) (富士見ファンタジア文庫 96-14)
BLACK BLOOD BROTHERS S 5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5) (富士見ファンタジア文庫 96-14)あざの 耕平

富士見書房 2008-02-20
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おすすめ平均 star
starいつもどおりの短編。

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ストーリー

BLACK BLOOD BROTHERSの短編4巻の直後の話と言って良いでしょうね。
あの堕ちる所まで堕ちた"確かヒロイン……?"の葛城ミミコが一応まともな(いわゆる保険証とか持ってそうな)人間に生まれ変わって、一応ちゃんとしたフリーの調停屋生活を送るようになってからの物語です。
前の短編集で描かれたようなまさしく人間最下層というような描写はなりを潜めましたね。

ま、

そういう意味ではインパクト的にちょっとパワーダウンしたというのは否定出来ないですね。
収録されている短編は3つで、どの作品も「いかにもBBB」という作品が並びます。それぞれの作品への登場人物はジロー、コタロウ、ミミコの3人にほぼ固定されていて、本編で登場シーンの多いキャラクターは出てきません。
そういう意味ではジロー達の日常を描いた作品としては間違いなく王道の出来ですね。

でもねえ・・・

やっぱり前の短編の「乾燥ミミコ」「ドロップアウトミミコ」「やくざミミコ」などのインパクトは強過ぎました。まあ私も社会人としてあんな状況に放り出されたらああなるのはなんか分かりますけど、やっぱりテトリス廃人は強烈過ぎたと思うんですね。
いや、今回の短編がつまらなかったというよりは、ここの所読んだ作品と比べるとインパクトに欠けたって感じでしょうか。どーも感想を書き綴る私の脳の回転も鈍りがちです(いつより余計に鈍っています)。
でもまあ・・・ジローの剣術勝負の話が個人的には好きです。

とはいえ

やっぱり今回もついている「過去編:BBB CHRONICLE」の「月と太陽モンタージュ」は良かったですね。
時代は1900年代中盤に突入して、テレビが映る時代から話が語られる事になります。簡単に言えば第二次世界大戦後の物語ですね。本編にも顔を出しているサブキャラクター達が多く顔を出す作品作りとなっていまして、ゼルマンの過去の姿が描かれたりします。まあ正直な所今とあんまり変わりませんが・・・。
ちなみに一番よかったのはある人とある人が再開するお話ですね。

……うふふ。
ああ、ごめんなさい。実はその、あなたと話していると、どうしても昔親しかった、ある人を思い出してしまって。
その人もね、あなたみたいに誠実で、礼儀正しくて。
とても思いやりのある方だったんですよ。
話し方が似ているのかしらね。そういえば、背丈も、ちょうどあなたぐらいだった気がするわ。
え? その方?
ふふ、私の最初の婚約者です。
と言っても、あたしがまだ五つか六つのころの、親が勝手に決めた話ですけどね。

・・・誰だか分かります? 私は直ぐに分かってしまって、時の流れの無情さと優しさを感じました。

総合

星は3つです。
全体としてはファンなら買いですけど、うーん、別にこれだけなら読まなくても良いかな〜って感じです。
書き下ろしの短編も面白い事は面白かったのですが、色々な話を断片的に書くよりもやっぱり一個の話をちゃんと掘り下げて欲しかったなあと思ったりしました。既に登場しているキャラクターの紹介話みたいになってしまっていて、うーん、どうもな〜って感じがしました。
個人的に新キャラとしては真祖混沌の血統の「南の朱姫」と壮剣ローランの血統の「ペンテウス・ハーゲンダルフ」でしょうか。うーん、こういうストレートなキャラクターに弱いです。はい。

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