紅〜醜悪祭(下)〜

紅~醜悪祭 下 (4) (集英社スーパーダッシュ文庫 か 9-7)
紅~醜悪祭 下 (4) (集英社スーパーダッシュ文庫 か 9-7)片山 憲太郎

集英社 2008-04-25
売り上げランキング : 2869

おすすめ平均 star
starあまりにも酷い
star集英社 スーパーダッシュ編集部は猛省してください
star未完結小説ですね。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

はじめに

今回のこの下巻の出版形態は非常に不愉快な作りとなっています。昨日の雑記でも余りの事に書いてしまいましたが、あらためて書いておきます。どのような点が不愉快かというと——

  1. 本編がイラスト含め僅か「122p」しかない。長編書き下ろしとは言い難く、良くて中編である。
  2. 下巻と銘打ってあるにも関わらず、前巻から引っ張っている事件が解決しない。
  3. 何故かアニメ「紅」第一話の台本(?)が丸々載せてある。
  4. 謎の用語辞典、謎のストーリー紹介用付録がついている。
  5. そして上記の事には裏表紙のあらすじの所には一切書かれていない。

などです。
どうしてこのような本が出来上がってしまったのか・・・それは推測をするしかない訳のでここでは割愛します。というか出版された本が全てです。はっきり言ってこの下巻を見て思いつくのは一言でして「水増し本」ですね。
で、私の言いたいような事は皮肉な事に実はこの「紅」シリーズの1巻で主人公の紅真九朗が言ってくれていますので、それをちょっと改変してお送りしましょう。

集英社スーパーダッシュ文庫ライトノベル界で生きるのは、宿命。そのシステムは不変である」
「なら滅びろ」
「何?」
「そんなふざけたシステムがなければ存続できないなら、集英社スーパーダッシュ文庫なんか滅びてしまえ」
「貴様……」
「あんたが本当に大物ならな、さすが集英社だと、俺を感服させるようなところを見せてみやがれってんだ!」

こんな感じでしょうかね。
難しい理由など必要ないでしょう。このシリーズを愛読している読者こそ、今回のこのやり口に私が感じた不愉快さ、不誠実さをご理解頂けるのではないでしょうか。
ちなみにこの下巻には作者のあとがきもありませんね。まあ私が作者だったらこの内容で書けるあとがきなんて「ごめんなさい」の列挙くらいしか思いつきませんので、逃げただけかもしれませんが。

とまあ

一通り書きましたので本編の方の話をしたいと思いますが・・・上記の通りの理由で話が解決しません。
個人的には全体的になんとなく、どことなく「粗さ」を感じていまして、「推敲中/未完成の文章」という印象もしたりします。紫の登場シーンなどは唐突な印象を拭えません。
ただし、ストーリーの展開そのものは上巻と違ってアクション中心になり真九朗も格好いいところを見せてくれたりします。
またこの作者独特の技で持って「悪役らしい悪役」を見事に作り上げている感じもいいです。この辺りは上手いなあというか、よくもまあここまで胸くそ悪くなる敵キャラクターを作れるなあと感心したりしました。

しかし

いかんせんボリュームが足りないですね。
ラストの終り方なんて実に酷いものです。いよいよこれからという所で話がブツッと途切れて終了・・・というのは余りに情けないというか、余りに読者を舐めているというか・・・。露骨に「続きはCMのあと!」という匂いを感じます。
いえ、無理に切ったというより、作者が書けなかったのかも知れません。でもそれも分かりませんし、今手元にある本が「その結果であり全て」です。

総合

星1つにしなければならない。
幾らファンでも、幾ら本編で楽しめたとしても、この本に星を沢山つけるのは何かを冒涜している気がする。正直なところを言えば、次が出ても本を買いたくなくなる位には酷い本でした、
個人的にはよくもまあこんな本をいけしゃあしゃあと出版できたものだなあというのが本音です。そうそう、ページ数を稼ぐためなのか、今まではなかった「登場人物紹介」ページと「これまでのあらすじ」ページも付いてます。登場人物については以前はカラーイラストのページにあったりはしましたが・・・今回のこれは親切設計の結果このようになったという訳ではなさそうですね、どう考えても。
上下あわせてようやく今までの1冊くらいの分量しかない今回の「醜悪祭」編。原因は本当になんだか分かりませんが、作者も編集も猛省するべきだと思う。今一番醜悪なのはこの本の出版関係者に他ならないから。

感想リンク