僕がなめたいのは、君っ!

僕がなめたいのは、君っ! (ガガガ文庫)

僕がなめたいのは、君っ! (ガガガ文庫)

ストーリー

園芸部で花をこよなく愛する少年・葉ノ宮洋(はのみやひろ)は、今日も学校で花達の世話をしていた。ドジだけど可愛くて熱心な後輩の女の子にも恵まれ、園芸部の活動はとりあえず順風満帆と言えそうだった。
・・・が、ある日街で偶然ある少女を見かけた事によって、彼の青春は激動の展開を迎える。その少女の背中には艶やかで巨大な薔薇の花が咲いていたのだ。しかもその花はどうやら自分にしか見えていないらしい。
気になって少女を追いかけた洋は、少女が花を伸ばして銃のようなものを創り出して、怪しげな怪物を猟っている事を知る・・・。
珍しいというか、変わり種というか”植物”ベースの設定で進む学園異能ストーリーです。

うーん

簡単に言えば「なんかファンシー」で「変」だけど「ちょい弱い」ですかね。
背中に花を背負った少女の正体は梨花(みことりか)と言って、「花族」という能力者。彼らは心の力によって精神的な花——蜜花——を咲かせる事が出来、その力を使って人に害を為す蜜鬼という妖怪を類いを倒す任務を負っている・・・。彼らを統括するのはフラワー協会・・・。
うん、タイトルといい、この設定といい、なんとなく分かると思いますがコメディ成分豊富で、かつ変です。

で、

こんな怪しげな世界観の中での主人公の洋の役所ですが・・・彼は「花視」という能力者であることが分かり、彼は花を「視る」ことで花族に力を与える事が出来るというもの。しかしそのためには花族の全員にある「蜜口」から彼らの蜜を舐める必要があるという・・・。
これはさらに変ですな。ちょいエロ&変ですね。こう言ってはなんですが、この設定の怪しさは結構目立つので、ガガガの選考委員の人がこの作品に何も手を入れずに切り捨てるのを躊躇った理由もなんとなく分かります。ちょっと特徴的で確かに気になりますね。

でもねえ・・・

致命的と言える程キャラクターが”親しみが湧くゾーン”からズレている感じがします。
主人公の葉ノ宮洋くんは気合いがあるのかないのか分かりませんし、お笑い体質なのかそうでもないのかはっきりしません。ヒロインの尊梨花との出会いのシーンもなんだか違和感が先に来ます。
なんと言ったら良いんでしょうかね・・・「行動するための動機付けが弱い」と言えば良いでしょうか。原因と結果が綺麗に繋がっていないというか、「ある出来事があったから必然的にこうなった」という因果関係が強引で、どうしても話の展開に納得できませんでした。
また、序盤の尊梨花はただひたすら強引で意味不明で、可愛らしさが全力で不足していますし、中盤以降のお涙頂戴的なエピソードも余りにもとってつけた様で正直興ざめだったかな・・・。

総合

星2つかな・・・。もう少し頑張ってくれれば星3つなんだけど。
大筋の話の作りは悪くないと思うんですが、とにかく序盤から中盤にかけてのキャラクターの心の動きが今イチ納得できない/不自然というのが目に付きすぎました。もうすこしキャラクターにリアリティのある行動をとらせて欲しいという感じがします。
そういえばサブヒロインに貴島帆鳥という女の子も出てきますが、この娘もパッとしなかったですね・・・。なんですかねこの魂の抜け具合。もうちょっと頑張って欲しいなあ・・・。

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