死神のキョウ
死神のキョウ (一迅社文庫 か 1-1) | |
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カテゴリにコメディとシリアスが並び立つというシュールな状況になってしまいましたが、まあいいか・・・。
ストーリー
笹倉恭也は一見普通の高校生であったが、とにかくしょっちゅう人生最大のピンチとも言えるトラブルに巻き込まれる少年だった。ちょっとした事(大抵は好意)から気がついたら山で遭難しかける、海で遭難しかける、凍死しかける、轢死しかけるなどなど・・・とにかくしょっちゅうそういう目に遭う少年だった。しかし現時点ではどっこい生きているという感じの結構根性が太い少年でもある。
そんな彼の元にしまぱんが・・・ではなかった自らを「死神」と名乗る少女が現れた。少女は自分の事を「キョウ」と名乗り、恭也の命を守りに来たのだという・・・。
死神が自分の命を守りに? という展開に殆ど付いていけない恭也だったが、彼女曰く、死ぬ予定の無い命が勝手に死ぬのは困るのだという。
とにかくキョウは自分を黒谷鏡と名乗る事にして、さらには謎の能力でもって勝手に恭也の許嫁という事を周囲に納得させてしまい、なし崩し的に24Hour/365Dayの監視体勢に入られてしまった。
鎌の替わりに怪しげな日本刀・村正宗を携えた死神・キョウと恭也のドタバタな学園生活を描くコミカル&シリアスなシリーズです。
おほぉ〜
ゲーム開発というかシナリオライターですかね? とにかくゲームの開発に携わっている人間に共通するのかなんだか分かりませんが、なんとな〜く、どことな〜く田中ロミオと同じリズムとか、同じ匂いを文章から感じますね。小技がちょこちょこ繰り出して来て、気がつくとページを捲っているという・・・。
えー例えばですが、こんな文章がありました。
「まずい……まずいぞ……」
「なにがだ?」
「相手チームの女子……ノーブラかもしれんっ!」
思わず俺は相手コートを見る。
「おそらくトップに絆創膏を装着しているに違いない。あの揺れはあまりにフリーダムすぎる」
しばらく前の田中ロミオの作品の「人類は衰退しました」の3巻でも「スペイシーなシビアさが感じられん」なんて一文がありましたが、「フリーダム」の使い方がそれになんとなく近いと思いません? 思いません?
ノーブラとかたゆんたゆんだから気になったとかでは・・・ない・・・はずです。
あと
キャラクターの作りは全体で良いですね。
実は序盤から中盤では主人公とヒロインより、その周囲を固めるサブキャラクター達が非常にいい味を出しています。
- 恭也に並々ならぬ想いを向ける両方イケル感じの美青年の同級生・御柱克己
「ははは、嫌だな恭也、何を身構えているんだ。僕はただおまえが苦しそうだったから呼吸が楽になるようにとシャツのボタンを緩めてあげただけだ」
「だったら指這わす必要はねぇよな? まだ悪寒がやまないぞ。あと俺のデコとお前のデコがぶつかるって、直前までどういう体勢だったんだ……?」
結構ガチな人です。
- クラス委員のしっかり者でありながら、何故か恭也と克己を監視/撮影し、気がついたらブログで「きょうやん×かつみん」などというシリーズを公開している少女・黒峰命
「うおおおおおおおおおおお! てめぇ俺を社会的に抹殺するつもりかぁぁーー!」
「大丈夫だよ。訪問者とか凄い数だし、コメントとかもいい意見ばっかりだから。こっち系じゃ有名なんだよ」
「フォローにもなってねぇー! こっち系ってどこだよ。俺の知らない世界かよ!」
腐です。腐女子。
- 恭也の従姉妹でありながら何やら一途っぽい想いを恭也に向ける年下の妹キャラ・笹倉小桃
「これだけはわかっておいた方がいい。男が本当の意味で精神的安息を得られるのは男の傍だということをな」
「何言ってんのさー! なんで男女の体に違いがあるとおもってるの。お互いの凸と凹とをあわせて完璧な存在になるためなんだからー!」
耳年増&ちょい淑乳な従姉妹です。
総合
星4つ・・・にしておこうかな?
ちょっと誤字脱字が目立つ感じがしたので編集と校正さんはもうちょっと頑張って欲しいところですが、サービス精神込みでこの星ということで。
本編では中盤までコメディテイストが強いですが、後半は一気にシリアス度を高めて話が展開します。おおっと驚いた〜! という感じでしょうか。私が作者ならこの展開だけは出来ないわ・・・とか思いました。
主人公とヒロインの魅力も後半からアップし出しますのでちょっと序盤「ヒロインが、弱いか・・・?」とか思っても頑張って読んでみるといい事があるんじゃないかな〜とか思います。
しかしサブキャラが良い本です。安岡くんの魂に幸あれという感じです。ところで顔は大丈夫でしょうかね?