ゼロの使い魔(14)水都市の聖女

ゼロの使い魔14 (MF文庫 J や)
ゼロの使い魔14 (MF文庫 J や)兎塚エイジ

メディアファクトリー 2008-05-21
売り上げランキング : 425

おすすめ平均 star
star失速気味な気がします
star同じ展開で飽きてきた
star決断、そして始まり。

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ストーリー

才人が家族からの手紙を読んで涙していた事実を知ってしまったルイズは彼を元いた場所に送り返す決意を固め、異世界へのドアを開く事が出来る聖エイジスジュリオへの協力を約束する。
しかしその決断の結果としてルイズの進む道はとてつもなく険しい道になってしまった。
才人を欠いた事によって戸惑う面々。それは同じ虚無の魔法の使い手であるティファニアはもちろん、女王であるアンリエッタも同じだった。そしてもちろん才人を想い苦しみ続けるルイズは遂に気持ちに歯止めが効かなくなり、一つの依頼をティファニアにするのだった。

「わたしの中から、才人の記憶を消して欲しいの」

才人はどうなってしまったのか、ルイズはどうなってしまうのか、緊迫するガリア/ロマリア間の状態はどうなってしまうのかといった色々な要素が絡まって進む14巻です。

こりゃまた

本当に直球ストレートで仕留めに来ましたね〜。こういう展開で妙に奇を衒ったりせずに王道を堂々と選択できるところにヤマグチノボルの面白さがありますね、なんて思う私です。
才人は・・・まあ読んでもらうまでどうなったかは伏せておくとして、才人を失ったルイズが記憶を消してくれとい依頼するなんてもうそのままズバリという感じですが、それでも違和感が無いのがすごいっちゃすごいですね。

結果として

面白い「IF」を読む事が出来ます。つまりは「才人が傍にいないまま虚無の使い手になってしまった場合のルイズ」ですね。
正直に言って碌でもないというのが本音で、ああこれは痛いキャラクターだわ・・・という人物に成り下がってますね。記憶を失ったルイズは今回「アクイレイアの聖女」とやらに祭り上げられてしまう訳ですが、何しろあのダメ素材が揃った水精霊騎士隊(ギーシュやマリコルヌが居るアレです)の面々にダメ出しをされる程のシャレにならなさです。

「聖女より、ゼロのルイズの方がなんぼかマシだったね」
マリコルヌが、ぽつりとせつない声で言った。
「サイトがいなかったら、ルイズはこんな風になっちゃってたんだなあ」
ギーシュが、うんざりした調子で呟いた。

まあ彼らは基本ヒーローでは無いですが、それ故に非常に人間的に書かれているため人を見る目という意味では安心のキャラクターですよね。

そして

この14巻で睨み合っていた陣営が対に衝突を開始する事になります。
白と黒という風に分ければ分かりやすいのかも知れませんが、読者は感覚的にこの「白」と「黒」のいずれもが「正しくない」という事に気がついていたと思いますが、この14巻で物語の登場人物達もその事実に気がつき始めます。
あのお硬いアンリエッタがその事実に気がつくのですから・・・やっぱりどんな名前を付けても戦争は戦争だよなあ・・・なんて私も改めて思ってみたりして。

総合

星4つ
いつもみたいなちょいエロな見せ場は余りないですが(ほとんど無いか?)、まさしく王道と言える展開で楽しませてくれますね。
実は今回すっごい見せ場があとがきに隠されていますので、ちょっと引用しておきます。

「見ろ。貴様のおかげで輪転機が止まっている。わかるか? 貴様のおかげで輪転機がと ま っ て い る」
「ほんとすいません」
「回せ。ブタに回させてくださいと懇願しろ」
「ブ、ブタに回させてください」
それからぼくは原稿を遅らせた罪を全身の疲労で悔いながら、輪転機を一人で回すのです。重労働です。倒れようものなら、容赦なく鞭が飛んできます。
「ああっ!」
「ああ? ブタが”ああ”と鳴くのか? どうなんだッ! どうなんだよッ!」
「ブヒ! ブヒヒ!」
「全身の痛みで感じろ! 遅れてすいませんと謝れッ! 謝るんだッ!」

原稿が遅れた結果として作者の身に訪れた印刷所での強制労働の顛末が描かれていますが、原稿が遅れた理由は多分ヤマグチノボル氏がSMクラブに通い詰めていたのが原因じゃないかな〜なんて邪推をした私です。

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