ベン・トー(2) ザンギ弁当295円

ベン・トー 2 ザンギ弁当295円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 2 ザンギ弁当295円 (スーパーダッシュ文庫)

ストーリー

表紙に金髪の女子がいるのである。ふくふくと育った体を見せつけるようなポーズでそこにいるのである。
しかもなんという事だろうか、彼女のタータンチェックだかギンガムチェックだかバーバリーチェックだか分からないけれどもとにかくチェック柄のスカートが、かなり憎い塩梅で彼女の神秘の布地を隠しているのである。
彼女は金髪だ。金髪ならちょっとおバカで大胆と昔から決まっている。しかしそれは20世紀の残した悪しき先入観というものであって、実は下着は清楚な白かも知れない。いや・・・あるいは期待を裏切らない程度にダイタンなものかも知れない。実は色合いだって清純どころか淫猥なシロモノかも知れない。
・・・しかし、読者である私にはそれを確認する術はない。最早そこはオシリだよね? という所まで太腿側から見えているにも関わらず、パンツは見えない。決定的チャンスを悉く逃している表紙絵なのである。まるでサッカー日本代表のような決定力不足なのだが、それが残念などころかいっそ妄想を逞しくしてくれる所がライトノベルの表紙の嬉しい所である。
しかもこの表紙の彼女、背景にお弁当を背負っているのである。その上に無防備な肢体を曝け出しているのである。しかも箸まで持っている・・・ということはこれは恐らく

「・・・あたしを食べて?」

という意思表示であり、それをする為にはこの表紙絵から彼女を現実世界に連れ出さなくてはならないのであるから、おーい! 確か一休さんはその辺りが得意技だったよな!? 早く何とかしてくれ!
という感じで出版された半額弁当争奪戦を馬鹿らしくも熱く描いたシリーズの2巻、パワーアップ・バカで登場です。

かなり

ストーリー紹介に嘘がありますが、どうせそんな感じの本です。結構登場人物が多い感じなので、キャラクター紹介をしつつ本編の内容に深く切り込んでいこうと思います。

佐藤洋(さとうよう)

半ば知らないうちに半額弁当争奪戦に足を踏み入れ、そこから帰れなくなりつつある性悪馬鹿。
遺伝的に馬鹿であり、先天的な馬鹿である。とにかく彼と彼の父はかなりの塩梅で頭の方がおかしくなっており、細かい事を気にしたら仕方がないとまで従姉妹に思われる始末である。少なくとも彼の仕業によってかつての同級生の石岡くんの人生は間違った方向に曲がってしまったに違いない。

特に石岡家の玄関前に設置した罠で、石岡君を地上数メートルまで瞬時に吊り上げた際の映像はあまりの完成度から六年たった経った今でもネットの動画系サイトで見ることができる。検索する時は『玄関開けたら一秒でブービートラップ』か『いってきまああぁぁぁぁぁぁ————!?』のどちらかのキーワードで見つかるはずだ。

とにかく夏休みの自由研究の結果、一人の少年が空を飛ばされたのは間違いない事実であり、恐らくその姿はかの「キーボードクラッシャー」のような展開になっているに違いない。主人公はそんな少年である。ただし、その報いは十分に現在も受けており、

僕は走る。自らの肛門括約筋を守るために——!

こんな生活を日々送っている。
・・・一応リアルの方では守り通している肛門括約筋だが、とある事情からフィクションの世界では守り通せていない。

白粉花(おしろいはな)

一見気弱な小動物系の無害な生き物で、行動の方も基本的には無害であるが、脳内では人を果てしなく陵辱/蹂躙している(主に主人公を)ヒロインの一人。個人的には敵にまわしたくない。

明かりのついていない部室に女の子一人、そしてぼんやりと光っているノートパソコンのモニター……加えて彼女は僕らの方には背中を向けて座っているので、怪しげな呪術でも行っているかのようで不気味な光景だった。
「”もう俺のケツは限界だ、頼む、許してくれ……サト……サイトウは泣きながら懇願するが”……この辺でとりあえず一発出しておいた方がいいかな……うん、よしそうしよう」

ご覧の通り、かなり質の悪いホモ好きの腐女子であり、「筋肉刑事(マッスルデカ)」という名前の作品を恐らくWebで世界に対して発信している。主人公の名前はサト……ではなくサイトウヒロシです。モデルは・・・言わずもがな。

水仙(やりずいせん)

佐藤と白粉の先輩にあたる存在で、彼らを半額弁当争奪戦の道に引きずり込んだ張本人であるのだが、今や一番の常識人に見えるからこのシリーズは不思議だ。・・・冷静に考えればそうとうな変人のはずなのだが。
変なセリフを引用しようにも、基本的にまともな事しか言っていないような気がする・・・うん、そんな気がする。

著莪あやめ(しゃがあやめ)

つい興奮のあまり色々と書いてしまった表紙を飾っている女の子で、今回の新登場キャラ。主人公の従姉妹というポジションで登場するのだが、彼女も何を間違ったか半額弁当争奪戦に足を踏み入れてしまう。
しかし乙女の恥じらいとか大きなおっぱいに対するコンプレックスなどは欠片も持っておらず、ライトノベル読者のおよそ8割位は持っていると思われる女の子の幻想を木っ端みじんにしてくれる存在である。

こうすればあと少しだけ夏が続くよ、そう言って、横にいる佐藤を照れつつも見るのだが……何故かそこには佐藤ではなくトヨタ・カローラが停まっていた。そして運転席からベルト、ホック、チャックを開けた完全臨戦態勢の佐藤家の大黒柱が飛び出してきたのである。
何が起こっているのかわからなかった。あまりに見事過ぎる手品を見て、その凄さが理解できない感覚に似ていた。何せ従弟が消えて、代わりに車と、街中なら通報されかねないスタイルのオッサンが現れたのである。
一秒ほどの後、ドシャリと粘土を床に叩きつけた時のような音を立てて佐藤が空から降ってきたのだが、それでも意味が分からなかった。
しばらく呆然とコヨリを掲げていた著莪のもとに「いや〜、蛇花火みたいに細いのが延々出続けたぜ〜。あぶねぇあぶねぇ。アレ? あやめちゃん一人? ったく洋の奴、女の子一人にしてどこ行きやがった」とわけのわからないことをほざきながら佐藤の父が現れたが、著莪にはもはや何が危なくて何が危なくないのかがわからない。車にぶつかるのは安全で、便意は危険なのか。だとしたら自分は毎日生命の危機に瀕しているのだろうか。わからない。

幼い時分に「自分の便意と引き換えに実の息子(従弟)をカローラで轢いた父」「しかしそれでも平然としている従弟(洋)」を見た結果、何かのたがが永遠に外れてしまったと思われる彼女は、ある意味において佐藤家の被害者ではなかろうか。金髪ハーフの巨乳眼鏡なのに。
・・・しかしスッゴイ長文を引用してしまった。やはり便意は避けて通れないという事だろうか。

総合

よく分からないけど星5つ。
1巻が読めたのならこの2巻も安心して読めるであろう。
1巻のパンツの黄ばみの正体はおしっこであったが、この2巻においてはさらにグレードアップして上記のように肛門か噴出する蛇花火と化して読者を襲う。
え、半額弁当争奪戦がどうだったって? いやそらもう・・・凄かったですよ? でも読めば分かるってそんなもん。・・・って、じゃあこの感想は一体何について書かれた感想なんだよって・・・だから、「便・等」じゃないの? え? えええええええ?
・・・ところで『筋肉刑事』がこの本のスピンアウト作品として出版されるのはいつですか? 決して買いませんので教えて下さい。

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