薔薇色にチェリースカ(3)
- 作者: 海原零,ネツマイカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 文庫
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ストーリー
マシュテバリ学園に留学中の綺羅崎ヒロは一匹の人に化ける蛇に取り憑かれている。名前はチェリースカ。
美しい薔薇色の蛇で、ラグという毒のような強精剤のような不思議な力を持つ「この世のものではない」蛇だ。チェリースカは普段、ヒロの体に巻き付く事で日々を過ごしている。彼に守ってもらうために。そして同時に彼を守るために・・・二人は奇妙な共生関係にあるのだった。
またヒロはとある理由から学園の理事長に逆らう事が出来ない状態であるため、理事長と対立しつつマシュテバリ学園で教師以上に勢力を持っている「優生会」と険悪な関係にあった。一瞬でも隙を見せたら即退学に追い込まれる程に・・・。
否応無しに理事長と優生会の対立に巻き込まれるヒロ。そんな彼の味方は少なく、元々日本での知り合いである乱流真希を除いて表立って彼に味方する生徒も教師もいない状態だった。
しかし、少し状況が動く。理事長の娘であるアン・フローレンスある事を切っ掛けにヒロに好意を寄せてくる事になったからだ。また同時に理事長からも「娘には決して逆らうな」と命令されたため、アンに従う事にもなってしまったのだが、アンはかなり大胆な性格で・・・?
閉鎖的な欧州の学園内で続く、ヒロの生活・・・というか戦いを描いたシリーズ3作目です。
今回は
アンという新キャラが登場した関係でかなりメインの人間関係に動きが出る事になっていますね。
ヒロはヒロでアンの事が特に嫌いという事がないためになんとなく流され気味です。だって——、
「下着をつけずに待ってるから」
「——っっ!?」
美人で、しかもここまで積極的に愛を囁いてくる女性をもし嫌える男は変態だと思う私です。・・・これはヤっていいって事ですよ!? さて、ヒロはどうするのか!?
しかしその様子を見ても特にチェリースカは動きませんし、やきもきするのは真希一人か? というとそうでもないらしく・・・? うーむ微妙で面白い関係ですね、彼らの関係は。
しかも
何故か今回は学園非公認のお茶会・・・と称したその、夜のパーティに参加する・・・というか潜入するというはめになってしまって、ヒロはソリッドスネークばりの行動をすることになります。まさに装備も武器も現地調達。
もちろん敵である優生会のシシリー・アイスヒルやウィリアム・ホフナーも黙ってはおらず、ここぞとばかりにヒロの首を絞めにかかります。しかも、ヒロは今回彼の一番の弱みを敵側に握られてしまう事になってしまいます・・・。
つまり、彼の妹であるミカルですね。まさに彼女は今回の鬼札として存在する事になります。まあ、本人は結構すっとぼけたところがあるらしく、あるシーンでは、
「その、お兄様が売られているのですか?」
なんて事を平然と聞いていたりします。うーん、天然素材ですね・・・。お嬢さん、それは一種の人身売買であってですね・・・。
また
今回も本当にピンチの連続です。特に敵のシシリー・アイスヒルはプライドと傲慢の塊のような娘ですから、いやはや面倒くさい相手に敵と認識されたものですね。今回は(今回も?)なんとかなった訳ですが・・・最後の展開を見ると今後の流れがちょっと怖いですね。次は絶対向こうの攻撃のターンでしょうし・・・。
今回は直接的に動いてこなかったウィリアム・ホフナーの同行も気になりますし、ますます目が離せない感じです。
勿論、登場人物が増えて華やかになった恋模様も必見ですが。
総合
安心して面白いですね。星4つ。
チェリースカ、真希、ミカル、そしてアンと必要な登場人物が全員でそろった感じもありますし、今後の展開も段々想像できなくなってきました。敵もまだまだカードを出し切ってはいないようですし、次の巻も断然期待してしまいますね。
見せ場の作り方も上手いし、対立構造の作り方も上手いと思えます。うーん、なんと言うんですかね、緊張感が紙面から漂ってくるという感じでしょうかね。それがまたいいです。
イラストも作品の味を殺さない感じで書き込まれていて好感触です。カラーイラストの直後には簡単なキャラクター紹介も付いていますし、親切設計な感じがまたいいです。おすすめですね。