付喪堂骨董店(4)

付喪堂骨董店 4—“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7)
付喪堂骨董店 4—“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7)御堂 彰彦

メディアワークス 2008-07-10
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ストーリー(変える必要がなさそうなので同じ)

アンティー」と呼ばれる不思議な品物がある。
それは現代の科学では説明の出来ない奇怪な力を有した品物で、この物語の舞台となる「付喪堂骨董店」は普通のアンティークショップであると同時に、店長の道楽で、これらの不思議なアイテムを扱っている店。
この話は、アンティークと呼ばれるアイテムに翻弄される人々の欲望と、「付喪堂骨董店」でバイトをしている少年・来栖刻也(くるすときや)と少女・舞野咲(まいのさき)、そして道楽店長である摂津都和子の3人が織りなす、マジックアイテムストーリー。
ずっと咲のターン! と言ってしまってもよさそうな4巻です〜。

暗い・・・

ヒロイン咲が沢山登場してくれて緩和されてはいるのだけども、この話なんか分からないけど全体的に暗いんだよね・・・。
いや、それも持ち味の一つだし、扱っているモノが”人の隠された欲望”とかそんな感じのものなので仕方ないと言えば仕方ないのだけど、いかんせん作品全体が骨董屋の匂いにくるまれていて・・・ってこれは正しいのか。
つーことはアレか、俺がこの骨董屋臭さが余り得意ではないという事なのだろうか。いやそれもなんか違うな・・・しかしなんとも言えない薄暗さが結構私の読書意欲を奪っています。
本編中にもなんだかそういう微妙なセリフが散りばめられていて、

だから。
だからどうか。
誰よりも一番不幸になってください。

なんて事が書かれていたりしてねえ。
これは一種の愛の言葉でもあるんですけど、なんですかねこの湿度の高さは。じっとりと暗い・・・いやだからそれが持ち味だってのは分かっているんですよ?

お話自体は

今回も短編連作という感じで構成されていて、「影」「ギャンブル」「小指」「秘密」の4編です。
毎度おなじみ咲が主人公の短編も最後に用意されていますのでファンの方は必見です。まあ今回は刻也と咲が交互に語るような作りになっていまして、そのすれ違いっぷりというか、空回りっぷりに身もだえたりするといい感じですね。
咲に関しては今回全ての短編で見せ場があるので他の作品でも十分舞野咲成分は補給できます。
特に・・・という訳でもないですが、「ギャンブル」と「小指」ではかなりいいところ見られまして・・・。

俺がスーツなら、咲はチャイナドレス。

着ましたよチャイナドレス。しかも黒の。うーんセクシー! あなたはセクシー!

もしもそうだとしたら。
もしもそれが知られてしまっていたとしたら。
もうしばらく顔も見たくない。
だって。
だってそんなの。


……恥ずかしい。

って感じのモノローグなんかもあったりしてですね・・・ってあの咲が!? ウヒョォオオ!! なんだかメチャ萌えるんですけど!

もちろん

刻也にもちゃんと格好いい見せ場が用意されていまして、

「お、お前は怖くないのか?」
「何がだ?」
「命を賭けているんだぞ」
「ああ、怖いさ。だけどこんなことは何度も経験している。腹の据え時ってのは理解している」

こんな感じの気合いの入ったセリフがあったり。

「誰にもあいつは渡さない」

なんて言い切っていたりします。「あいつ」が誰を差すのかは本編で確認してもらうとして・・・これはもう愛の告白と違いますかね!?
ま、そんな感じです。

総合

星4つかな。
作品全体の醸す暗さはともかくとして、どの作品も安定した筆力で楽しませてくれます。
所々にミスリードが仕掛けてある辺りなんかを考えるとこの話って基本ミステリー仕立てなんですかね? 作者がどう思っているかは別にして、本格ミステリーを書かせてもこの人は面白く仕上げそうですね。
しかしこの4巻まで来て、「アンティーク」自体を一体誰がばらまいているのかが気になってきましたね。最後はその人物と対決することになるんでしょうか? ・・・この作者の事だから既に登場している誰かのような気がするんですが・・・それはないかなあ?
ところでイラスト担当のタケシマサトシ氏ですが、お気に入りになりつつあります。ちょっと人物画に偏っている感じはありますが、絵自体にはムードがあって悪くないですね。

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