生徒会の三振
生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録3 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 葵せきな,狗神煌
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/07/19
- メディア: 文庫
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ストーリー:変える必要があるだろうか?
私立碧陽学園の生徒会は一風変わった選出をされる。それは校内人気投票で単純に決められるシステムだった。
結果として生徒会選挙は普通にミスコン状態となり、生徒会とは名ばかりの美少女軍団が形成されるに至るのだが・・・そこに一人だけ異分子とも言える少年が所属している。
少年はつまるところ、生徒会を舞台にしたギャルゲ的ハーレムルートという大きすぎる野望を実現すべく、一点だけ残されたこのシステムの妥協点――<優良枠>に食い込んで生徒会員となっていたのだった。
<優良枠>は年度末の試験の成績トップの者に与えられる特権で、本人が希望すれば生徒会に所属する事ができるというもの。その特権を「ハーレム達成のためだけ」に獲得した少年・杉崎鍵(すぎさきけん)は、今日も今日とて美少女ばかりの生徒会で変な活動を続行する・・・というか彼含めて生徒会所属の美少女は総じて変人ばかりだったのだが・・・。
まあその変な生徒会の議事録という形で出版された本の第三弾がこれ――「生徒会の三振」である。
うむ。
すっかりこのノリに慣れた結果、特別な作品ではなくなってしまった。
正直に言えば「飽きてしまった」ですかねえ・・・。全体の出来自体は2巻よりキレがある位なんですが、それでもそれ程楽しいとは思えませんでした。
何も考えずに読むには最高の本のうちの一冊と言っていいかもしれませんが、正直そこまでです。最高!とはやし立てるには何かもう一つ隠し味が無いとな〜って所でしょうか。
しかし
メタ的なネタやら単純な言葉遊びやらを含めて作者が頑張っているであろうという感じはひしひしとします。
いっそ悲しいくらいにそんな感じがします。ですのでなんだか厳しい星を付けるのは心苦しい気すらします。なんかそんな本です。サービス精神が痛いというか、必死に笑いを取ろうとしているコメディアンのもの悲しさというか、何でしょうねこの感覚?
・・・ってそんな感じしませんか? 私だけですか? そうですか〜。
本編は
1、2巻と同じにこんな案配です。
『スタイルに恵まれない少女、チェリー野くりむは、ある日突然に「魔王を倒さなくちゃ」とかアホなことを言い出す。親や親戚に「いい子だから、一度病院に行きましょうね」と心配されるが軽く無視し、くりむは、パジャマ姿のまま冒険の旅に繰り出すのであった』
「もう既に色々おかしいよ!」
「会長さんがモデルですから」
とかですね。仕事しない生徒会だなあ・・・。あるいは突然、
「伏せろ!」
ってなったり。
生徒会室に手投げ弾でも投げ込まれたかって感じですが、まあそんなことはありません。あるいは・・・。
「確実にいじめられているよねぇ!」
「そんなことないですっ! あれは好意なんですっ! この前なんか、お嬢様のクラスメイトが『真冬ちゃんに似合うわ』と言って、防災頭巾ともんぺをくれましたっ!」
「それは絶対好意じゃないよ! 馬鹿にされてるよっ!」
「真冬の私服が増えました! 嬉しかったです」
「それ着て出歩いてんの!?」
「あ、いえ、今は着ていません。ある日防災頭巾をかぶってアーケード街を闊歩していたら、そのお嬢様クラスメイトとバッタリ会いまして。その途端、彼女は何故か『ま、負けたわ……』とガックリうな垂れて、なぜか真冬に新しい服を買ってくれました。……優しい人なんです」
「ああ、なんか変な解決してんだっ!」
「今ではその子、毎日真冬にお菓子を恵んでくれます。クラスの皆の真冬に対する態度も、なんとなく、そんな感じです。大人気です」
うわ、は、は、は・・・。
面白いんですけど・・・多分、ですね・・・この本、ボケと比べてツッコミに力が足りないんですよ。ボケ要員は山ほどいるのにそれを生かすツッコミがいない、結果ナイスなボケがすっかり殺されている・・・そんな印象を受けますね。
例えば神坂一辺りの書いた文章と比べると・・・まあこういう比較は野暮だとは思いますがツッコミ力の不足がひしひしと感じられます。そのせいで多分「ボケが悲しいほど頑張っている」様に見えてしまうんではないかな〜と。
総合
うーむ、星3つ。順調に星の数を減らしております。
・・・が、このままの作品作りをしてくれればこれ以上星の数が下がることも無いような気も同時にしています。つまり星2つにはならんだろうという事ですね。
楽しんで読めることは読める、お気楽なライトノベルという意味ではこれ以上ライトなノベルも無いでしょう! という所に直球ストレートを投げ込んできてますので。
主人公も相変わらずエロス全開でハーレムルートを直進しているようなので、今後の展開を生ぬるく見守っていきたいかなあなんて思ってます。
そうそう、今回は表紙が椎名深夏でしたが、表紙に出ているとおりに本編で活躍してくれたのが嬉しかったですね。まあそれでもなんとなく妹の真冬の方が目立ってますが・・・深夏は強いて言えばツッコミの人ですからねえ。ボケの人には負けてしまうのです。いと悲し。結構好きなキャラクターなんですがね〜。