ルーク&レイリア 金の瞳の女神

金の瞳の女神 (一迅社文庫 アイリス は 1-1 ルーク&レイリア) (一迅社文庫 アイリス は 1-1 ルーク&レイリア)
金の瞳の女神 (一迅社文庫 アイリス は 1-1 ルーク&レイリア) (一迅社文庫 アイリス は 1-1 ルーク&レイリア)ひだか なみ

一迅社 2008-07-19
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ストーリー

セレスの街には一つの巨大建造物がある。
その建造物とはアブリル教の象徴とも言えるもので、人門の扉と神門の扉という二つの口を持ち、女神フェルラと開祖エルスタンの像を持つ建築物である。女神の額にはめ込まれた宝石・トルメリアの輝きは建立の後数百年を経過した後でも街の人々を照らしていた。
そして一人の大工見習いがその建物で修復工事にあたっていた。名をルークという。
ルークはかつてハンターとして名を馳せたのであったが、今では引退した身。日々大工仕事に精を出しながら、妹と慎ましやかな暮らしをしていた。
しかし、そんな彼の元に一人のトラブルがやって来る。その名をレイリアという美女である。女神像の額にはめ込まれたトルメリアを狙ってセレスの街を訪れ、ルークのハンターとしての力を借りたいと言いだしたのだ・・・。
ハンター稼業を引退したことを理由にレイリアの誘いを断るルークだったが、なし崩し的に新法王就任に関連したトラブルに巻き込まれ・・・。
「ルーク&レイリア」というシリーズでかつて富士見ミステリー文庫からリリースされていた作品が一迅社文庫アイリスという女性向けレーベルから再出発です。

このシリーズは

この度少年向けレーベル*1から出版され、そして今回女性向けレーベルという形で復活したわけですが、個人的にはこれは正しい判断だと思います。
一通り読み終わってからの感想を一言で言うとしたら、

「『ルーク&レイリア』ってタイトルは付けられているけど、主人公はレイリアだよね?」

というものだったからですが。

正直に言って

ルークにはあまり男としての魅力があるように思えませんでしたね・・・。
描写が下手という事はないんですが、あちこちに「男として、野郎として、雄として、牡として、そういう反応はないんじゃないかな〜」と思えるところがあって、感情移入できなかったという感じです。ルークは「9S」で言えば真面目な萩原、といったところでしょうか・・・。
作者の人は確か女性ですよね・・・? その女性特有の「男性に対する少女マンガ的幻想」が思いっきり出てしまっているように思います。まあそれでも読める人は読めるでしょうが(女性向けレーベルを読むのに全く違和感を覚えない男性もいるでしょうし)、私のような全開バリバリの野郎にはちょっとクリーンすぎる物語でしたね。

とまあ

そんな理由もあってはっきりとした女性向けレーベルでの再版は正しい判断だと思うわけです。
そしてもう一つの理由としてはレイリアの女性としての魅力の表現の仕方ですね。明らかに「可愛い」とか「えっちい」とかではなくて「格好いい」とか「COOL!」と言った感じなんです。
それでも峰島由宇のように不完全さがあれば可愛らしく思えるものですが、レイリアは女性として一つの完成形にたどり着いている感じですね。見事なまでのハンサムな格好良さです。
本編中の活躍でもルークを全体的に喰っていますし・・・ルークは語り部の役を負っているので存在感が無いという事だけはありませんが、それでも殆どのシーンでレイリアに存在感という意味で一枚上を行かれているような気がしますねえ・・・。

総合

星・・・3つかな。
作品としての完成度は良いと思いますのでこの星の数ですが、2巻がリリースされたとしても買わないでしょうね・・・。
ただし、もしこの感想を読んでいる女性の方がいて、まだ「ルーク&レイリア」シリーズを読んでいないのであればこれを機会に一度手に取ってみることをおすすめします。ウチの奥さんは「2巻が出たら買うかな・・・」と言っていましたので、やっぱり女性向けの内容なのでしょうね。
作品についての説明が殆どありませんでしたが、異世界ファンタジー&ミステリ、という感じでしょうか。富士見ミステリー文庫の時には付いてなかったらしい「秘密の小箱」という短編もついていますので、ファンの人も新たに買い直す価値が・・・あるかも?
イラストはひだかなみ氏ですね。清潔感があって作品にも良く合っており、なかなか良いと思います。全体的に少女マンガテイストですが、それも含め悪くないですね。

感想リンク

*1:富士見ミステリーは明らかに少年向けという訳でもないですけどね。