ミスマルカ興国物語
ミスマルカ興国物語 1 (1) (角川スニーカー文庫 150-20) | |
林 トモアキ 角川書店 2008-02-01 売り上げランキング : 4144 おすすめ平均 いい大風呂敷だw ラノベや漫画の最大公約数の様なキャラクターが織り成す退屈な話 新シリーズ開始! Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ストーリー
中原に存在する歴史ある国、ミスマルカ。国そのものは豊かで穏やかなものの、南と北に大国を持ったミスマルカは微妙な位置に存在する国だった。
そんなミスマルカの現在の王子はマヒロ。現王も元気に活躍中なので、国政において王子に特に出番はなかったのだったが、それを良いことに・・・と言うか、もう性格的な問題のせいか、極めて役立たずな王子なのであった。
しかし、そんなミスマルカに危機が訪れる。ミスマルカの南に位置するグランマーセナル帝国が、大陸の覇権を手にするべくミスマルカに侵攻するという情報が流れたためだ。
結果、現王は近隣諸国に同盟の協力を求めて国を空けることになり、王のいない間、マヒロが一時的にミスマルカの王権を手にすることになったのだったが・・・。
なんか「作者が書いている最中酔っぱらっていた」と言われれば「ああ、なるほど!」と納得できそうな架空歴史ファンタジーの1巻です。
うん。
作者は書きながら飲んでたね。一升瓶直のみで日本酒あたりをグビグビと。
じゃなければここまで架空歴史ファンタジーを転覆させた作品は書けないというか・・・。だって王子はもうなんというか本当に箍が外れているアレ人間ですし。王権を手に入れた直後からして、
「父上がいない! 主だった将軍たちもみな出て行き……そしていま」
静かに言葉を切ったマヒロは、俯き加減にびっと親指を立てた。
「余がキング!!」
一年中錯乱しているんじゃ無かろうか? という感じのはじけっぷりです。しかもいきなり命令するかと思ったら、
「この国に住む十二歳以上三十五歳未満の全女性にメイド服の着用を義務付けるッ――!!」
こんな案配です。最初からこのマヒロ王子がフルスロットル・バカなので、そういうノリについて行けるか行けないかで読み切れるかどうかが変わりますかね。私は中途半端な感じがいちばん苦手な人なので、ここまで吹っ切れてると逆に読みやすかったですけどね。
んで
この王子にツッコミを入れて頑張っているのが18歳、新米近衛兵士のパリエルちゃんです。
このような泥酔王子相手ですので、並大抵の女性ではありません。ツッコミます。容赦のないツッコミです。頭の骨も砕けよとばかりにツッコミます。
「ファッキン王子ッ!!」
どこんっ!!
首が折れそうな位には行きます。でもそれが王子相手ならセーフなのがミスマルカ国です。ま、このパリエルちゃんは王子相手以外でも・・・
「誰が二度と来るかあっ!! 覚えてろよてめえいつかぜってー勝負してやるからなーっ!? おーっ!?」
という塩梅でかつて特攻服とか着ていた経験をお持ちでは無かろうかという女性です。真面目なときはもちろん真面目なんですけどね・・・。
とにかく
そんな面々のミスマルカですが、国が戦争を仕掛けられそうになるという展開は本当で、そこは完全なるシリアスです。昼行灯王子がその戦争をどんな風に料理するのか・・・そこが見せ場な訳ですが。
敵は真面目も真面目、立派な将軍を一人連れてミスマルカに奇襲をかけてきます。姫将軍とも呼ばれるルナス第三皇女です。
この「ミスマルカ興国物語」の世界では、人間を超えた力を発揮する「魔人」と呼ばれる存在がいまして、ルナスもそれに当てはまります。一騎当千の戦士ですね。
そんなルナスを相手取ってのマヒロの戦略は・・・? おバカな王子の治める国に明日はあるのか・・・? どこまで考えてやってるんだ・・・? というところが面白いです。
総合
星3つかな〜?
なにしろ話の中に新型バイクとかが出てきたりして、何故か王子が「中原最速を!」とかやっている話でありますから不真面目も不真面目なんですが、いやいやどうでしょうね? ラストではシリアスもシリアス、どシリアスでまとめ上げてくれました。
真面目に考えたら「これはどーなのよ!?」という展開はもちろん山ほどあるんですけど、それでも読み物としておもしろ可笑しく、そして時には真剣に感じ入って読める本ですね。
うん、読み始めこそ「いくらライトノベルでもこれはなくねえか?」と思ったもんですが、読み終わってみると「いかにもライトノベルかなあ?」なんて思えるのが不思議ですね。
2巻が確か出ていたと思うので、これから時間をみて読んで見たいと思います。