ライタークロイス(5)
- 作者: 川口士,柴倉乃杏
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 文庫
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ストーリー
帝国が転覆しかねないほどの大きな陰謀から生還したカイン。
体中に大小の傷を負いながらも、それでもなんとか生きて陰謀を打ち砕き、皇女であるファリアも守り通し、そして友情も取り戻した彼はやっと、彼の帰りを待っていた侍女・イングリドの元で傷を癒すことに専念できるようになったのだった。
そんな彼の元に訪れる突然の吉報。カインはたてた武勲によって登用試験を経ずとも騎士になることを許されたのだった。突然の吉報に戸惑う彼だったが、その吉報と同時に皇女の婚約者候補にするという話も浮上し、さらに隣国のインフェリアの陰謀がカインを絡め取ろうとする・・・!
青年カインにとっての騎士勲章とは一体なんなのか。彼にとっての戦うに値するものとはなんなのか——? 青年の成長を丁寧に書いたファンタジー小説・・・5巻で完結です。
ううう・・・
もう残念という一言に尽きますね。
明らかに打ち切りである訳ですが・・・確かに「これは面白れー!!」っていう派手さに欠けた感じは否めないです。・・・が、その派手さが無いところを好んでいた私としては残念でならないですね。
ともかく
今回俄然白熱するのがファリアとイングリドの恋の鞘当てなのですが、
「——いま、卿には想い人というか、恋人はいるか?」
序盤からこんな台詞が出てきて、さらには
「私は、卿のことが好きだ。愛している」
あるいは、
「大好きです。片時も離れたくない」
なんて台詞が飛び出してきて・・・ファリアとイングリドは決着を付けるべく大きく踏み出すことになります。いやいやいやいや・・・二人ともいじらしいのですよ。とっても魅力的なのですよ。でもどちらかを選ばなくてはならない・・・最終巻ならではの贅沢な苦悩でしょうかね。
本編で、
「あーあー。人の幸せっていちばんつまんないよなー。どっちつかずで悩みに悩んで両方に手を出した挙げ句、更に第三者まで巻きこんで修復不可能の泥沼になって、最終的に前後左右から刺されちまえばよかったのに」
なんてぶっそうな事を言っているキャラクターがいますが・・・ううう・・・残念ながら事態がそこまで泥沼化する前に打ちきりですよ。市場原理って厳しいわね!
メインストーリーの方では
ライタークロイスと聖獣に纏わる謎も絡み、さらにはインフェリアの聖獣の陰謀も怪物という形で姿を現してきて、物語は終盤に向けて嫌が応にも盛り上がります。カインも聖獣を手にして、帝国の堂々たる騎士として活躍することになります。
しかし・・・この巻は盛り上がったな〜という印象がありますね。ネタバレになるのであんまり書けないのですが、恋の鞘当てから帝国の未来まで派手かつ綺麗に繋がった一本の話という感じがします。
その結果、ツッコミどころもその結果今までの1〜2割増しになっている感じはしますが、それでも最初からこの位の勢いだったら打ちきりにはならなかったかも・・・。でもそれだとこの話の魅力も減じちゃうところでしょうし、難しいですね、作品作りは。