いつか天魔の黒ウサギ 900秒の放課後
いつか天魔の黒ウサギ1 900秒の放課後 (富士見ファンタジア文庫) | |
鏡 貴也 富士見書房 2008-11-20 売り上げランキング : 262 おすすめ平均 78,840時間分の想い 学校は同世代が集まる不思議な空間なのです 41冊にして久しぶりの新作の新シリーズの鏡貴也さんが著者です Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ストーリー
鉄大兎(くろがねたいと)は奇妙な夢を見ていた。見たこともない程美しい少女と秘密の、そしてとびっきりの”契約”を結ぶ夢を。
「私の毒を、あなたに入れる。決して離れられなくなるように」
夢の中の少女はそう言って、彼の首筋に神聖なる口づけをするのだった――。
しかし、それはあくまでも夢。現実の大兎の生活は何処にでもいる当たり前の高校生で、もし人より恵まれているところがあるとすればちょっと可愛い幼なじみの女の子がいるくらいのものだった。
かつては空手に一心に打ち込んだ大兎だったが、怪我でその夢が絶たれてからというもの、無目的に毎日をフワフワと過ごすばかりだったからだ。
しかし、日常のちょっとした行き違いが彼に大きな事件を運んでくる。車に跳ねられそうになっていた少女を助ける替わりに「死んだ」かれは、それを切っ掛けに「過去の約束」を思い出すことになる・・・何故か「死なない」体を手に入れるのと同時に。
死んで生き返ることで始まる学園ファンタジーの1巻です。
が・・・!
これはダメですわ〜!
面白いとかつまらないとか以前の問題として「文体が合わない」です。いや、話はそれなりに読めるとは思うんですけど、この作者独特の(?)文体につまずく度に「イラッ」としちゃうような感じなので、楽しめなかったですね。で、それはどういうところなのかというと――
やばい、と大兎は思った。
これはやばいと、彼は思った。
ただ、彼女にまた会えたのが嬉しくて。
彼女とまた遊べるのが嬉しくて。
二人でいると、毎日が楽しい。
二人でいると、いつも楽しい。
そしてある日。
ある日彼女が、
それを見て、僕は言葉を止める。
それを見て、僕は動きを止める。
・・・ここまで引用した段階で大体気がついてもらえると思いますが、この作者、前の一文を「ちょっと改変、または引用して繰り返す」という手法をいやってほど使ってきます。細かい所まで突っ込みだしたらきりがないくらいあるんじゃないでしょうか?
とにかく、ちょっと見直しただけであっという間に複数見つけることが出来ます。他にも――
だから悪魔がここにきた。
だからミライが、ここにきたのだ。
それは仕方ない。
仕方ないと、彼女は思う。
だって、あまりに美しすぎる。
だって、あまりに妖しすぎる。
独特な一種の「間」の取り方なのかも知れませんが・・・体言止めを連発されるのと同じくらい私的にはリズムに乗れませんでしたね。とにかく、くどい!
ちなみに序盤から中盤まではこんな調子なので、一見厚そうに見える本書ですがあっという間にページがめくれます。・・・新手のページ稼ぎの手法なんだろうか・・・なんて思ってみたりして。
想像
星2つ。
上でも書きましたが、この星は話が面白いとかつまらないとか以前の問題なので、その辺りが気にならない人なら楽しんで読めるかも知れませんね。上の点がなければまあまあ楽しめたんじゃないかと想像しています。でも・・・私の星はいいとこ星3つでしょうかね。まあ「伝説の勇者の伝説」もつまらなくって早々に放り出しましたから、もうこれは本当に相性が悪いんでしょうね。
でも上手いと思ったところもあって、それは日常から非日常に突き落とされる主人公の行動が余り違和感なく表現されていたところです。大抵の日常→非日常系ライトノベルは序盤のここで失敗しますんで、その辺りを上手く回避しているように思える辺りはやっぱり経験のなせる技なんでしょうかね。