アカイロ/ロマンス(2)

アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (2) (電撃文庫 ふ 7-17)
アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (2)  (電撃文庫 ふ 7-17)藤原祐  椋本 夏夜

アスキーメディアワークス 2008-12-05
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ストーリー

高校生である霧沢景介は皮肉屋で性悪と言われるヒネた、しかしごく普通の高校生でもあったが、あることを境にその日常は脆くも崩れ去ってしまった。それは同級生・灰原吉乃の死と、それにまつわる不気味で怪奇な出来事のせいであった。
枯葉、という少女の出現と、灰原吉乃の死は無関係ではない。無関係ではないどころか、枯葉という少女の首から下は灰原のものだったのだ・・・。彼らの一族はそうした「喪儀」と呼ばれる「首のすげ替え」という不気味で儀式めいたことをし続けて命を繋いだ一族の娘――彼女は決して人間ではなかった。いや妖怪である、と言い切ってしまった方が良いのかも知れない。
怪しげな贓物と呼ばれる秘具を用いて人外の戦いを繰り広げる彼女たち一族と、関わりを持ってしまった景介の選択とは? 和風伝奇アクションの2巻です。

ぱっとしないねえ・・・

1巻の時もそんな風に思いましたが、この2巻でその印象をさらに強くしました。
別にどうしようもない出来だとか言うつもりは全くありません。というか、そこそこよくやっているとも思います。・・・でも、例えとしては余りよくないかも知れませんが、素材がよくない女の子がどんなに化粧をしても生まれ持った美しさを持った少女のちょっとした化粧に叶わないように、この物語もぱっとしない、そんな印象でしょうか。

とにかく

読み始めてしばらくで、

「え、こいつ誰だっけ」

という感覚を持ちました。それだけ私の中でこの物語のキャラクターの印象が薄かったと言うことでしょうね。
キャラクターも物語も、頑張って作り込んでいるとは感じるんですが、悲しいかな素材が悪いというキレの悪さがどこまでもつきまといます。特にそれが顕著なのが主人公ですね。
いかにも普通で何処かにいそう、というのはライトノベルにとってそれ程悪い特徴ではないのかも知れませんが、その「どこにでもいる」が悪い方向に働いている典型的な作品ではないでしょうか。
序盤から中盤に関しては殆ど役に立たないし・・・というかちょっと見苦しい、と言ってもいいのかも知れません。

今回は

やっぱり訳ありの少女である幼子のような娘・型羽を投入していますが・・・うーん、どうなんでしょうかねえ・・・良い方に働いたんですかねえ・・・。

「型羽。景介は敵ではない。妾のことが信用できんか?」
「いえ、はい……わかりました。けいすけおにいさまはてきではありません。ころしません。なぐりません。なにもしません。いまのところは」
「いや、今のところって……」

ま、キャラクターは印象的でしたね。しかしいわゆる可愛らしいキャラクターが百花繚乱と言えるライトノベル界全体で見たら・・・どうかなあ・・・。

総合

星・・・2つかな。
ラストの枯葉の見せた展開は流石にちょっとビックリしましたけど、見るべき所というのはそこだけだったような気がします。
あと、これは前シリーズから続いているのでこの作者特有のものなんでしょうが、世の中に対しての見方が全体的に気に入らないという事もあります。型羽のアレは・・・ショッキングなものですが、それを振りかざして人間を語る切り口にすれば当然一方的になります。そしてそれは語る人間の心根をさもしく見せます。

「ねえ、本当にそういうものを登場させることでしか、あるいはそういうものと対比することでしか『人間』の事を語ることが出来ないの?」

という問いを作者に対して投げかけたいところですね。
そんな訳でこのシリーズとはこれにてさようなら、ですかね。というか作風をがらっと変えるとかしてくれないと次の作品でも私は同じ結果になりそうな気がしてきました。
さて、気を取り直して「いぬかみっ!」の最新刊を読も〜っと!

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