管理人おすすめの一冊目のライトノベル:2008年度版

以前

これとほとんど同じタイトルのエントリを2007年の3月に作っているんですが・・・丸二年も経たないのにいま読み返すともう古い感じがするから不思議です。というかそれだけライトノベル業界の動きが速いって事でしょうか。
よく考えてみると当時はまだ一迅社文庫ガガガ文庫も無かったはずですし、講談社BOXだって創刊してまだそれほど時間が経っていなかったはずです。う〜ん、時の流れを感じますね。

約2年、黙々とライトノベルを読み続けて来た訳ですが、相変わらずお薦めの名作のままで居続ける本があり、あるいはまた新しく出版されたお薦めの本がある・・・そんなところをまとめてみました。新旧色々混じっていますが、どれも面白いと感じたものをピックアップしたつもりです。
もし未読の本があったなら、これを機会に手に取ってくれたりすると嬉しいですね。

化物語(上下)/傷物語(上下)/偽物語(上下):西尾維新

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)

化物語(下) (講談社BOX)

傷物語 (講談社BOX)

傷物語 (講談社BOX)

偽物語(上) (講談社BOX)

偽物語(上) (講談社BOX)

偽物語(下) (講談社BOX)

偽物語(下) (講談社BOX)

言葉遊びとモノノケ退治、そして華やかな少女キャラクターの魅力溢れる姿が楽しい有名シリーズですね。近いうちに「偽物語」の下巻が出て完結、になるのかな? ちょっとその辺りは分かりませんけれども、とにかくいかにもライトノベルでありながら、作者の確かな技量に支えられた文字列の並びがとっても楽しいシリーズです。未読の人はこの年末年始にでも、是非。

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イリヤの空、UFOの夏(全4巻):秋山瑞人

個人的に秋山瑞人というと、「物語を完結させられない天才肌の作家」という印象がつきまとっていますが、このシリーズはその天才が何を間違ったか綺麗に完結させてしまったという希有な成功例です。ライトノベル好きでも、あるいは興味がない人でも、一度は読んで見て損しない作品ではないでしょうか。
緊張感、疾走感、善意、悪意、希望、絶望・・・若さが持っている全てが凝縮されてこの作品には詰まっています。

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「”文学少女”」シリーズ(全8巻):野村美月

2007年にお薦めした時にはまだ3巻までしか出版されていませんでしたが、それでも面白くて個人的おすすめとして書いた記憶があります。そしてそれから2年が経過した今、おそらくこの「”文学少女”シリーズ」は、作家・野村美月の名前と共にライトノベル史に一つの時代として永遠に刻まれるであろう作品として誰もが認めるにまで成長したはずです。女性作家特有とも言える情念を行間に滲ませつつも、それを読み解いて昇華させていく文学少女の姿は読み返しても・・・いや、読み返したくなくなるほど良くできているんじゃないでしょうか。

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此よりは荒野(既刊1巻):水無神知宏

Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)

Gunning for Nosferatus〈1〉此よりは荒野 (ガガガ文庫)

Amazonに未だ一件もカスタマーレビューが書かれていないのが不思議な位の名作だと私は信じています。少年の悲劇、少年の無力感、少年の挫折、少年の決意、少年の成長、少年の旅立ち・・・何もかもが全て一冊の中に閉じ込められて、高い水準でまとめ上げられています。見事という他ありません。まだまだ新作ですので、大きな本屋に行けば簡単に手に入るんじゃないでしょうか。

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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(全1巻):桜庭一樹

名のある文学賞を取ってしまってなんだか遠いところに行ってしまった感じのある桜庭一樹ですが、でもそのお陰で埋もれていた名作が新しい姿を与えられてこうして再版された訳ですから、悪いことばかりじゃ無いのでしょうね。で、この作品ですが・・・まあ読んで見て下さい。騙されたと思って。そしてこの本が最初ライトノベルレーベルから堂々と出版されて、多くの少年少女が「読んでしまった」ことに驚いて下さい。それだけの衝撃を与えてくれる作品じゃないかと思っています。

戦略拠点32098 楽園(全1巻):長谷敏司

戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)

戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)

2007年度版でもお薦めしましたが、また薦めちゃいますね。・・・私は今でも時々この作品を読み返します。そしてこの「楽園」の今を胸に思い描きます。少女の走っていく姿を、少女を守るようにゆっくりと歩いていく一つの人影について考えます。その時胸に去来するのは切なさとも寂しさとも、喜びとも悲しみともつかない形容しがたい想いです。
SFには時々こういう作品がある・・・だから嫌いになれないんですよね・・・。

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AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜(全1巻):田中ロミオ

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

エロゲの世界では有名なあの「田中ロミオ」が学園ラブコメに挑戦? という一冊です。私個人の話で言えば、これより前に出ていた「人類は衰退しました」のようにユルユルなノリで話を作るかと思いきや、読んで見たらこれが痛い痛い痛気持ちいい!という「他では読めない傑作」だったという・・・。
青春(未満)なあの時に、自分一人の妄想を膨らませていたであろう全ての少年少女に捧げる作品です。

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とある飛空士への追憶(全1巻):犬村小六

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

今更私がここで薦める必要があるかどうか疑問に感じるところではありますが、とにかく王道を突っ走った見事なライトノベルと言っていいのではないでしょうか。いつ果てるとも知れない大国同士の戦争のさなか、主人公に下された命令は一つ。

「次期皇妃を水上偵察機の後席に乗せ、中央海を単機敵中翔破せよ」

さあ、燃えないでどうする!? 読まないでどうする!? という一冊です。こういう本に時々出会えるから、ライトノベルを読むのは止められない!

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冬の巨人(全1巻):古橋秀之

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

私はこの古橋秀之という作家の持っているイマジネーションの力が大好きでして。この作品も、あの怪作「ケイオスヘキサ3部作」を生み出した同作者による何とも言えないイメージに満ちあふれた良作です。雪の降りしきる大地を歩き続けていく巨人と、その背中に住居を構えている人類。その旅路の果てに待っていたものとは? 良質のファンタジーだと思います。

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DOORS(全2巻):神坂一

スレイヤーズ!」シリーズでライトノベルの一時代を築いた感じのある神坂一が、また変なことをやらかした! という作品ですね。私は「スレイヤーズ!」シリーズを全く受け付けなかった口ですが、これは実に楽しい作品です。

某月某日。
妹が触手になった。
だめです。
これはだめだと思います。

さー一体どんな話だか想像できますか? 出来ないでしょう? じゃ、買って読むしか!

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ミミズクと夜の王(全1巻):紅玉いづき

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

これは、愛の物語です。正直に言ってライトノベルの読者層ど真ん中であるであろう中高生が読むには”ちょっと難しい位”に深く深く愛について書かれた物語です。ミミズクが生まれ、目覚め、声を上げるまでのその姿と人生を追いかけてみて下さい。そして、読み終わった後、きっと少しだけ優しくなれそうな自分に気がつくと思います。

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〈本の姫〉は謳う(全4巻):多崎礼

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)

最初の始まりはまるで「普通の」ファンタジー小説のようですが・・・読み進めるうちに自分が物語の中に取り込まれていくのが分かります。そして最後まで読み進めたとき、きっと貴方自身が、いや誰もが自分という物語の「主人公」であり、同時にこの物語の主人公でもあることに気がつくでしょう。
全体の構成も見事の一言ですね。完成度の高さという意味では今回紹介する中でもピカイチかも知れません。

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時載りリンネ!(既刊4巻):清野静

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

冒険、好きでしょ? ドキドキワクワクすること、好きでしょ? だったらこの本を読まなきゃ! という一冊です。元気いっぱいおてんば少女・リンネを中心にして語られる現代ファンタジーのシリーズです。キャラクターの魅力もさることながら、流れるように綴られる地の文に魅せられちゃったらもう、そのころにはきっと読むのが止められなくなっているはずです。

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とらドラ!(既刊9巻):竹宮ゆゆこ

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

とらドラ10! (電撃文庫)

アニメ化されちゃって今更ここでお薦めするような作品でもないような気がしないでもないですが、こういっちゃあなんですが、迸る青春のエネルギーは小説の方がアニメより上! と言ってしまいたいシリーズですね。笑いあり、涙あり、ホルモン臭さありと何もかもが「つゆだく」で襲いかかってくるシリーズです。ブサイクで最高にヤバい(多分鳥の)インコちゃんも出てくるよ!

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ドラゴンキラーあります(全3巻):海原育人

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーいっぱいあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラーいっぱいあります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラー売ります (C・NOVELSファンタジア)

ドラゴンキラー売ります (C・NOVELSファンタジア)

ファンタジー&ガンアクションと言えば一応説明になっているのでしょうが、それよりなにより「高度に洗練された罵倒というのは一種の芸術である」という事を理解させてくれる本です。うん、もっと罵れ! と言いたくなる不思議なシリーズですね。でも面白い!

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ベン・トー(既刊5巻):アサウラ

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 2 ザンギ弁当295円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 2 ザンギ弁当295円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 4 花火ちらし寿司305円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 4 花火ちらし寿司305円 (スーパーダッシュ文庫)

スーパーの売れ残りの弁当は半額になって売り出される。それを買う。そして食べる。いやそれだけっていっちゃあそれだけの話なのに、なんでこんなに面白いんだろうか!? というライトノベルの新境地を開拓したと思われる抱腹絶倒バトルコメディ・・・でいいんだろうか? というかこんなに説明困難なライトノベルも他にないな・・・でもすっごく面白いよ? ところで「筋肉刑事」がスピンオフ作品として出版されるのはいつですか?

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さよならピアノソナタ(全5巻):杉井光

さよならピアノソナタ (電撃文庫)

さよならピアノソナタ (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈2〉 (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈2〉 (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈3〉 (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈3〉 (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)

さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)

春夏秋冬一巡りして、一人だった少年少女たちは一人じゃなくなる・・・。そして少しだけ大人になって。その彼らの間を繋いでいたのは言葉では無く音楽だった。音楽の中に全ての想いがあった、音楽でしか伝えられないことがあった。そんな青春を渾身の力業で杉井光が描き出しています。甘酸っぱくて、でもちょっと切なくて、それでもやっぱり幸せになれるようなライトノベルが読みたければ、是非この本を読んでみて下さい。

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バカとテストと召喚獣(既刊7巻):井上堅二

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣 (ファミ通文庫)

これも今更私が薦めるまでもない作品となってしまいましたね。1巻が出たとき、余りのアホさ加減に勢いで星5つを付けた事を記憶しています。・・・が、今やそんなこと(作品の評価)はどうでも良くなってきていて、問題の争点は明久は受けなのか攻めなのか、もし仮に受けだとしてじゃあ相手は一体誰になるんだとかいったカップリング論争であるとか、あるいはメインヒロインである秀吉が一体どこまで萌えるキャラクターになってしまうのかと言ったところが今現在では目を離せない所であります。
でも、果てしなくバカな割りには締めるところは締めたりして、結構侮れないシリーズなのも確かなんですよね〜。

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どうでしょうか?

とりあえずこの辺りの作品群から手を出してみて、何か気に入った一冊があったならそこから作家繋がりで手を広げるも良し、出版社繋がりで読み幅を膨らませるのも良し、という感じで一つどうでしょうね。