電波女と青春男

電波女と青春男 (電撃文庫)

電波女と青春男 (電撃文庫)

ストーリー

ここに、これから上京し一旗揚げてやろうと意気込んでいる一人の少年がいた。名を丹羽真(にわまこと)という。
親の都合によって田舎の僻地から都会へ出ることになった彼は、これを機会に青春ポイント(彼定義による)の大量獲得を目指していたのだ。ちなみに下宿先は叔母の家。一人暮らしではないものの、青春ポイント(くどいようだが彼定義)の獲得には申し分ない状況・・・のはずだった。
実際に叔母の家を訪れ、玄関に布団でぐるぐる巻きになった人体を発見するまでは。

「地球は狙われている」

布団ちくわ状のその物体は、まさしくその布団越しに怪しげな言葉をふごふごと口にする誠に奇怪な存在であった。
青春ポイントの積極的な獲得を目指す真からすれば、そのような物体からは極力目をそらしたかったのであったが、叔母によると彼女は実の娘だという。そんなもんがいたなんて聞いてないぞという真の思いも空しく、その叔母の家での暮らしは始まってしまう。
転校先の学校での生活は何気に順調。女の子とお近づきにもなれた。しかし、どうも「ちくわ」に対する小骨が刺さったような気分は抜けることが無くて・・・なし崩し的に「ちくわ」と接触を図ることになるのだが・・・?
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の同作者による、新シリーズ(?)の登場です。

読みにくーい!

ってことありませんか、この本?
いやそれが芸風だって言うのは前作で分かっていたつもりでしたが、それにしてもやっぱり読みにくいわ。前作と同じく主人公の一人語りで話が綴られていくんだけど、なんというか余計なことを喋りすぎていて疲れるんですよね。
よく分かりませんが、小粋なことを必死に早口で喋っている人間と同席するはめになって、しかも何故かそいつは自分に向かって話しかけているという状況に近いような・・・そんな気分です。

フィクションとノンフィクションって、つまるところ三次元と二次元の違いみたいなもんだろ。昨日のドガクシャ騒ぎ(狂騒の中、最も多く耳にした効果音二つをくっつけた)は三流ギャグ小説三ページぐらいを目にしたのだと、空想力豊かな俺はそれを頭の中で勝手にフルカラー妄想し、その五分アニメは絶好調放送して見事に打ち切られたのだ。

いや、なんか・・・そういう芸なのは分かるんですけど、えー、一言で言うと「報告は要点を簡潔に」という所でしょうか。

まあ

そういう不満に目をつぶれば、前作よりは読みやすい作品に仕上がっているように思います。
しかし相変わらず奇人変人大集合なんですよね・・・。布団ちくわであるところの藤和エリオを筆頭に、同級生の御船流子もしっかり人との距離感が怪しいし、前川さんというやはり同級生も変態的な趣味の持ち主だし、主人公は脳内でひたすらブツブツ呟いているし・・・。
なんですかね、空気が読めない人・・・というか空気が存在していることに気がついてない人、が大量に一カ所に集結して好き勝手に暴れ回っている感じです。いやあ、ちくわ人間が「宇宙人が云々」と言い出したくなる気持ちが分からんでも無いですな。

最終的には

何気に青春的にまとめてくれるんですが、その辺りは良かったんじゃないかと思います。
しかしなんというか・・・実にライトノベル的な締め方でありながら、全体で見るとどうしても浮いている感じがしますねこの作者の本は。面白い・・・と言えば言えなくもないのでしょうが、どうでもいいとも言えるような気がしますね。
長文を書き綴っている割りには大事な事はほとんど書いてないという——丁寧にじっくりとした妄想描写でページの大半が埋まる作風と言えばなんとなく伝わりますかね? それを楽しいと思えるか、私みたいにうっとおしいと感じるかで評価が変わるんじゃないでしょうか。
・・・ま、前シリーズ読んでいる人ならそんなもん説明するまでもないんですけどね。

総合

星3つかなあ。
なんというか登場人物が人間の小説を読んでいる気がしないので、昆虫図鑑を読んだ気持ちになって星を付けてみました。まあ本当のところは宇宙人図鑑なんでしょうけど、残念ながらそんな図鑑は存在しないので妥協して昆虫図鑑です。
感情移入の出来無さ加減が虫の観察をしているような気分なんですよね〜。まあ虫は虫で見ているのは楽しかったりしますし、蟻の行列に頑張ってナレーションを付けるのも悪くはありませんが、丸々本一冊分それをやられると流石に疲れる、そんなところでしょうかね。
続きが出たら・・・どうしようかな。ラスト付近の描写は落ち着いていて良かったんで、ちょっと悩ましいところです。

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