もふもふっ 珠枝さま!(2)

もふもふっ珠枝さま!〈2〉 (MF文庫J)

もふもふっ珠枝さま!〈2〉 (MF文庫J)

ストーリー

主人公の稲村智宏は、彼の家に住む(取り憑いた?)家神・珠枝に引きずり回されるような感じでご近所の妖怪とも親しくなってしまったり、怪しげな妖怪の類とも縁を持つことになってしまったりしている何かと気苦労の大きい少年。
しかもさらにはこのたび珠枝が家の神様かつ「学校の神様」となったことでトラブルの発生地はさらに広がり、学校生活もなんだか大変なことに。学校の教師にはしれ〜っと本物の妖怪も混ざっているし・・・という感じで、とにかく妖怪変化があっちこっちで活躍してくれる和風ファンタジーのシリーズです。
元々は「神様のおきにいり」というタイトルでしたが、前作でそれを一新しての新たなスタートを切りまして、そしてこれはその2巻だったりしますね。通算は6冊目ですから・・・何気に人気シリーズ?

いや〜

癒されるというか、ほかほかした気持ちになると言うか、よーし明日も頑張っちゃうぞ〜って気分になるような柔らかーい雰囲気を持った作品ですよな〜これ。うくくっ、本当に私このシリーズ好きなんですわ。
とにかく妖怪たちの描写がとてもいいんですよね。人間のすぐ傍にいながら全く違う理で行動する彼らを理解するのはちょっと困難ですけど、それでもそのシンプルな行動様式はとっても素直に見えて、そして可愛らしいんです。
姉のオオヒロの真似をして学校の真似事をするコヒロが、

「クワッ!」

と鳴いて尾羽をピコピコと嬉しげに動かす度に私もホカホカとした気分になり、珠枝が「食べ物以外のお供え物なんぞ、つまらん」なんて反応をしつつも、

「そういわず、このぬいぐるみの手触りを試してみてください」
「ふん、いくらワシがもふもふに目がないといって、そうやすやすと懐柔されたりはせぬぞ。しかも、このようなまがいものでワシのもふもふ愛を満足させられるものか」
「いいから、いいから。騙されたと思って」
マゲがあまりしつこく薦めてくるので、珠枝は半信半疑の顔でカモメッピのぬいぐるみを抱きしめてみた。
「んっ、んんっ?」
ツインテールの髪をピーンと跳ね上げて、珠枝は驚いたように目を見開いた。
「なっ、なんなのだ、この感触は?」

すっかり懐柔されてしまうあたりとかでうふふと笑ってみたり・・・とにかく子犬を可愛がっているような気分にさせられますな。

今回は

この「カモメッピ」のぬいぐるみをお供え物として女生徒から珠枝が訪ねられた

「稲村君の女性の好みを教えてもらえますか?」

という質問から色々とトラブルがまた降って湧く訳ですが・・・そのトラブルすらも微笑ましいんですよね。
この話、実は可愛い女の子が沢山出てきて、一歩間違うといわゆるハーレムライトノベルっぽい感じになりそうなところなんですが、決してそういった印象には終わらないのがこの作品のいいところなんですね。
それは多分・・・その可愛い女の子の大半が「妖怪」という所がポイントなんじゃないかと思っています。可愛い、でもとっても単純で、でも全然違う生き物で、時々怖い。単なる都合のいい女の子に収まらない、そんなところが魅力なんじゃないかと思っています。
もちろん人間の女の子も出てきますけどね。・・・特に瑞穂には次辺りで頑張って欲しいものです。黒子って、悲しすぎる・・・!

ところで

この2巻では、タイトルを変更しての1巻で出てきた

「ぴっ!?」

がキーワードのスエヒロが今回の中心人物(妖怪?)になっています。訳ありのスエヒロの面倒を見ることになってしまった智宏なんですが、その背後には結構シリアスな問題なんかも抱えていたりして・・・。今回は前にも登場したヤマイヌのマヤも再登場して、ちょっと後半ではシリアス度が高まったりしたりします。
でも、

そうだ、たとえ脆くても、花にだって誰にも負けない強さがある。
空に向かって咲き誇る強さがある。

こんな風に言ってくれたりしちゃうんですよね、このシリーズ・・・。こういう所がまた好きなところなんですよね。

総合

星4つ。
このノリで続けてくれるならいつまででも星4つあげたいところですね。何気に楽しみにしていたシリーズでしたので、期待通りのクオリティを維持していてくれたのが何よりも嬉しいところです。
もふもふと、陽気な妖怪達と、不思議な彼らの姿と、そしてちょっと怖い、でも素敵な仲間達。こういう楽しみ方が出来るシリーズはそうは無いと思っているんですが・・・いかかでしょうね? 何気に名シリーズなんじゃないかと一人思っていたりします。
ある意味ライトノベルの入門書としても悪くないかも知れないですね。刺激は強くないけど、ほのぼのとした物語を追いかけるたのしさは十分あるんじゃないでしょうかね〜。

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