鬼切り夜鳥子(5)禍★星に願いを

鬼切り夜鳥子5 禍★星に願いを (ファミ通文庫)
鬼切り夜鳥子5 禍★星に願いを (ファミ通文庫)桝田省治  佐嶋 真実

エンターブレイン 2009-01-30
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おすすめ平均 star
star堂々完結!夜鳥子シリーズ!!

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ストーリー

夜鳥子(ヌエコ)の宿敵であり、数々の騒動を巻き起こしてきた恐るべき敵・胡蝶が復活を果たす!
先手を打たれた駒子たちは逃げることを余儀なくされ、駒子が楽しみにしていた聖夜のスケジュールも最早メチャクチャになってしまった。なんとかイタリアンレストランには行けたものの、その相手は夢のような一夜を一緒に過ごすはずだった久遠久ではなく、同じ体に宿ったかつての夜鳥子の連れ合いである求道。これではムードもなにもあったものではない。
しかし、いずれにしても体勢を立て直して胡蝶を撃たなければならない現実に変わりはない。駒子たちは炎を操る胡蝶を警戒して、雪深い蔵王の奥地へとその陣を構えることになる・・・。
そしてまた、三ツ橋のお腹に宿った「禍星ノ神子」も順調に育ちつつあり、三ツ橋はなんと処女のまま出産を体験することになりそうだという・・・。しかし、それを狙う胡蝶の存在のお陰で、穏やかな誕生とは行きそうにもなく・・・。
オールスター登場で、最終巻となるこの5巻、果たしてどんな作品だったかな〜?

ぶっちゃけ

フツーに面白いですな。あとがきにもある通り、あれやこれやの伏線を回収しつつ、分かりやすく楽しい作品に仕上がっていると思いましたね。
でも・・・! 実は私は読了後の今、結構不満たらたらだったりします。
このシリーズの魅力とは一体何だったのか? というところを原点まで遡ったときにその不満の理由が分かったのですが・・・つまり、私はあくまで「駒子/夜鳥子」と「久遠」&「三ツ橋」、というキャラクター3人によるスピーディな展開とアクションと、ほんの少しのH成分が気に入っていたのであって、それ以上でも以下でもなかった、という事なんですね。
その視点からこの「完結編」を見てみると・・・全っ然久遠が活躍してないじゃん! とか思ってしまうのです。

なんというか

久遠というキャラクターはこの作品において唯一の「常識」だった訳ですね。
でもその久遠がなかなか登場しないものだから、どうしても現実からの乖離が激しくなっていってしまって、先を予測したりする楽しみが無くなってしまっていると思うんです。
超常、超常、また超常! という展開は確かにジェットコースター的でスリリングなのですが、1巻の頃のような「出来る範囲で智恵を絞ってなんとかする」という、読者(私のことね)と一緒に物語を進めていくような一体感がどうしても得られないんですよね。
まあ、話が伸びていけばどうしても過激な方向にエスカレーションしていくのは避けがたいものがあるのでしょうが、うーん、やっぱり1巻の頃が懐かしい・・・そんな風に思ってしまいました。

じゃあ

この話はつまらないのかといわれれば、上で書いた通り面白いんですよね。
話の締め方も文句の付けようがないくらいの大団円で、ライトノベルとはかくあるべし! と言ってもいいような仕上がりになっています。うん、なんだか終わりが見えないようなシリーズを書いちゃっている作者の人は、このシリーズを見習うと良いと思う。
しかしこのまとめ方・・・本当にこれで完結しちゃうのかなあ・・・。と思ってしまいました。だって猛烈にもったいないんだもの! ラストシーンこそがある意味において「鬼切り夜鳥子」の本当のスタートとも言えるシーンになっていますから・・・。
ああ、彼らの活躍するシーンがもっと見たいなあ! ・・・というか駒子と久遠がピンチに陥った挙げ句、色々と頑張って何とかして、ついでにイチャラブする話が読んで見たいな、なんて思ったのでした。

総合

星4つですな。盤石の星4つと言っても良いかも知れません。
でも桝田省治センセー、本当にこれでシリーズ終わりですか〜? もっとなんか続けてくれませんかな〜? いや、これで終わりにするからいいのかな? 引き際を弁えているから面白いのかな?
なんだか色々と考えてしまいますが・・・ねえ? 駒子には相変わらずアレなアレがある訳ですし、久遠のアレも使った新しいアレもある訳ですし、三ツ橋の「アレレ? オヤオヤ?」が聴けなくなるのも寂しいですなあ・・・。
とにかくこれで完結、という事ですから、まあ先生の次回作に期待しつつ、「夜鳥子の続きを書いてくれ〜」という念もむんむんと送っておきましょう。・・・ぶっちゃけラストシーンの3年後とかどうでっしゃろ?(未練たらたら)

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