ゼロの使い魔(16)ド・オルニエールの安穏
ゼロの使い魔 16 (16) (MF文庫 J や 1-19) | |
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ストーリー
戦争は狂王の死という形で集結を見た。それは虚無の魔法の使い手が一人消滅したことをも示していた。
国々を巻き込んだ巨大な戦乱の様相を呈していた戦いは、ルイズや才人の活躍によって戦線の拡大を防ぐことが出来、結果として教皇ヴィットーリオの発動した「聖戦」も中途半端な形で収まることになり、ルイズたち一行は国へと無事帰ってきたのだった。
そして故郷でルイズたちを待っていたのは・・・盛大な歓待と報償の嵐。才人の所属する水精霊騎士隊の面々にもそれぞれ褒美が与えられることになったのだが、そこに才人の名前はない。一番の活躍を見せた才人になんの褒美もないのか? などと思った人がいたりいなかったりするわけだが、実際に才人に与えられた褒美とは・・・想像を遥かに超えたものだった。
そして戦乱を切っ掛けにして勲功を重ね、どんどん国内での評価を高めていく才人に対して、ルイズは今まで考えたこともないような思考に捕らわれつつあった。
”わたしはサイトにつり合うような女の子なんだろうか”
陰謀の匂いは相変わらずそのまま、イチャラブの匂いも相変わらずそのまま、ゼロの使い魔、何気に16巻です。
いや〜
やっぱりゼロの使い魔はエエな〜! なんて読んでいる最中に思わず思ってしまいました。
なんというか、期待を全然裏切らないんですよね。国の様子が変われば登場人物のおかれる状況も変わる。そうすれば自動的にルイズと才人の関係も変わり、以前とまたひと味違った姿を本の中で見せてくれるわけです。
「……言ったら、優しくしてくれる?」
「もちろん」
「意地悪なこと言わない?」
「はい」
しかたなしに、ルイズは頷いた。優しいキスとかもっとして欲しかったから。可愛いよって、言って欲しかったから。まあ、才人の妄想の暴走っぷりは百も承知なので、しかたないと諦めることにした。なんのかんの言ってルイズは健気だった。
で、言った、顔を真っ赤にさせて。震えながら。
「ち、ちいさいにゃんにゃん、大きいにゃんにゃんに苛められたいにゃん」
い、い、いいいいい言わせる方の頭が完熟だとしたら、言っている方の頭も完熟じゃねえかこの野郎! というルイズと才人です。相変わらずなのか、新しい世界に突入しているのかもう私にも分からなくなってきましたが、とにかくこんな塩梅です。
でもまあ
実際の所良いところで邪魔が入るのはいつものことですし、今作でも相変わらずその邪魔は健在なので読んでいる方としては嬉しいのか悲しいのかよく分からないまま話を読み進めていくことになります。
・・・とにかく、一緒に暮らすための家を探しちゃいますからね今回。
女の子と、一緒に、暮らすための、家探し、ですよ。
ここを読んでいるアナタタチ、想像できますか? どれだけリアルに想像できますか? 女の子と一緒に暮らしちゃうんですよ? 邪魔なんか入りようがない状態ですよ(一般的には)? 一緒に朝起きて、一緒にご飯食べて、一緒に、一緒に、いっいっ一緒に・・・寝ちゃうんですよ!? 分かります!?
まあ・・・ルイズと才人にはちゃっかりシエスタというメイドがついて来ちゃうわけですけどね・・・。
ところで
今回の話の争点は、どんどん偉くなってしまう才人に対して、つり合うかどうか自信が無くなってきたルイズの微妙な女心、という当たりでしょうかね。それに加えてここのところ戦線から脱落気味だったアンリエッタがまた動き始めていて、そのあたりの微妙なやりとりが楽しい本です。
”どっちの気持ちも本当なんだわ”
アンリエッタを見て、あるいは才人を見て、あるいはシエスタを見て、今までの色々な場面を見てきたからこそのルイズだからこその閃きだったのかも知れませんが、そんなことを悟ってしまうルイズです。また一つ大人の階段を登ったと言えるのかも知れませんね。
こういう丁寧な描写が私はたまらなく好きだったりします。うんうん、思い悩む若人はエエなあ・・・。
総合
星4つですね。甘い展開で終始するかと思いきや、最後の最後でとんでもない展開を用意していた作者に脱帽です。
そうくるかー! と思ったのは私だけではないはずです。あの人が物語から退場することになるとは・・・いや、読み終わった今でも信じられないというか、信じたくないというか・・・この気持ちを一体何処にぶつけたら良いんでしょうか。
教皇の陰謀の方もなりを潜めたとはいえ未だ息づいているようですし、まだまだ安心して良いという事にはならなそうですね。
しかしこの物語、一体どこまで楽しませてくれるつもりでしょうかね。ここまでの話を楽しめた人ならきっと、完結まで間違いなく楽しめるんじゃないでしょうか。本当に期待を裏切らない作者です。