えむえむっ!(7)

えむえむっ! 7 (MF文庫 J ま 1-10)

えむえむっ! 7 (MF文庫 J ま 1-10)

ストーリー

主人公で比較的イケメンであるにも関わらず、砂戸太郎(さどたろう)は変態だった。それは重度かつアグレッシヴな変態だった。名前を真逆に突っ走ったかのような彼の性癖は——いわゆるマゾ。
なじられて気持ちいい、縛られて気持ちいい、蹴られて殴られてチョ〜気持ちいい! という感覚変換装置が標準で装備されていてそれなくしては彼を語れないほどにマゾヒストだった。
しかし、そんな変態を懸想する娘が世の中にはいたりするのがこの世の不条理を感じる所であって、そして折しも、季節はバレンタインデーを迎えていたのだった。しかし変態の巣窟と化しているこの作品に於いて、まともなバレンタインデーなど訪れるわけもない・・・。
なんて言っているうちに気がついたら7巻だと!?

変態は

見ているだけで楽しい。善良な変態ならですけど。
何しろ主人公の変態性癖が一向に直る気配を見せないこの作品、当初こそ太郎のマゾ体質をなんとかするというような方向で話が作られていたような気がしますが、今ではそんなことはうっちゃられてしまっていて、より高度な変態、より高品質の変態を求める変態の探求をテーマにしているんじゃ無かろうか、などと考えたりする訳です。
ちなみに私が特に気に入っているのは今まで何度も取り上げた通り——太郎の実の姉と母の二人組な訳ですが。

「ああ、たろうちゃんのにほい……はふう、たまらんよぉ……」
「…………」
「ハァハァ……た、たた、たろうちゃん汁をもっと吸収……」

姉です。

「これは、太郎さんが使っていた歯ブラシとタオルですね?」
「あ、あああああ……」
「太郎さんの私物を黙って盗み出す……これは、LOVEタロウ条約第十七条に違反する行為だったはずです。そのことは理解していますね?」

母です。
とにかく両者共に太郎のナニを狙っています。ナニの部分には各自想像できる範囲で適宜言葉を入れて欲しいですが、その入力された内容を大体二乗から三乗した数値のナニがこの姉と母の脳内で渦巻いています。色を付けるとしたら多分ピンク系のマーブル模様です。
いや・・・話としては添え物的な扱いのはずなんですけどね・・・この姉と母。

えー

ところで今回はバレンタインデーということでいわゆるチョコレート的なイベントが起こるはずなんですが、何故かそういう展開がほとんど無くて、本編では血で血を洗う抗争が繰り広げられています。何故そんなことが起こったのかというと・・・。

「はっ! バレンタインデーにキャピキャピ浮かれやがるバカ女子どもはいったいなにを考えているんだか! つーかなにも考えてないんだろうなバカだから! 脳みそナッシングなメスブタのアバズレどもはもう絶滅しやがればいいんだ! ファック!」

などと気炎を吐いてしまっていた一人の生徒の悲しき願いを、太郎の所属する第二ボランティア部が叶えてやろうと活動を開始してしまったことが理由だったりします。そうすると例の問題児・石動美緒が自動的に出てくるわけでして・・・。
そしてそれに対するは女性陣の最後の良心とも言える結野嵐子——つまり普通にバレンタインデーを過ごしたい——という布陣になるわけです。

でも実は

今回は意外に手堅くまとめたかな? という印象があったりしますね。
変態が渦巻いているわりには結構普通に学園ラブコメしてたんじゃないかなあ・・・なんて思ったからですが。いや何かの勘違いかも知れませんし、あんまりに変態しか出てこないものだから変態に対する耐性が読者の私にもついてきてしまったという事かも知れません。
いやあ、何事も慣れって怖いよね! 10の変態が出たら次は20の変態を望んでしまうのが読者の性というもの! ドラゴンボールの戦闘力がインフレを起こしたのと同じように、この作品の変態指数もそろそろインフレを起こさないといけない時なのかも知れません。
・・・それは、しかし、出版可能な本、なのか・・・?

総合

まー星4つにしておこうかなあ? ちょっとオマケはいってますけど、まあいいでしょう。
もう一つ刺激が欲しかったところですが、これ以上の刺激を求めるとなるとライトノベルでは無くなってしまうかも知れませんのでこの程度で妥協しておくのが人間として正しいのでしょうね、きっと。
かといってこれ以上変態指数を上げていった結果、行き着く先は成人指定・・・なんだろうか? なんかもっと違うカテゴリーの成人指定とかを検討する時期に来ているのかも知れませんね?
ところで巻頭カラーの裏面に、何気に電撃のあの作品を意識していると思われる文面が書かれていたりするんですが、そのあたりの茶目っ気のチラ見せの仕方は上手いですなあ。

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