マージナル・ホワイト

神曲奏界ポリフォニカ マージナル・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)
神曲奏界ポリフォニカ マージナル・ホワイト 神曲奏界ポリフォニカシリーズ (GA文庫)高殿円  凪 かすみ

ソフトバンククリエイティブ 2009-03-14
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star僕らは…

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ストーリー

200年前の世界に飛ばされたまま帰ることも何をすれば良いのかも分からないまま混乱するスノウドロップ(スノウ)一行は、どうしようもないまま精霊島に留まっていた。
しかし、地上での戦争に端を発した出来事は加速度的にスノウ達を取り巻く状況を悪くしていく。学園の閉鎖、スノウ達を保護してくれていたマーヴェラスの負傷、激化する戦況とその後ろに見え隠れする糸を引く存在・・・。200年前の世界の出来事に関与すべきなのか、すべきではないのか。
未曾有の出来事の前に誰一人として正しい答えを見いだすことが出来ないまま、状況は更に悪化の一途を辿って・・・。という最新刊です・・・が。

またか・・・

なんというかちゃんと一冊分の話を書き下ろして欲しいなあ・・・というのが一読者としての正直な感想です。
いや、作者の人を取り巻く状況というのが恐らくとんでもなく大変だというのは分かってはいるんですが、それでも長編+短編の組み合わせで引っ張りすぎというか、流石に残念感を拭いきれません。
話の方は面白いので読んでいるときは楽しく過ごせますが、明らかにペースを落としてしまっているストーリー進行が全体のテンポをもの凄く悪くしていますね。今までの執筆スピードだったらこの7巻でこの「200年前の話」は終わっているんじゃないでしょうか?
うん・・・大事な話だというのも、分かる。作者の人が子供の世話で大変なのも、分かる。でもやっぱり不満は不満で、きっちりはっきり楽しませて欲しいという思いがあるのも事実なんですよね・・・。

展開については

いよいよきな臭くなってきたというか、クラストという国が滅ぶその時を描いているという感じがひしひしと伝わってきますね。
さらにはリシュリーやエターナリアといった重要な登場人物の転換点になる話であるという緊張感もあります。そして恐らく約束されているであろう「大切なもの」の喪失・・・も感じます。うん、これはやっぱり丁寧に書かざるを得ないですね。
でもなあ・・・本としては、大事な部分だからこそ、分割に次ぐ分割という形で引っ張られると(あるいは短編で水増しされると)不愉快なんだよなあ・・・。漫画では一コマで終わったはずの展開が、アニメになったら30分に引き延ばされたというか、そんな印象でしょうか。

・・・かつて

ライトノベルには、アニメに合わせて出版を急いだ結果、どうしようもなく未完成な本を出版してしまったという事例があります。
最早犯人捜しをするのもバカらしい事例ですが、いずれにせよ結果(本の出来)だけを見れば惨憺たる有様になったのは事実です。つまり・・・作者の人を煽って焦らせて無理に出版をしたところで読者の満足度は決して上がらないのが現実じゃないでしょうか。
未完成の作品でも出版さえしていれば読者が離れない・・・などと思っていたら大間違いだと私は思うのですが、いかがでしょう?
うん、こういっちゃなんですが、こんなこと続けるようならこの「ポリ白」も読むのを止めるかも知れませんね。だって、内容が薄まっている本なんて買いたくないし、今やライトノベルは読もうと思えば他に沢山の話があるんだし・・・ね。

総合

星3つ。
つまらないとは言いませんし、いや話自体は面白い部類なので本来なら星4つなのですが、上記のように不満たらたらなので星を減らしてあります。次、かな・・・。次も同じように今の話が終わらないまま「長編+短編」とかの作りの本だったら、読むのを止めるかも知れません。
誰が悪いんだとかの犯人捜しをするつもりもありません。ただ単純に「結果出来上がったもの」だけを読んでその辺りは冷静に判断するつもりです。正直好きな作家のシリーズなので、残念な結果にならない事を祈るばかりですね。
まあでも・・・添えられた短編の出来は悪くなかったですね・・・。でも短編が読みたくてこの本を買った訳じゃないからねえ・・・その辺りは判断に困るところではありますが、とにかく次を待ちますかね。

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