カンピオーネ!(3)はじまりの物語
カンピオーネ! 3 はじまりの物語 (カンピオーネ! シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 丈月城,シコルスキー
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: 文庫
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ストーリー
神を殺したものは、その神の持つ力の簒奪者となるという。
神殺しという偉業を達成した者達はいずれにしても強大な力を手に入れ、人として上ることの出来る最大の力を持つに至る。人は彼らの事をカンピオーネと呼んだ。王、魔王、堕天使、混沌王、羅刹——あらゆる剛力を持つものを二つ名とした恐るべき人間の事である。
そして現代の世には6名のカンピオーネがいる。それぞれ東欧の老侯爵、中国南方の武侠王、妖しき洞窟の女王、新大陸の異形の英雄、大英帝国の漆黒の貴公子・・・そして欧州最強の剣士。
しかし、それに連なるもう一人のカンピオーネが東洋の島国に生まれたことを知るものは少ない。その人物の名は草薙護堂。先日までは当たり前の高校生だったのだが、魔術師・エリカ・ブランデッリと関わることで人ならぬカンピオーネとなった者だった。
だが、如何にして草薙護堂はカンピオーネとなり得たのか? 神を殺すという偉業をどのようにして成し遂げることが出来たのか? 今まで触れられていなかったその「始まりの物語」が遂に語られる。
実在する神々と魔法、それらの間で戦う人間たちを時にシリアスに、時にコミカルに描いた異能アクションの3巻は、時を遡っての回顧録です。
まー
2巻まで説明が無かったから、こうなるべくしてこうなったという感じの思い出話ですが、いや、なかなかに新鮮です。
今でこそ護堂に「ぞっこん」のエリカ・ブランデッリですが、もちろん最初からそうだったわけではなくて、当然のように赤の他人からスタート、という事になります。その辺りの馴れ初め(?)が結構丁寧に描かれます。
とりたてて引き合いに出すような印象的な出会いという感じではないところがまた良い感じですね。偶然に偶然が重なっての二人の出会いですが、それを適当にやっつけ仕事っぽい(ライトノベルにありがちなとも言いますが)ボーイミーツガールにしなかったのは大正解ではないでしょうかね。
・・・まあ、エリカが現在のような状態になるにはまだ他にも隠されたエピソードがあるようですが、それはこれから語られることになるのかな? ちょっとその辺りは分かりませんが、とにかくこの二人の最初の物語は悪くないです。
ところで
今回は主人公の護堂が「カンピオーネ」ではない関係で超常バトルもちょっと大人しめです。
というかぶっちゃけ普通の高校生(ただし謎のアイテム持ち)なので、当たり前と言えば当たり前なのですが・・・でも不思議と面白さが減じた感じはしませんね。
それは恐らくですけど・・・この本の楽しさというのが「神話の解釈とその連なりの理解」にあるからなんじゃないかとか思うからです。護堂がカンピオーネではなくとも「まつろわぬ神」は出てきますし、それに関連した蘊蓄がエリカによって蕩々と語られていく様は読者の知的好奇心を気持ちよくくすぐってくれます。
前作まででこうした「神話の解釈の楽しさ」を見いだしていた読者であれば、この3巻も間違いなく楽しめるのではないでしょうか。
総合
星4つ。
意外に書くこと少ないな・・・でも楽しいな・・・というところですね。
今回の物語の舞台はイタリアなのですが、その辺りの風土の丁寧な描写も楽しいですし、相変わらず神話ネタも楽しく読ませてくれるという一冊で2度・・・まではいかないまでも1・5くらいは楽しませてくれる本です。
物語は現実の方も舞台をイタリアに移して(しかももう一人のヒロインである万里谷祐理を巻き込んで!)次巻へと続くことになりそうですし、先が楽しみになってきましたね。しかも某神さまとの「再戦」も近そうです。
恋も色気も戦いも盛りだくさんという感じですが、さて・・・4巻も楽しみですね。